学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学を研究しています。

若きヴェーバーの「通俗講演」

2014-04-21 | 石母田正の父とその周辺
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2014年 4月21日(月)12時34分59秒

今日はマックス・ウェーバー生誕150周年記念日ですね。

石母田正氏が「宇津保物語についての覚書─貴族社会の叙事詩としての」を書くにあたって刺激を受けたというウェーバーの「古代文化没落の社会的諸原因」には邦訳、それも堀米庸三氏によるものがあるんですね。
ただ、タイトルが「古代文化没落論」と変更されていて、『世界大思想全集 社会・宗教・科学思想篇 第21巻』(河出書房、1954年)という古風な本に載っていたので、気づいていませんでした。
同書の訳注には、

--------
ここに古代文化没落論として訳出した論文の原名は、古代文化没落の社会的諸原因(Die sozialen Gründe des Untergangs der antiken Kultur.)といい、一八九六年フライブルク・イン・ブライスガウのアカデミー集会で行われた通俗講演に基いて書かれたもの。ヴェーバーは一九八四年以来同地の大学の経済学正教授であり、時に三十二歳であった。この講演の構想は彼のベルリン大学への就職論文、「ローマ農業史」(Die römische Agrargeschichte in ihrer Bedeutung für das Staats- und Privatrecht, 1891.)の第四章、「ローマの農業と皇帝時代のグルントヘルシャフト」(Die römische Landwirtschaft und die Grundherrschaften der Kaiserzeit.)によるものであり、古代文化の没落をローマ史に内在する契機から説明しようとするもの。数ある古代文化没落論の中にあって、今日においても、最も重要なものであり、若きヴェーバーの溌剌たる才気を最も良く示す業績である。
--------

とあります。
「通俗講演」とありますが、内容は非常に高度で、いったいどういう聴衆が相手なんじゃ、という感じがしますね。

石井先生、「果たしてそれだけでしょうか」(by 小太郎)
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7267
『古代文化没落の社会的諸原因』
http://6925.teacup.com/kabura/bbs/7264
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする