可愛らしい桃の実
人は、生まれて死ぬまで待つことを宿命づけられている。
もともと忍耐強いほうではない、と思っていたが、
ここまで辛抱できないのか、と自分自身にあきれてしまった。
先日、雨の合間を縫って、
庭の桃の木から、桃の実ちぎりをした。
庭には、3本の花桃の木がある。
花桃だから、春には深紅の鮮やかな花を咲かせて楽しませてくれる。
だが、実をつけても決して大きくはならない。
そのうちの一本の木から、
籠いっぱいの桃の実が採れた。
見た目には、梅の実とさほど変わらない。
ならば、と梅酒ならぬ、桃酒を漬けてみた。
熟成させるには、
通常、3カ月以上は寝かせなければならない。
梅酒の経験はあっても、
桃酒を漬けるのは初めてだ。
さて3ヶ月後、どんな風味が楽しめるのだろうか。
毎日、悶々と眺める日々が続いた。
ときには、恨めしい横目で。
ときには、もう飲めるかもしれないと、流し眼を送りながら。
数日前、
一か月もたたないうちに、広口瓶の蓋を少し開けてみた。
ぷ~んと、甘~~イ香りが。
ン?
これはまさに梅酒の香り。
桃も梅も同じ香りなのか?
どれどれ、お味は?
人差し指をそっと突っ込んで、なめてみる。
う、
うめ~~エ!
突然、ボクの声がヤギ化した。
イヤ、これは梅酒でなく桃酒だから、
モ、モ~~ォ! と、いきなり今度は牛に変身。
そして、
モ~~ォ、いけるンじゃナ~イ!
と、舌舐めずりしながらたたみ掛ける。
とうとう我慢袋の緒が切れた。
イヤ、もともとゆるい状態だったのだが。
最近ハイボール用に使うグラスに氷を3個ころがし、
小さなレードルを、おもむろに広口瓶に入れる。
一杯、二杯、
どれどれ?
こうして、
自分の意志の弱さを隠すため、
味見と称しながら
毎晩、不敵な笑みを浮かべては
ヤギになったり牛になったりしている。
人は、生まれて死ぬまで待つことを宿命づけられている。
もともと忍耐強いほうではない、と思っていたが、
ここまで辛抱できないのか、と自分自身にあきれてしまった。
先日、雨の合間を縫って、
庭の桃の木から、桃の実ちぎりをした。
庭には、3本の花桃の木がある。
花桃だから、春には深紅の鮮やかな花を咲かせて楽しませてくれる。
だが、実をつけても決して大きくはならない。
そのうちの一本の木から、
籠いっぱいの桃の実が採れた。
見た目には、梅の実とさほど変わらない。
ならば、と梅酒ならぬ、桃酒を漬けてみた。
熟成させるには、
通常、3カ月以上は寝かせなければならない。
梅酒の経験はあっても、
桃酒を漬けるのは初めてだ。
さて3ヶ月後、どんな風味が楽しめるのだろうか。
毎日、悶々と眺める日々が続いた。
ときには、恨めしい横目で。
ときには、もう飲めるかもしれないと、流し眼を送りながら。
数日前、
一か月もたたないうちに、広口瓶の蓋を少し開けてみた。
ぷ~んと、甘~~イ香りが。
ン?
これはまさに梅酒の香り。
桃も梅も同じ香りなのか?
どれどれ、お味は?
人差し指をそっと突っ込んで、なめてみる。
う、
うめ~~エ!
突然、ボクの声がヤギ化した。
イヤ、これは梅酒でなく桃酒だから、
モ、モ~~ォ! と、いきなり今度は牛に変身。
そして、
モ~~ォ、いけるンじゃナ~イ!
と、舌舐めずりしながらたたみ掛ける。
とうとう我慢袋の緒が切れた。
イヤ、もともとゆるい状態だったのだが。
最近ハイボール用に使うグラスに氷を3個ころがし、
小さなレードルを、おもむろに広口瓶に入れる。
一杯、二杯、
どれどれ?
こうして、
自分の意志の弱さを隠すため、
味見と称しながら
毎晩、不敵な笑みを浮かべては
ヤギになったり牛になったりしている。