大福 りす の 隠れ家

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彼女達 第11回

2012年01月01日 01時35分00秒 | 小説
第1作 『僕と僕の母様』 全155回 目次ページ


                                             


『彼女達』


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彼女達 第11回



翌日学校へ行くと 真紗絵が遅刻ギリギリセーフで 教室に入ってきた。 秋美が皆と騒いでいたが 真紗絵に気付き

「真紗絵どうだった?」 

「うーん、どうだろう。 出来たような 出来なかったような」 晴々とした顔つきだ。

「それっていいんじゃない。 出来なかっただけじゃないのね」 

「多分ね、 でももう終わったから どうでもいいわ。 あー、気が楽」 

「私は今週末から受付開始だから 同じくらいに 結果が分かるのかな?」 秋美が言った。

「私の方が早いんじゃない?」 楽しい会話が交わされている。

それを遠くに聞きながら 志乃は机に伏せっている。 その様子を見た真紗絵が 志乃の方に近寄って

「志乃どうしたの?」

「何でもない寝不足」 顔を少し上げて返事をしたが また両方の腕に顔を伏せた。 

「起こしちゃった? ごめん。 じゃ、寝てるといいわよ」 そう言って また賑やかな方へ帰っていった。

担任が教室へ入ってきて 朝のホームルームが始まった。



数日が過ぎ 秋美は書類を提出していた。 志乃はと言うと休み時間 進路指導室に呼ばれていた。 履歴書を書かされていたのだ。 履歴書一つの書き方でも合否が決まる。 

履歴書を書き終え 就職指導の先生に見せると 一発合格だったが ある言葉が添えられていた。

志乃が書いた履歴書を ファイルに納めながら 就職指導はこんな事を言い出した。

「お前は 相当なことが無い限り合格だからな」 

「どういうことですか?」 意味が分からないといった感じだ。

「相手さんはクラブ員をくださいと言ってきてるんだよ。 お前の今までの成績を言っただけで合格だよ」

「父は大きな会社だと言ってましたが そんな大きな会社がそんなことくらいで 合格って決めちゃうんですか?」

就職指導は志乃の目を見ながら 説き伏せるように言った。

「もともと 一人も落とす気は無いんだよ。 相当でない限りはな。 言ってみれば 学校で選抜し終えた人間だけが 試験を受けるんだから その時点で合格なんだよ。 試験も一般常識だから 特別な知識が必要ではないからな」 

「そうなんですか」 腹括りが無いだけに どうも気持ちがパッとしない志乃であった。

「お前、くれぐれも学校の名を汚すんじゃないぞ。 頓珍漢な面接をしてくるんじゃないぞ」

「分かってます。 じゃあ今日はこれでいいですか?」

「おおいいぞ。 試験は再来週だからな」

「失礼します」 進路指導室を出て行った。

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