デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

サンクト編 シンポジウム

2010-09-21 03:23:32 | お仕事日誌
いままで海外出張で朝走ったことがない。今回はそれができるかもしれないと思っていて、今日が一番のチャンスかと思っていた。ただ8時すぎないと明るくならない、これがちょっと決断を鈍らせる。ベットの中でいろいろ悶々と考える。今日のシンポジウムで話す内容を、ロシア語でどういうか頭の中でシミレーション。朝飯を食べて、歩いてサーカスへ。途中アフマートヴァ博物館を見つける。明日行こう。通用門のところで今日のシンポジウムの議長をするマカロフさんが待っていた。どうしても日本語の通訳が準備できない、どうしようということなのだが、なんとなくそれはわかっていたのでロシア語でやりますと答える。シンポジウム会場へ、まずは映像を納めたメディアが使えるかどうかをチェック、完璧。一応一人10分という制限時間があるのだが、わりとと自由。俺の監視役ビタリーは、ひとり何分しゃべるかをiphoneでチェック。コーヒーブレイクをはさんでいよいよ自分の番。メモはあえて日本語にしておいた。この方がフレクシブに対応できると思ったし、聴衆の反応を見ながら対応できるかとも。ロシア語で講演というのは初めてのこと。でも考えてみると乾杯の音頭をとることを考えると、講演の方が楽かもしれない。話し終わってなんとなくみんなちゃんと聞いてくれたなあというのが第一印象。イタリアから来た特別ゲストのアレクサンドロが、素晴らしい報告だと近寄ってくる。リトルのスペインサーカスをやった時のプロデューサー、よく覚えている。講演後何人か近づいて名刺を奪っていく。これで持ってきた名刺はすべて使い尽くす。
マカロフさんが、今日のあなたの講演はほんとうに興味深かったし、面白かった、きっと天国でスラフスキイが、こうして私たちが会っていることを喜んでいるでしょうという。この言葉を聞いてちょっと涙ぐんでしまった。まじ、本当にうれしかった。これは自分も感じている。サーカスが好きな人たちが自然に集まるそれが大事じゃないだろうか。アカデミーもなにも必要じゃない、好きな奴が集まる、それが大事。
ここで強引にご褒美をねだる。何度か来たことがあるのだが、このサーカス場のなかにある博物館を案内してもらうようにお願い。マカロフさんが、新しい館長さんを紹介、めちゃ美人。セルゲイと一緒に、博物館ツアーへ。ここでガイドをつとめてくれたのは今年7月から勤めているというアンナ。セルゲイと大島コンビの巧みな誘いにちゃんと乗ってくれるとてもチャーミングな娘さん。きっと彼女とだったらいろんな交流ができると思う。自分がもっているサーカス資料をコピーして、送りたい。
ほんとうにショックだったのは、この博物館ツアーの最終地点で、「シマダ」の伝記を見たことだった。こんなことがあるのか、と思った。この本の作者に会わないといけない。このシマダの伝記を博物館の机で見たときのショックをどう説明したらいいのだろう。シマダが向こうから私のところへ近づいてきた。いままでずっと追いかけ続けていたのに、向こうから近づいてきたのだ。セルゲイが彼に電話をして、明日会うように手配。
ネフスキイー大通り沿いの日本レストラン~太平洋」で遅い昼食。セルゲイとこうしてゆっくり話せる時間があるとは思わなかったので、うれしかった。セルゼイの友人も加わり、楽しい一夜だった。ということで今日はゴチになりました。

