東急田園都市線・たまプラーザ駅から徒歩15分程度のところにある、4年連続でミシュラン1つ星を獲得している『手打そば・風來蕎』(ふうらいきょう)さん。
お店は駅から少々離れた住宅地にありますが、ミシュランの「星」を獲得しているということもあってか遠方から車で訪れる方もいるようで、ついつい、いつ行っても混雑しているのではないかというイメージが先行してしまうお蕎麦屋さんです。
ということで、開店前少し早目に行けば確実に着席できるであろう、予約の出来ない祝日(平日の昼は予約のお客さんが多い?)に、うちの奥さんと2人で訪れてみました。
お店に到着したのは予定より早い開店30分前で、もちろん、他に待つお客さんはいません。
そして待つこと15分、お店の入口に順番待ちの名前を記入する用紙が置かれ、名前を記入すると、その後、車がポツポツと現れアッという間に15人程度のお客さんがお店の前に集まります。
「へ~、やっぱり混雑するんだ。」とその人気振りに驚いていると、女性の店員さんがお店から出てきて暖簾を掛け、名前の記入順に店内へと案内してくれます。
1番客としてやや薄暗い店内に入り、店内一番奥の2人掛けテーブル席に着いて早速メニューを広げますが、料理はメニューだけではなく店内の壁にも短冊で表示されていて、メニューと短冊の両方を見ながらあれこれ考え、生ビールと一緒に、外すことの出来ない「出し巻玉子」と、ぜひ食べてみたい「うなぎ肝の山椒煮」と、食べることが出来なくなってしまうかもしれない「クジラ竜田揚げ」をお願いします。
ちなみに、お通しは3種類の中から選択するようになっていた(無しにすることも出来そうな雰囲気でした。)ことから、「うの花」と「鴨の皮の南蛮漬け」をお願いします。
まず運ばれてきた「うなぎ肝の山椒煮」は、「肝」独特の苦味はあまり感じられませんが、見た目、食感、味わいのどれを取っても日本酒が飲みたくなってしまう料理であることから、再びメニューを広げます。
メニューには、山口県の地酒が3種類、長野県と愛媛県の地酒がそれぞれ1種類と、計5種類の日本酒が並んでいますが、山口県の地酒「獺祭」(だっさい)が品切れということで、同じく山口県の地酒「本醸造辛口・五橋」(ごきょう)を冷でお願いします。
なお、日本酒を選んでいる最中に「クジラ竜田揚げ」が運ばれてきましたが、もう少し料理をいただきたいと思ったことから、「そばがきのふき味噌田楽」を追加でお願いします。
そしてその「クジラ竜田揚げ」ですが、そもそも「鯨の肉」が正しくはどのような味なのかがよく分かっていないことから、「そうそう、これこれ。」という感想はありませんが、少々生々しい濃厚な味わいで、美味しいです。
続いて運ばれてきたのは・・・。
最初にお願いした「出し巻玉子」ではなく追加でお願いした「そばがきのふき味噌田楽」です。
この「そばがきのふき味噌田楽」は、フンワリフワッと焼き上げたそばがきの上に、蕎麦の実を散りばめたふき味噌を乗せている料理で、ふき味噌を付けずにそばがきだけで食べても、フンワリモチモチのねっとりした食感がとても美味しいです。
さて、料理が全て出揃う前に「本醸造辛口・五橋」が無くなってしまったことから、迷うことも無く、長野県安曇野の地酒「純米吟醸無濾過・福源」(ふくげん)をお願いします。
そして注文してから45分、楽しみにしていた「出し巻玉子」が目の前に置かれます。
熱々のうちにいただこうと思い、早速一切れいただいてみると、まずそのフワフワ感がかなり良い感じです。
また、甘さそのものは控えめですが、出汁の旨みがしっかり感じられる玉子焼で、とても美味しい、45分待つ価値のある玉子焼ではないかと思います。
そんな、美味しい「出し巻玉子」をいただいている途中ではありますが、客足の途絶えない状況であることから、早めに蕎麦をお願いすることにします。
蕎麦は、定番メニューとは異なる別メニューで、「旬の蕎麦」と「期間限定の蕎麦」が用意されていたことから、その期間限定の「たけのこと春野菜の天ぷらせいろ」をいただくこととし、うちの奥さんは「駿河湾産桜エビのかき揚げせいろ」をいただくことにしました。
なお、蕎麦前を楽しんでいる、開店と同時に入店した客ということで、蕎麦の注文が後になっても希望するなら数量限定の「手挽きせいろ」を食べることが出来るよう気を使ってくれていたようで、蕎麦を注文する際、せいろの蕎麦を手挽きに変更するかの確認がありました。
無くなってしまったらそれはそれで仕方の無いことと思っていましたが、「そんな些細な配慮が星につながっているのかな?。」と改めて思いながら、「たけのこと春野菜の天ぷらせいろ」の「せいろ」を「手挽きせいろ」に変更してもらうことにしました。
まず運ばれてきたのはうちの奥さんがお願いした「駿河湾産桜エビのかき揚げせいろ」で、「食べてみる?。」の一言も無くペロリとかき揚げを食べてしまったので、どんなかき揚げだったのかはわかりません。
少々時間が開いて運ばれてきた、「手挽きせいろ」に変更した「たけのこと春野菜の天ぷらせいろ」ですが、まず、何も付けずに蕎麦だけをいただいてみると、細打ちの黒みがかった田舎という説明書きの通り、細さと田舎独特のしっかりした腰(歯応え)が感じられます。
次に、説明のあった粗塩でいただいてみると、確かに美味しさが増すように思いますが、出汁の効いた蕎麦汁がとても美味しいので、やはりオーソドックスに蕎麦汁でいただくのが一番かな?と思います。
というよりも・・・。
『手打そば・風來蕎』さんで蕎麦をいただく場合、あえて「手挽きそば」をいただかなくても、普通の「せいろ」を普通に蕎麦汁でいただくだけで、十分美味しい蕎麦をいただくことが出来ると思います。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・風來蕎』さんは、開店前には入店を待つお客さんの列ができ、開店後もお客さんの途絶えないお蕎麦屋さんでした。
また、小さい子供や年配の方を含めたご家族で訪れているお客さんの姿が多く見られたように思います。
これは、連休中の祝日ということも影響していると思いますが、どんなお客さんに対しても、気取ったところの無い自然な接客が行われており、その肩肘張らない柔らかな接客が、「また今度、みんなで蕎麦を食べに来よう!。」と思わせる雰囲気を作っているのかもしれません。
そんな雰囲気の中でいただいた料理はどれも美味しく、充実した連休初日となりました。
ごちそうさまでした。