五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

無骨な統合

2010年03月14日 | 第2章 五感と体感
広島の島を舞台にした過去に一世を風靡した作家と女性編集者の物語。
昨晩、室生犀星原作の「火の魚」という題名のドラマを観ました。

昨年暮れにBSで放映され、たまたま、そのドラマ出合った私はテレビに釘付けになりました。今回二度目の鑑賞です。

死と向き合った時に陥る「不安感」「恐怖感」「孤独感」を一人の人間が、その感情をどう解釈し、処理していくか。

人の「心と体と魂」から湧き出す「感情」が、「思考」と「行動」を生みだしていきます。
その思考と行動は、人によって違うのです。

孤独感を克服するために自分はどんな思考と行動をしているのだろう?

改めて考えさせられました。

一見高慢な作家は、実は孤独の淵を彷徨いながら無骨な自分と向き合った生活をしています。東京から小さな島に移り住み10年、毎日自分の健康を気遣い、島の人々に悪態を見せながら暮らしています。
そんな暮らしをしている彼のもとに、若い女性編集者が担当としてやってきました。

否定的な作家の感情は、いつしか人を好ましく思うことに戸惑う自分との葛藤へと変化していきます。
その作家の無骨なアプローチが、彼女の孤独の淵をだんだんと顕わにしていくのです。

二人の登場人物の思考と行動の個性の差を表現しながら、人の感情とアイデンティティの統合に向けての葛藤とプロセスに焦点を当てた脚本に巧さを感じました。

孤独感を顕わにすることは残酷なことでも悲しいことでもないのです。
自分の中にある真実が顕わになるということは、自分のアイデンティティを統合させるための一歩でもあるのですから。

癌が再発した彼女を見舞う無骨な作家の手には、赤い薔薇の大きな花束。
無骨な男のアイデンティティの統合に悔いの無い喜びが湧き出します。

「自分が自分とどう向き合うか?」
自分の内に潜む愛と信頼が目覚めたときに、人の本質である不安感を浄化させていくように思いました。つまり、愛と信頼に対局する不安感や不信感は、感情の種類としては同じものなのです。同質、と表現したほうがよいかもしれません。同質であるから故に、葛藤に苦しみます。
普遍性とは、理屈では語りにくく、自分の中に起こる葛藤が浄化されつつあるときに感じる体感から見えてくるもののように思います。

今朝はちょっと屁理屈をこねすぎたかな。。。

兎も角、「火の魚」、面白かったです。


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