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サンクト編5 雨の中の市内観光

2010-09-19 13:42:53 | お仕事日誌
2回もエクスカーションをキャンセルしているので、今日は参加。外は雨、しかも寒い。ほぼ全員が参加。バスで名所をまわりながら要所で降りて、見学。サンクトは何度も来ているが、このツアーではいままで行ったところとかぶっていなかったので結構楽しかった。それよりもこうして一緒に観光することで、いままで接する機会がなかった人たちと自然なかたちで交流できるのがいい。ディズニーにロシアのアーティストを派遣しているエージェント、ハンガリーサーカス支配人の息子さんで、何度もNGKに来ているアーティスト、昨日見たショーの一番のお気に入りバンジョーコミックを派遣したアメリカのエージェントなどと知り合うことができた。
今日はネフスキイー大通りをつかってマラソン大会が開かれているようで大渋滞。みんなバスを途中でおりて、徒歩でホテルへ。近くのレストランでみんな食事。自分はそのあと水を買ってからホテルで休む。
18時に歩いてサーカス場へ。びっくりしたのは、2年前にリトルワールドで一緒に仕事したユーリイ家族がわざわざモスクワから見に来ていたこと。明日の朝10時にはモスクワに戻らなくてはいけないというので、車で来たという。こういうフェスティバルの意義を知り、わざわざ来るというその意欲はたいしたもんである。しかもここは家族で来る。意外な出会いだったが、うれしかった。
今日もマカロフさんと一緒で、VIP席とははなされたところに座らされる。休憩中にロスカンパニーの社長と再会、今回の招待のお礼を言うと、明日のシンポジウムでの話楽しみにしていると言われる。プレッシャーだよなあ。
左隣の席には若い母親と2~3歳の娘が一緒に見ていたのだが、いろいろ話しかけられる。サーカスのクラブのようなところに所属しているらしい。娘さんからお菓子をもらう。ウクライナのクラウンが出てきたときは、内容がまったく子供向けじゃなかったので、娘の目を隠していた。
公演後軽く飲んで、またビタリーの車でホテルまで送ってもらう。ビタリーとの雑談で、新しい企画を思いつく。
部屋に戻り、たぶん明日はロシア語で話さないといけないようなので、単語だけをチェック。


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サンクト編4 サーカス本が5冊

2010-09-18 04:12:45 | お仕事日誌
今日の主催者側の予定は、エルミタージュツアー。何度も見ているのでパス。事務局から電話、エルミタージュのあとマリンスキイ劇場観覧の予定になっているという。しまった。これは見たかったのに!なんとか努力するがとは言っていたが、こういう場合はダメ。あきらめて漂流民の会の木村さんのビデオ資料にするために漂流民に関係する場所をビデオ撮影することにする。エルミタージュ、青銅の騎士、ルミリャンツェフ邸、クンストカーメラなどを撮影。部屋に戻る途中、ドームクニーガに寄って、サーカスの本一冊とツォイの歌詞がついている本を購入。この本屋さんほんとうにすごい、すっかり好きになった。また夕立。だいたい17時過ぎになると雨が降る。誕生祝いにもらった傘大活躍。昼飯を食い損ねたので、食料品店でパンとロシア製カップヌードルを購入。先日の寿司のこともあったのでどきどきだったが、ロシア製カップヌードルいけた。
歩いてサーカス場へ。兄弟分が誰もいない。みんなエクスカーションから直帰だったみたい。日本に呼んだことがあるダスバトゥイリョフのアーラとダウレットと会う。アーラはほんとうにきれいになった。結婚したせいか。ダウレットはまだ独身、自分に明後日のシンポジウムでのレポートの準備をしているかと聞かれる。ドキッとする。いろいろ考えてはいるのだが、果たして全体の流れのなかでどんなもんか、まだ自信がないので、決めかねている。
やっと兄弟分がそろう。今日は日本から大プロモーターが来るというので、みんなそわそわしている。今日はこのせいもあるのだろう、マカロフさんと一緒に行動を共にするように事務局から言われる。つまり特別ゲストの席ではなく、一般の席に座れということ。めちゃめちゃ気にしていることがわかる。
いつものように開演前に特別ゲストの紹介、日本の大プロモーターが紹介されると大喝采。自分も紹介され、一般席にいるのに司会の人がちゃんとピンスポの人に指示して照明を当てられる。こっちにも気をつかってくれているのがよくわかる。別にそんな気なんかつかわなくてもいいのに。ただ今日はマカロフさんと一緒にサーカスが見れたのは楽しかった。公演前にマカロフさんから本を四冊もらう。シャーマンの話だったり、中国のサーカスの話だったり、なんか面白そう。
いつものように10分ぐらい押して、開演。サーカスは眉間に皺寄せてみるもんじゃないマカロフさんとワイワイいいながらみさしてもらった。今日の一番はノーミスで演じたカナダのディアボロだろうなあ。完璧な演技。次のハンドバランスは結構自分は好きだったのだが、マカロフさんは不満があるようす、微妙に趣味が違っているのだが、あの馬鹿馬鹿しいアメリカのミュージカルコメディがお好きなよう。これは嬉しかった。しかしクラウンは本当に面白い。これが見れただけでも来た甲斐があったと思う。
公演後また昨日のメンバーで送ってもらったのだが、ハデルハーンとマカロフさんが来るのを待っている間に、ビタリーといろいろ話す。一番面白かったのはほとんど彼のパートナーといっていいだろう北海道の興行師本間さんの話。前から気になっていることのひとつが、アーティストたちが本間さんのことを話すときのうれしそうな顔。大変なことがあったようなのだが、それでも許したい、とても好きな人という感じが伝わるのだ。冗談のように本間さんの伝記書いて、アートフレンド以降の呼び屋伝が終わるかなんて思っていたが、なんとなく本気モードになってきた。




