Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

ACL2009 明暗分けた A-League 勢

2009-04-18 | Football Asia

 4月7,8の両日、 AFC Champions League の第三節がアジア各地で行われた。 2年前から私の注目のオーストラリア A-League 勢。
今大会は  “一昨シーズン” の Grand Finalist の Newcastle Jets と Central Cost Mariners が出場権を得ている。 しかしながら悲しいかな Salary Cap 制度のある A-League では 2008年2月の Grand Final を終えてから両チームの選手の殆どが移籍してしまい、Mariners は John Aloisi がSydney FCに移籍したり、Tony Vidmar が引退したりで Finalist に出場そしてベンチ入りを果たしただけのメンバーを入れても契約を更新しチームに残留した選手は10人、 Jets は11人。
昨シーズンは今年の2月末をもって終了し Mariners は何とか4位に入り Final Series に進出したが Jets は最下位に沈んだ。 
そしてこのACLの試合ではMariners は CB Alexander William , GK Daniel Vukovic の2人だけが、 Jets は DF Matthew Thompson, Adam D’Apuzzo, Tarek Elrich の3人だけが一昨シーズンの Grand Finalist のメンバー。現在 Jets の FW Sasho Petrovski は当時 Mariners のFWとしてプレーした。  しかし監督は Jets が Gary van Egmond, Mariners が Lawrie McKinna と共に当時のままだ。

先週行われた第3節では両チームとも J-League 勢と当たり結果は明暗を分けた。

8 April Nagoya Grampus Eight 1 – 1 Newcastle Jets

Newcastle Jets は強豪日本の Nagoya Grampus とアウェーゲームながら 1-1 で引き分け価値のある勝点1を獲得、 ACL の1次リーグ突破に向けて重要な前進を遂げた。 Jets は主力のイタリア人選手でかつて Parma, Bologna, Bari ,Lazio にも所属した Fabio Vingnaroli をふくらはぎの故障で欠く苦しい布陣。 Van Egmound 監督は早い時間に失点しない様に試合開始前に選手達に何度も説いた。しかし早い時間の失点したのは対戦相手の名古屋。前半9分に Mareko Jesic の強烈な右足のショットは楢崎が弾きポストに当たる。そのこぼれ球に詰めたTarek Elrich が押し込み先制ゴールを挙げた。

   
 
尚も Jets の攻勢は続き オランダ人選手の Donny de Groot そして Sasho Petrovski の素晴らしいアシストを受けた Elrich が連続して名古屋ゴールを襲う。 後半直後には Adam Griffiths のショットがやや横に外れる。50分にはこの日、大活躍の Elrich のショットを楢崎がストップ、更に Petrovski が楢崎と交錯しゴール前が無人になった所をDe Groot が決定的なシュートを放つが何とボールはポストを外れてしまった。
健闘を続けていた Jets だったがついに65分に Keiji Tamada のFK で同点に追いつかれた。 この日効果的な動きを見せていた Adam Griffiths がエリアの近く、ゴール正面でファールを犯しFKを献上。玉田が Jets ゴールに向けて蹴った弾道に GK Kennedy は一歩も動けなかった。

  

追い付かれてもJets は再び勝利を目指し Jesic がヘッドを放つがここは楢崎が好セーブ。 そして途中出場の Jobe Wheelhouse が88分のチャンスを逸し、試合は 1-1 のドローに終わった。
Jets の得点チャンスはほとんど前半に集中しており後半は守勢一方であったが試合に勝つチャンスもまだあった。Nagoya は試合のほとんどを支配し何とかこの日すぐれた出来の Jets 守備に一穴を開けようと喘いだ。Jets のDF Ljubo Milicevic, 若い Ben Kantarovski そして 中盤が Grampus の攻撃をせき止めていた、そしてGK Ben Kennedy が素晴らしい守備を披露した。
Jets は4人の選手にイエローカードが出され、 Adam Dapuzzo と Milcevic が次のホームでの名古屋戦は出場停止となった。 この勝点1でNewcastle Jets の勝点は4。首位を行く名古屋とは勝点1差。ACL1次リーグ前半の日程を終えてベスト16は十二分に射程距離内である。

この“健闘”に OUTSPOKEN (ずばずば物を言う。) Con Constantine オーナーは試合後、この“強豪”と勝点を分け合った事実を見て “ Newcastle Jets はAsia Champions League で勝つことが出来る”と信じ出した。
昨シーズン最下位に甘んじた Jets はこの ACL に向けて10人の選手を新たに加えた。そして“新装” された Jets が初めて臨んだ ACL 。初戦アウェーの北京国安戦では 0-2 と敗れたが続く蔚山現代をホームに迎えた第二戦は Petrovski の連続ゴールで2-0 と快勝。このアウェーでの名古屋戦が今後の ACL の見通しを立てる重要な試合だった。
試合後 Jets は ACLのタイトルを勝ち取れるチームかと言う質問に対して、
“ 昨夜の試合後、私はそう考える様になった。 Nagoya は私達をさらしものにし自分達の力を見せつけようとしたかった。しかし我々の Boy 達は素晴らしく、もう1,2点奪えても良かった。 Nagoya はこのグループではベストのチームだろう。しかし我々は恐れる必要はどこにもない。 もちろん彼らの”予算“は我々よりも多いだろう。しかし成功を常に買える訳では無い。 ACLには良い手ごたえをつかんでいる。 誰も予想だにしなかったA-League のタイトルを取った時と同じ感じがする。 我々はただ少しばかりの Lady Luck ( 幸運 ) を必要とするだけだ。 “

