大福 りす の 隠れ家

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彼女達 第17回

2012年01月09日 12時47分37秒 | 小説
第1作 『僕と僕の母様』 全155回 目次ページ


                                             


『彼女達』


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彼女達 第17回



卒業をして 20年を過ぎた頃、真紗絵の携帯電話が鳴った。

「もしもし・・・あ、志乃?」

「うん、今週末ヒマ?」

「空いてるわよ」

「秋美ちゃんとそっちに行っていい?」

「おいでよ、おいでよ また女三人で酒盛りしようよ」




卒業後は それぞれの道を歩んでいたが 10年を過ぎた頃、バッタリ真紗絵と志乃が 偶然にもピアノ発表会の場で逢ったのだ。

真紗絵は次女の発表会に来ていた。 志乃は元同僚の子供の発表会であった。



志乃が元同僚を探し 客席を見回していると 後ろから

「ごめんなさい 通してもらえますか?」 と後ろから声が聞こえた。

「あ、ごめんなさい」 と振り返った志乃。

「え?」 勿論、声をかけたほうも 「え?」 お互いあまりの驚きに 一瞬、時間が止まった。

「もしかして・・・志乃?」 真紗絵が先に言った。

「やっぱり真紗絵?」

「そうよ! ああ、こんな所で逢うなんて 信じられないわ」

「ほんとに真紗絵なの!」

「そうよー! ここじゃ人の邪魔になるから とにかく空いてる所に座らない?」

「あ、ごめん。 元同僚を探さなきゃいけないの。 真紗絵このあと時間あるの? お茶しようよ」

「うん。 うちの子が5番目に出るから 今ステージ裏に連れて行ったんだけど 子供の演奏が終わったら大丈夫よ。 お茶の間子供がいるから落ち着けないけど」

「そうなんだ。 真紗絵、子供がいるんだ。 私は元同僚の子供の演奏を 聞きに来たんだけど その元同僚が見つからなくて」

「なんて名前?」 プログラムを鞄から出している。

「大槻もえちゃんって言うの」 真紗絵はプログラムを 端から見ようとしたときに

「ああ、きっとさっきの・・・」 プログラムを見た。

「あ、やっぱり。 1番目の子よ。 お母さんがまだ舞台裏で ご機嫌を取ってたわよ」

「ああ、それでいないのね」

「とにかく座ろうよ」 真紗絵が志乃の手を引いた。

「そうね」 空いている席を探そうとする志乃に真紗絵が

「舞台裏から客席に入ってくるには あのドアからだから あそこの近くに座りましょう。 そしたら客席に入ってきた その元同僚さんもすぐに分かるでしょ」

「うん、そうね」 真紗絵の言った席に座り

「懐かしい。 まさかこんな所で逢えるなんてね」 すぐに真紗絵がそう言った。

「ほんとよ。 子供がいるってことはいい奥さんしてるんだ」

「う・・・ん それはね、ちょっと」

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