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サンクト編3 クロンシュタットへ

2010-09-17 15:20:39 | お仕事日誌
サーカスの手配で今日は運河見学のエクスカーションが午前中に組まれている。どうするか迷ったのだが何事も早めにということで、クルーゼンシュタインの子孫で何度かやりとりをしていたアレクセイに電話、12時に会うことにする。相変わらずの渋滞で10分ぐらい遅れてアレクセイがやってくる。大きな男だ。車で街を案内してくれるという。車のなかでロシア語版の「環海異聞」と彼が編集発行したく「世界一周」のアルバムをもらう。こちらからもプレゼント。まずはクルーゼンシュタインの記念碑に。ここで記念撮影。バルト海を見に行こうということで、ネヴァ川河口を目指す。このあたりはいままで一度も足を踏み入れていないところ。新しい街のようだ。雄大な河口が見れるかと思ったら、工事用の砂を採掘するために大きな砂場が横たわり、見れない。彼もこれは意外だったようす。クロンシュタットに行こうということになる。ここから25~30キロのところにあるという。クロンシュタットは行きたかったところ。またしても渋滞が待ち受けていたが、この渋滞をくぐり抜け、フィンランドに向かう道路に出て快適なドライブに。そしてクロンシュタット島までの素晴らしい高速道路に驚く。ソ連時代は海軍基地があったところということで、その名残がたくさん残っている。ナジェージダ号出発時にもあったのか城砦のあとも。静かな街だ。ナジェージダの出発した港に到着。軍艦が碇泊していた。ここからいよいよ大洋に向かい出発したとき、漂流民5人は何を思ったのか。ということに思いふけようとしたらアレクセイがあまり時間がない、急ぎましょうという。彼はこのあとにミーティングが控えているようだ。あっという間の滞在ではあっんたが、クロンシュタットを訪れることができるとは思いもよらなかったこと、ありがたかった。15時半またしても市内は渋滞ということでサーカス場の近くで下ろしてもらう。面白い男だった。
サーカス場からホテルまでは10分ほど。朝から何も食べていない、売店でビールと寿司(!)を購入。日本円で500円以上するこの寿司、いままで食べた弁当では最悪の部類に入る。すぐに下痢症状。このホテルとても快適なのだが、便座とトイレットペーパーの位置が微妙。
18時すぎに歩いてサーカス場へ。特別ゲストはほぼ全員揃っていた。いつものようにハデルハーンとウォッカが待っているレセプションに。マカロフさんがいたので、日本のサーカス芸人のロシアでの足跡について協力を依頼すると、快諾してもらう。驚いたのは彼がシマダグループと一緒に働いていたということ。そんなことを話していると奥の方からヤクーツクのセルゲイがやってくる。呼びかけるとびっくり。聞いてないぞ、俺はという感じであるが、俺もお前が来るのを聞いてないぞというやりとりに。ハデルハーンとセルゲイとアジアチームが揃ったことはなによりなことだ。
19時から今日はプログラムBの公演。公演前に特別ゲストの紹介、昨日は他の場所に座っていたので逃れたが、今日は強制的に特別ゲスト席に座らせられたので、コールのあと立ち上がってお辞儀。
昨日のプログラムよりははるかにいい内容の番組だった。ロシアの番組が少なかった。久しぶりに腹をかかえて笑ったのはアメリカのミュージカルコミック、そしてロシアのクラウンデユオ。これだけサーカスのクラウンで楽しめたのは久しぶりである。
一本ホイールの芸、ディアボロ、ハンドバランスと見応えのあるアクトが多かった。これは芸のすごさというよりは見せ方に工夫があった。あざとい見せ方ではなく、サーカスのアクトをいかに構成してお客さんに感動を与えるかということへの目配りが見事であった。
公演後またお前たちかよと言われそうになるのだが、またウォッカを飲みにレセプションへ。帰りはマカロフさんと同じサーカスアカデミーの一員のヴィタリーさんとハデルハーンと同じ車。ここでマカロフさんにこうしてここでお前と会えて良かった、いろいろスラフスキイからも話を聞いていたので、会いたかったし、交流したいと思っていた。そうだアカデミーのメンバーになってもらおう。ヴィタリーもいるのでふたりが承諾したので大丈夫だとも、ありがたい話である。23時ぐらいホテル到着。