昨シーズン、その前のシーズンの A-League 王者から急転して League 最下位に終わった事に就いては、
“それはクラブの誰にも受け入れられなかった事だ。そして私にも。 しかし我々はそれを冷静に受け止め、次にいい方向に進む。それが我々が行った事だ。 我々は多くの選手を放出した。のぞむとのぞまざるとそれは起こる事だ。  Grand Final に勝った選手達にあらゆるところからオファーが来た。何人かの選手は当時の2倍半のサラリーを手にする事が。 あなたならどうする? 今我々は全く新しいチームとなった。雰囲気はまったく異なる。この試合でゴール前に置かざるを得なかった Ben Kennedy には10点満点を与えたい。 彼は地元出身の選手だ。監督の Gary van Egmond に就いては彼は Grand Final から昨シーズンまでの過程から多くを学んだだろう。今や彼は再び最下位に沈まない様に努力できるだろう。彼はかつてよりの上手くやるだろう。“ 

Jest のゴールは昨シーズンはワールドカップで第3GKとして Socceroos のメンバーであった Ante Covic が守っており Ben Kennedy は昨シーズンA-League では出場すらなかった。ファインセーブを連発した Kennedy に Constantine もご満悦の様子。
だが昨シーズンまでチームの中心選手だったJoel Griffiths の事となるとトーンが少し変わってくる。 現在 Griffiths はレンタル移籍でチームにはいないがその移籍先が ACL で同じリーグとなった北京国安。ACL初戦では先述したとおり 0-2 で敗れたが Griffiths は北京国安のメンバーとしてプレーした。5月6日の ACL 第5節ではホームにこの北京国安を迎えるが契約ではこの試合に Griffiths はプレー出来ない事になっているらしい。
“ もし Joel がプレーしたいのであれば彼を止めようとする私は何なんだろう? ここに条項がある事は知っている。しかしクラブは彼にプレッシャーをかける事は確かだ。もし彼がプレーするならば私は悲しい。 それは Jets サポーター達に間違ったメッセージを送る事となる。 しかしまだ何も決まっていない、どうなるか見なければならない。”

Newcastle Jets は次節はホームで名古屋グランパス、北京国安と連戦。 そして最終節はアウェーで蔚山現代戦。昨シーズンの Adelaide United に続いて1次リーグを勝ち抜けるだろうか…….

名古屋グランパス    (JPN) 3 1 2 0 4 2   2 5
北京国安         (CHN) 3 1 1 1 2 1   1 4
ニューカッスル・ジェッツ(AUS) 3 1 1 1 3 3   0 4
蔚山現代                   (KOR) 3 1 0 2 2 5 -3 3 

   
  
Central Coast Mariners 0-5 Kawasaki Frontale

Kawasaki Frontale はオーストラリアを訪れ、どのチームよりも精密な準備を施し次のラウンドに進出する事をほぼ確実にし オーストラリアを後にした。 
オーストラリアに姿を現した Frontale は Central Coast に対し ACL 戦で 5-0 と言う勝利を加え 9419人の観客に唖然とさせるパフォーマンスによって畏敬の念をうたせた。24時間前に アウェーで Nagoya Grampus と死闘の末 1-1 のドローを演じた湾岸を通した対面の Newcastle をホームとするJets との違いを“知覚的に”見せつけられた。 
Mariners の Lawrie McKinna 監督は自分のチームのパフォーマンスを“過去最低のもの”と表現する一方で対戦相手を“凝視するに値するチーム”と認めた。

“ Frontale は我々が対戦した中で最も小さな攻撃陣と中盤で形成されていたが、彼らの動き、タイミングは目を見張るものがあり、過去に対戦したチームの中でも最高のチームだった。 しかし我々は不用意にボールを失い過ぎたがそれは相手が偉大なだけではなかった。我々が悪すぎたこともあった。” 
と述べフロンターレの様なテクニックにたけたチームと対戦するには緊張感と貫録にかけたとも語った。
“彼らは随所でワンツーを見せた。 それは我々が改善すべき重要な点である。”

それに対して勝利を収めた Frontale の Takashi Sekizuka 監督は 5-0 としながらも Mariners にリターンマッチに向けての“起爆剤”を与えない。
“ 私が予想した事は大変厳しかった。 我々は充分に準備を行い、その過程でかれらのフィジカルの強さと能力を充分に印象付けられた だから我々は組織的に戦う事をこころがけ彼らの利点を無害にしようとした。”

それでも先制のチャンスは Mariners が掴み Nik Mrdja が放ったフリーのヘッドは GK 川島の正面を突いた。そして8分に鄭大世が先制ゴールを挙げ、22分には谷口、37分にジュニーニョが決めて前半で3点差をつけた。後半開始早々にも中村憲剛が決めて70分にはレナーチョが息の根を止める5点目を挙げた。
Mariners GK Vukovic もなす術がなかった。 そしてこの日 Gosford に集った地元サポーター達はどういう思いで帰途に着いたのだろう…….

