大福 りす の 隠れ家

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彼女達 第1回

2011年11月12日 02時04分36秒 | 小説
第1作 『僕と僕の母様』 全155回 目次ページ


                                             





彼女達 第1回



全く違う環境で生活しながらも 昔ちょっとしたきっかけで ほんの数ヶ月しか供に過ごさなかったのに 何年たっても心が許しあえるということがあるのだろうか。
ずっと友達でいられるという事があるのだろうか。



秋美は専門学校を卒業し、帯屋へ勤めだした。 

そして そこに出入りする 5歳年上の男性と 付き合うようになったのだが ある日の会社の帰り、男性に家の近くまで送ってもらっていたのを 運悪く父親に見られてしまった。 

父親は即座に勤めを辞めさせ 秋美を家から一歩も出させなくさせた。


それから一年たったころ 兄嫁が上手く秋美の父親を説得してくれ 近所のパン屋で アルバイトを始める事が出来た。 

秋美にしてみれば 一年ぶりの社会生活だ。

アルバイトをしていると 何人かの男性から言い寄られるが もう二度と家に閉じ込められたくない という思いから 誰とも付き合うことはなかった。


秋美が25歳の時、父親の決めた男性と 見合いをさせられ そのまま結婚の運びとなってしまった。

結婚をし、田舎に嫁いだが どうしても父親の選んだ相手を 好きにはなれない。 

毎日を氷のような顔で過ごしている。 相手が何を言おうとも 必要最低限の返事だ。 

そんな相手の子供を そう簡単に産みたくはない。 それに父親に対しての意地がある。 

何も自由にさせてもらえなかったせめてもの反抗。 それは孫の顔を見せないことだった。 誰にも内緒でピルを飲んでいた。 


しかし嫁ぎ先の両親は とても可愛がってくれている。 

それに相手がとても優しいという事は充分 分かっていた。 秋美がこんな態度をとっていても ずっと心を開くのを待っている。 

そして 最初から分かってはいたことだが 秋美の立場からすれば いずれ跡取りの男の子を 産まなくてはならない。


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