一度、夜営業の時間に蕎麦前をいただきたいと思っていた、JR総武本線&都営浅草線・浅草橋駅から徒歩3~4分の所にある『江戸蕎麦手打處・あさだ』さん。
1854年(江戸安政元年)創業ということなので、既に150年以上も蕎麦を打ち続けている歴史ある老舗のお蕎麦屋さんで、「江戸の風流人が愛してきた蕎麦前の粋なひとときを楽しんで頂きたい。」という思いから、一つ一つの料理に対しても、そしてお酒選びにも情熱を持って取り組んでいるお蕎麦屋さんです。
仕事を終え、お店に到着したのは夜営業開始時間の17:30丁度で、暖簾が掛かり、写真を撮って早速お店に入ると、老舗らしい「凛」とした空気が感じられるものの堅苦しさの無い、「どうぞゆっくり飲んでいってください。」という心温まる雰囲気が感じられます。
そんな雰囲気を感じながら2人用のテーブル席に着き、「これって、毎日用意するんだろうか?。」とついつい思ってしまう、7月18日のおすすめ料理とお酒が書かれた1枚物のメニューを広げますが、今回は予習を行ってから訪れているということもあり、ビールを飲むのか、それとも最初から日本酒にしてしまうのかを迷った程度で、さほど迷うことも無く「夏野菜お浸し」、「合鴨ロース赤ワイン煮」、「玉子焼」の3品を瓶ビールと一緒にお願いします。
まず運ばれてきた「夏野菜お浸し」(野菜が何だかは分りません。)とお通しの「鰊の昆布巻き山椒煮」を肴にビールを飲みながら、再度じっくりメニューに目を通してみると、あれも食べたいこれも食べたい、あれも飲みたいこれも飲みたいと思ってしまう美味しそうな料理とお酒がズラリと並んでいて、「やっぱり最初から日本酒だったかな?。」と思ってしまう品揃えです。
続いて登場した「合鴨ロース赤ワイン煮」。
江戸時代から続く老舗蕎麦屋の「赤ワイン煮」がどういう料理なのか想像出来なかった「合鴨ロース赤ワイン煮」ですが、鴨肉に白髪葱をはさみ、マスタードを付けていただいてみると、柔らかく程良い歯応えの鴨肉で、ほんのり感じられる赤ワインの香りがなかなか良い感じで美味しいです。
そして楽しみにしていた老舗蕎麦屋の「玉子焼」。
甘さ控え目でしたが、どっしりした姿と歯ごたえに貫禄の感じられる「玉子焼」です。
最初にお願いした3品がほぼほぼ無くなってきたところでビールも無くなったことから、日本酒と『江戸蕎麦手打處・あさだ』さんの名物料理「あさだ味噌・杉板焼」をお願いします。
なお日本酒は、いつもなら迷わず福島県の「飛露喜」を選ぶところではありますが、好きな福井県の「大吟醸・黒龍」にしようか、生まれ故郷千葉県の「純米大吟醸・あさだ」にしようか迷ってしまったことから、いずれも選ばず静岡県の「吟醸生酒・磯自慢」をいただくことしました。
まぁ、「磯自慢」だって美味しいお酒なので何ら問題はありませんが・・・。
さて、お願いした「あさだ味噌・杉板焼」ですが、蕎麦の実や季節の野菜、海老などを細かく砕き、西京味噌と練り合わせて杉の木に薄く延ばして焼いた料理ですが、味噌の甘味と焦げ目が何とも言えず美味しく、日本酒がグイグイ進んでしまう素晴らしい一品です。う~ん、やっぱり「飛露喜」だったかな・・・。
美味しい料理とお酒をいただき、腹も膨れてきたところで「せいろそば」をお願いします。
十割蕎麦の「せいろそば」は歯応えと喉越しも良く、辛目の蕎麦汁と一緒に美味しくいただきました。
今日、美味しい蕎麦前と蕎麦をいただいた『江戸蕎麦手打處・あさだ』さんは、4名(?)の花番さんがそつなくお客さんの対応に当たっていましたが、「仕事でやっている。」という業務的な印象は無く、一人和服を着た花番さんがテキパキと店内を仕切っていて、そしてお客さんには愛想良く自然体で接していて、老舗特有の引き締まった気持ちの良さと、下町特有の人情味溢れる雰囲気を感じることの出来るお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。