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五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

お水取りの松明

2007年03月12日 | 第3章 無意識の世界
関西の人々は、「お水取りが終わると春が来る」と口々に云います。
いつかはその時期に訪れたいと思い続け、ようやく念願が叶いました。

3月1日から2週間続く本行。正確には修ニ会(しゅにえ)と云います。
人の持つ「むさぼり、怒り、愚痴」の三毒によっての様々な罪を懺悔し、清浄な身心を得ることによって、災いを取り除き幸福を招くための行です。
簡単に云いますと、「人々の幸福を願う行事がお水取り」なのです。

10日、小雨がぱらつく中、東大寺の二月堂前で19時から始まる松明(たいまつ)の行を1時間ほど待ちました。
数時間前から火の粉を浴びる位置を陣取り日が暮れるのを待つ人、二月堂を遠めに眺め雑踏から離れて眺める人、それぞれです。
私たちは是非近くで見たいと願い、二月堂を間近に見上げることの出来る場所を確保することができました。始まる30分前には身動きが出来なるくらいの混雑ぶりです。
そうはいっても、松明を待つ大勢の人に苛立ちは無く、静かに時を待つ。そんな感じです。

いよいよ、
夕暮れが闇に変わり、七時の梵鐘とともに、お堂の明かりがいっせいに消されます。
皆息を殺して、音を待ちます。

暫くたつと、長い竹の枝の松明を持った練行衆が一人階段を駆け昇る音が聞こえてきました。そしてその松明を掲げ二月堂の角に立ちます。そこで燃える炎を安定させるように松明をゆすります。すると火の粉が大きく散ります。

大きなどよめき。大きな歓声。

「揺れる大きな炎は、魂で、生命の源だ」
初めて目の当たりにする松明の炎に、そういう想いが湧き上がりました。

「火は、生命の躍動を投影するもので、私の命もこのように躍動しているのかもしれない。」

意識せずして涙が流れ落ちていることに気付きました。
炎が舞い上がり、火の粉が大きく散る毎に、ため息と感嘆がどよめきとなり、人の声の渦となるのです。

自己と炎の姿を重ね合わせると、瞬間のうちに溜めた心を浄化されていくように感じます。不思議な浄化作用です。

松明の炎。
もう少し、思い巡らし、静かに自分を見つめたい、今はそんな想いです。


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7 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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炎の不思議 (金沢)
2007-03-13 18:33:13
炎を見ていると、内から力が湧いてくるような不思議な気分になるものでした。最近は焚き火などする事もなくなり、大きな炎を見ることが少なくなりました。
「お水取り」への憧憬がますます強くなりました。
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Unknown (露芳)
2007-03-13 19:00:58
1,256回目のお水取り。毎年毎年続けてきたこの行を私の祖先のうちの数名は絶対に見たであろう。。。もしくは、練行僧として参加していたかもしれない。。。そう思うともっと身近なものに感ずるのです。炎を見る私たちの感性に遠い記憶として体内に宿っているような気がしてなりません。憧憬は、もしかしたら無意識の記憶の懐かしさかもしれませんね。
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Unknown (八王子の森)
2007-03-14 07:08:38
感動的なお話!行かれて良かったですね。
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歴史の面白さ (Unknown)
2007-03-15 16:31:41
東大寺と景教の深い関係をしばしば本で読みますが、ゾロアスターとも、キリスト教とも、深い関連があるようですね。貴重な体験を有難うございました。
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Unknown (露芳)
2007-03-15 18:30:24
八王子の森さん、出合ったその場で感じるものを大切にしていきたいものだと、しみじみ思いました。

歴史の面白さ、ほんと、そうなんです。
大地に立ち、空を仰いで、火を見つめて、水を眺めて、風に吹かれて、ほんとうにほんとうに見えてくるものは美しいものばかりです。あらゆる人種、宗教、文化は全て繋がっていて、表層的なものではなく、そこから見えてくる本質を感じ取りたいと、常々思っています。
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平和 (Unknown)
2007-03-15 19:45:01
露芳様のお考えならば宗教戦争はありえませんね
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Unknown (露芳)
2007-03-16 22:25:17
ありがたきお言葉・・・。感謝。

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