デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

シャーマン

2009-02-09 12:09:32 | 観覧雑記帳
作品名 「シャーマン」 原題 Shamane
監督 バルタバス
出演 イーゴリ・ゴツマン、スパルターク・フェドートフ、ウラジーミル、ヤーコレフ
1996年/フランス/95分

舞台はシベリア、登場人物はすべてロシア人、全編ロシア語。とてもバルタバスが撮ったフランス映画とは思えない。どんな意図をもち撮ったのかは別として、昨年11月厳寒のヤクーツクを訪れ、シャーマン文化についていろいろ考えをあらためさせてもらういいきっかけになった自分にとっては、非常に面白かった。バルタバスは、ヤクート馬に魅せられ、そしてシャーマンに惹かれてこの映画をつくったとは思うが、それにしても何故シャーマンだったのだろうか?
ヤクート馬がとにかく美しかった。毛深く、小柄で、がっちりとした体型。この馬たちが漂流民たちを乗せた馬車を牽いて雪原を走ったのだろうか。雪原をひたむきに歩む姿は感動的であった。アナトリーが、野生の馬を呼び寄せるときに、口琴をならすシーンでは思わず鳥肌が立ってきた。アナトリーはシャーマンで、ラーゲリの追撃隊の銃撃を受け、死ぬのだが、その前に、何も馬を二頭も盗まなければよかった、一頭だけで良かったのに、その罰を受けたというシーンがあるが、ここで思い出したのは黒沢明の「デルス・ウザーラ」。虎を撃ってしまったことで、突然脅えるデルス・ウザーラの姿がだぶってきた。
逃亡の案内をするはずのアナトーリーが死んでしまい、まったくひとりで逃亡せざるを得なくなる主人公だが、アナトーリーはシャーマン、肉体は滅んでも魂は、この世の万物に宿っている、ヤクーチアの人々に助けられながら、西へ西へと向かう主人公。この逃亡がこの映画の中心になっているが、なかなかよく描かれている。助けるヤクーチアの人々、老婆のシャーマン、馬に蹄鉄をつけてくれるアナートリーの生まれ変わり、さらにはツァーをまだ信じるちょっといかれたコサックなどの姿が丁寧に描かれている。バイカル湖の凍てついた氷に閉ざされたままの船に住み込み、世界への航海を夢見るおやじのキャビンにヴィソツキイの写真が貼られ、歌も流れたのにはちょっと感動。
バイカルを渡り、イルクーツクの町に入り、やっとモスクワまで帰るチャンスをもらうのだが・・・
サハサーカスの総裁セルゲイと奥さんのマルファに見せて上げたい映画だった。
満足度 ★★★



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