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サンクト編2 フェスティバル開幕

2010-09-16 14:28:26 | お仕事日誌
当然時差もあるのだろう、現地時間の3時ぐらいに目が覚める。近くのカフェで朝飯を食べる。ネットのコード番号を聞き、ネットを開通。メールのチェックそして返信。今日は昼間は自由行動ということなので、天気もよさそうだし、市内を散策することにする。サンクトは何度も来ているので、だいだい方角はわかる。ネフスキイ通りに出て、ネバを目指す。ずいぶん観光都市として洗練されたような気がする。あちこちにガイドの案内。どのくらい歩いたのだろう、たぶん10分ほどでネバ川沿いに出る。以前来たときと比べて車の量が半端でなく増えている。まずは青銅の騎士像の写真撮影。朝は天気が良かったのだが、雲が出てどうしても暗くなってしまう。英国海岸通りを歩き続け、旧ルミリャンツェフ邸の写真撮影。以前も撮影しているのだが、いずれなにかの役に立つかもということである。ネフスキイ通りにある本屋を何軒か見学、やはりドームクニーガが充実している。カタログで読みたいと思っていたサーカスの本が見事に揃っている。マカロフさんの本も4冊あった。両替して、水と寝酒用のコニャックを買って、昼飯。まる一日ぶりでまともな食事。部屋で少し休んでいると、サーカスから電話。19時からフェスティバル開幕なので、18時ぐらいに待機してくれとのこと。今日が開幕だったのかといま気づく。
18時迎えにボリスがやってくる。車にはマカロフさんも。20日のシンポジウムで司会をするようだ。「アートタイムス」のサーカス学誕生をプレゼントしたら大喜び。スラフスキイの写真やクズネッツォーフの写真を見て、ずいぶん親しみを感じたようだ。
サーカス場に到着。自分が今回どんな立場でここに招待されているかわからなかったが、行ってびっくり。完全な特別ゲスト、VIP扱いであった。ドイツのサーカス雑誌を発行している人を紹介してもらう。知っている顔がいないなあと思っていたら、やっと顔なじみのカザフのハデルハーン・ディレクターがやってくる。びっくりしたのはトランポブラザーズのリーダーのパーシャの奥さんのエレーナが来ていたこと。はじめは誰かわからなかった。向こうも自分が来ているのでびっくりしていた。
開演前にVIP用のレセプションルームへ。フェスティバルを記念したプログラム、記念品、そしてゲストの顔ぶれ。かなり気合が入ったフェスティバルであることがわかる。プログラムはAとBのふたつ、カナダ、ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシア、カザフから30組近くのアーティストか出演している。今日はA。開演前にセレモニー、自分も特別ゲストということで名前をコールされた。演目の間には、映像や写真でサーカスの演出についての歴史や演出家たちが紹介されるという趣向。プログラムには演者の名前だけでなく、演出家の名前が記載されている。また詳しく別に観覧レポートを書きたいと思っているが、ウクライナから来たクラウンたちがかなり変わっていた。おそらくサーカスのクラウンではないと思うが、えぐいのが多かった。
コンテスト形式になっているらしく審査員は、サーカス関係者はひとりもおらず、俳優や作家といった人たちがつとめているのも面白い仕掛けだといえよう。
カザフでも見たダスバトゥイリョフの娘アーラのストラップとフラフープをミックスした「ブッタ」がかなり受けていた。
22時終演。サンクトサーカスのディレクターの誘いで、またレセプションルームで飲み直し。アルマトゥイで自分のことを見事なウォッカ飲みと評したガラフコ翁も来ていた。ボリスの車でホテルまで送ってもらう。まずは第一目終了。





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