学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学を研究しています。

シュレディンガー音頭

2009-09-10 | その他
シュレディンガー音頭 投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2009年 9月10日(木)23時49分33秒

>筆綾丸さん
『宇宙を織りなすもの』上巻を読み終えました。
『磁力と重力の発見』と『一六世紀文化革命』の場合、読み進めるにつれて少しずつ賢くなれたような実感があったのですが、『宇宙を織りなすもの』はなかなか微妙ですね。
著者の比喩の能力が抜群なので、何となく分かったような気もして、素人なりに楽しめるのですが。
シュレディンガーの猫については以下のような記述がありました。

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 デコヒーレンスとは要するに次のようなことである。孤立した一個の光子が、スリットが二つ開いたスクリーンに向かって進むという単純なケースにシュレーディンガー方程式をあてはめれば、よく知られた干渉パターンが得られる。そして実際、実験室ではその通りのことが観察される。しかし、こういう実験室での出来事には、日常の世界にはない、きわめて特殊な二つの性質がある。第一に、私たちが日常出会うものは、光子よりも大きくて複雑だということ。第二に、私たちが日常出会うものは、他と相互作用をしない孤立した状態にはなく、私たち自身とも、周囲の環境とも相互作用をするということだ。
(中略)
 光子や空気の分子はあまりにも小さすぎるため、この本や猫といった大きな物体の運動にはこれといった影響を及ぼせないが、それとは別のことができるのだ。光子や空気の分子は、大きな物体の波動関数をたえず「小突く」ことにより(物理学の言葉で言えば、波動関数の「コヒーレンス」を乱すことにより)、整然と並んでいた山、谷、山の系列をぼやけさせるのである。これは非常に重要なことだ。なぜなら、波動関数が秩序だっていることは、干渉効果が生じるためには必須の条件だからである。
(中略)
 何十年ものあいだ、「半分は生き、半分は死んでいるという状態は、猫にとって何を意味するのか?」とか、「蓋を開けて猫を観測するという行為は、いかにして猫にひとつの確定した状態を選び取らせるのか?」といった問題をめぐって熱い議論が戦わされてきたが、デコヒーレンスの考え方によれば、人間が箱の蓋を開けるずっと前から、環境は何十億回もの「観測」を行って、量子力学の不思議な確率を、あっという間に不思議でも何でもない古典力学の確率にしていたことになる。あなたが猫を観察するずっと前から、環境は猫にひとつの確定した状態を取らせていたのだ。デコヒーレンスは、大きな物体から、量子物理学の奇妙な部分を叩き出す。周囲の環境からやってくる無数の粒子が物体に衝突して、量子的世界の奇妙なところを少しずつ運び去っていくのである。
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もっとも、著者はデコヒーレンスでは説明できないものが残ることを続けて力説していますが。

シュレディンガーの猫
http://en.wikipedia.org/wiki/Schr%C3%B6dinger%27s_cat

シュレディンガー音頭
http://schrodinger.haun.org/

猫の鈴木小太郎
http://yaplog.jp/replay-gohan/archive/1483
コメント
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