   

この敗戦に Mariners の出資者 Peter Turnbull は怒りの矛先を Socceroos 監督の Pim Verbeek に向ける。 
Mariners はつい最近まで代表の左サイドを担う Scott Chipperfield と契約締結の一歩手前まで来ていた。それは地元サポーターのみならず A-League 関係者を大いに期待させるものであった。しかし最終的に Chipperfield は“もう1シーズン FC Basel でプレーする。”事を決意。 多くの関係者達を落胆させた。 

“ Socceroos は選手達を故国に帰還させない様にしている。そして有望な A-League の選手達は次々に海外に目を向ける。これは Mariners の Vice President としての立場で話しているのではない。” 
そして FFA に代表チーム監督に一言言って貰う様に依頼するか?との問いには“ No Comment “ と答えた。しかし Chipperfield に就いてとなると

“ 彼は Newcastle, North Queensland とも話をしていた。そして我々を含めた A-League のチームの何れかと契約を締結するものと思われていた。 4月1日のウズベキスタン戦の合宿前までオーストラリアに帰国する意思を固めていた。しかし代表チームの合宿に参加した途端に欧州にもう1年留まる事を決意した。それは Pim の言った事に耳を傾けたからだ。 Chippefiled は帰国しようとしていた、そしてそうしなかった。 だから私は Jason Culina を尊敬する。 かれはまだキャリアーの中でピークにあり、代表でも中心選手でありながら A-League 入りを決めた。 彼はこれまでの傾向に反して帰国を決意した。それは A-League を信じているからだ。 それは素晴らしいストーリーだ。” 

確かに Verbeek 監督はワールドカップに向けて欧州でプレーする事を大いに奨励している。 A-League と比較すると欧州シーンは絶対的な違いがある事は誰にでもわかっていることなのだけど。 3月5日に A-League 選抜でキャンベラシティーで臨んだクウェートとの Asian Cup 予選では 0-1 で敗れているだけに…..

“この日の敗戦(対川崎戦)で、 J-League がいかに素晴らしいかを証明した。そして FFA を含めたすべての人達が A-League もここまでのレベルになる事を熱望する必要がある。 しかし我々には深刻な問題がある。 A-League での試合内容を向上させるでもなく、FFA の senior employee ( Pim Verbeek ) が Socceroos 達が A-League でプレーする事を奨励しない上に A-League の有望選手達に A-League に留まらずに欧州行きを奨励するこのこの環境の中でどうするのだろう? もし我々が日本のチームに 5-0 で敗れたらどうやって物事をよく出来るのだろう? もし Socceroos 選手が戻ってこなければ、我々のベストプレーヤーをとどめる事を出来なければ? FFA に雇われているある人物は A-League を弱めるコメントを続け、 J-League のみならず中国超級、 K-League との競合も弱めており今や Majour League Soccer でさえ我々の選手達を物色し始めている。“ 

   

Turnbull 氏のみならず、 North Queensland Fury, Gold Coast United そして Perth Glory のオーナー達も公の場で同じ様なコメントを発している。
今の Mariners のメンバーの中でも GK Danny Vukovic そして Matt Simon , Dean Hefferman らの海外移籍が現実視されており、特に Matt Simon は アメリカ MLS  Colorado Rapids への移籍がほぼ決まっているとか…..

Mariners は次節はアウェーでフロンターレ戦、そして5月5日は浦項スティーラーズとアウェー。最終節は天津泰達をホームに迎える。 ホームゲームは1試合しか残っていない。ちょっと勝ち抜くには厳しくなって来た。

川崎フロンターレ    (JPN) 3 2 1 0 7 1   6  7
浦項スティーラース (KOR) 3 1 2 0 2 1   1  5
セントラルコーストマリナーズ(AUS) 3 0 2 1 2 7 -5  2
天津泰達              (CHN) 3 0 1 2 2 4 -2  1

    

最後に言わせてもらおう。footballist 4月22号の31ページのコラムを執筆した”ジャーナリスト”氏に。 Newcastle Jets が A-League を制したのは昨シーズンではなく”一昨シーズン。”そして先月の Asian Cup 予選でのクウェート戦で MathewThompson はフル出場するものの Nikolai Topor-Stanley とTarek Elrich がベンチにおり出場はありませんでしたが、今回のワールドカップ予選に出場した選手は DF のNikolai Topor-Stanley くらいで最終予選での出場者はおりません。

購読料をとるのであればきちっと正確に。