Mr.コンティのRising JAPAN

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エースの “一蹴り” 南アに大きく前進

2009-04-05 | FIFA World Cup

日本のキックオフで始まった後半、遠藤からボールを受けた内田が前にフィードする。それを Mohamed Marzooq がヘッドで跳ね返すが落下点には長谷部が、その長谷部が前に出したボールは一旦 Yusuf Salmeen の足もとに入るが、俊輔、長谷部そして達也が一斉に囲み、最後は長谷部が玉田に出す。すると玉田は中にドリブルで切れ込みだす。前には大久保が張り出すが大久保はそのままゴール中央方向にドリブルで切れ込む。そこに Marzooq が後ろからチェックに入り玉田が倒れてホイッスルが鳴る。ゴール正面でのFKを貰った。まだ開始33秒だ。このチャンスを“逃すまいと”観客席の私はデジカメを、隣席の息子は携帯を取り出す。
セットしたボールの後ろには俊輔と遠藤が立つ。そして俊輔が蹴ると見せかけ遠藤に出し位置をずらしボールを止めた所を俊輔が左足を振り抜くとボールはそのままGK Sayed Jaafar のいっぱいに伸ばした左手の先に飛びバーレーンゴールの右上隅に吸い込まれていった。 
周りの観客が一斉に立ち上がり球技場全体に大歓声が沸き起こる。久々に俊輔が直接FKをゴールに蹴り込む所を拝む事が出来た。 “喜びを終えた”俊輔がしきりに唇に手をあてていた。後でテレビを見たら唇を切っていた。 そして私達のシャッターチャンスは…… ピントがずれていた…

    


3月28日、私が1年で一番好きな月がこの弥生、3月。ぽかぽか陽気で全てを温かい空気で包みだしてくれるあの雰囲気はいくつになってもいいものだが、今年はもう4月がそこまで来ていると言うのにこの寒さ。確かに3月中旬は春の陽気を楽しめたけど…… まぁ気温が低い方が対戦相手のバーレーンに不利になることからこの日ばかりはこの寒さは歓迎せねばならないだろう…..と息子と二人でさいたまスタジアム2002 に出かけた。
今回とれたチケットはカテゴリー3。これまでここでは“常にカテゴリー1”で観戦していただけにピッチが遠く感じる。しかし息子は“選手の全体の動きが見られるから良い。”と言ってくれた。おいおいなかなか玄人的な考えじゃないか…. 確かにオーストラリア戦を観戦した横浜国際はカテゴリー1なのに少し見づらい部分もあった。
ここさいたまスタジアムもゴール裏は両方とも日本のサポーター達で満員だ。しかし試合と共に一斉に立ち上がるから私はそれが好きでは無い。本場欧州だと立見席があって“騒ぎたい”サポーター達はそこに集まり、子供連れなど座って観戦したい人達はゆっくりシートに座れるようになっているのだ。
着席するとすぐに両チームのスタメンが発表になった。サプライズはバーレ-ンのDF Mohamed Marzooq が入っていたこと。 もう招集されないと思っていたのだけど…..

日本代表は前節オーストラリア戦とほぼ同じ。GKには楢崎が“復活”し MFは大久保がスタメンに。選手達が入場し両国の国家が流れる。バーレーンはテープで、そして君が代は地元さいたま市立海老沼小学校の児童達の合唱だが、前節のオーストラリア戦もそうであった。これから芸能人に歌わせないで子供達の合唱で行くべきだと思う。そうでないと日本代表の試合が安っぽく見える。Jリーグ発足前、明石家さんまさん以外、芸能関係者の誰がサッカーに関心をもっただろう???

    

そして選手がピッチに散らばってキックオフを迎えるが、バーレーンがなかなかポジションにつかない。78年のワールドカップで地元アルゼンチンが特に欧州相手に見せた手だ。ようやくバーレーンのキックオフで始まったこの試合のフォーメーションは下記の通りだった。

                 7 Jaycee John

14 Salman Isa         4 Abdulla Fatadi      15 Abdulla Ismaeel Omar

        13 Abdulrahman          10 Yusuf Salmeen

12 Mubarak Asish 3 Mohamed Marzooq 16 Sayed M. Adnan 7 Mohamed Hubail.

                   GK 1 Sayed Jaafar

DFラインは4バック。 Marzooq が入り左サイドバックにモロッコからの帰化人 M. Aaish が入った。それ以外は前節ウズベキスタン戦と同じメンバー。 
ただ3日後にホームでカタール戦を迎えるだけに累積警告等を見ながらの選手起用、試合運びとなると思った。 


          

日本代表は下記の通り。

            ⑪ 玉田

⑯大久保      ⑨達也       ⑩俊輔 

    ⑦遠藤          ⑰長谷部 

⑮長友   ④闘莉王   ②中澤   ⑥内田 

            GK①楢崎

勝点で3位以下に圧倒的に差を付けている日本。そして3位を確保するためには勝点を失いたくないバーレーン。共に引き分けても満足な結果を得られる試合だけにどういう駆け引きをしながら試合を進めるのだろうと思ったが立ち上がり、日本がバーレーンゴールに迫るシーンが続いた。開始58秒に玉田からボールを受けた大久保からの浮き球に達也が走り込む。バウンドを利用して Marzooq をかわしてゴールに迫るがここは Aaishi がマーク。1分35秒には大久保が左サイドをドリブルで抜けてスルーパスを送るがそこから先にはつながらなかった。2分34秒には中央から俊輔がPA内に浮玉を送るが CB M.Adnan がヘッドでクリアー。3分23秒には右サイドから俊輔が中に入れ、真ん中にでき来た大久保がダイレクトで右サイドにいた達也に。Aaish を振り切り M.Adnan がマークに入り前に達也が放ったショットは惜しくもクロスバーの右に外れた。前節同様最初の決定機は日本だった。
序盤から日本攻撃陣の前線の動きが流動的なのでバーレーンのDF陣はマークに付き難かっただろう。俊輔が中に入った時、大久保が上がった時は玉田がそのポジションに入り、達也は左右に動き早い時間から闘莉王が上がって来る。それでもボランチのY. Salmeen , Abdulrahman らが長谷部、遠藤に厳しくマークに入り、2列目両サイドの I. Omar, S. Isa がDFラインに吸収されない位置に張り中盤にプレスをかけようとしていた。
7分54秒、大久保が S. Isa からボールを奪い突破をはかろうとしたところを Y. Salmeen に倒されて得たFKを俊輔が中に入れる。闘莉王と中澤が飛び込むも Marzooq が何とかクリアー。ここも惜しいチャンスであった。闘莉王の額の傷は大丈夫かな……
24分には遠藤のCKから中澤が Marzooq に競り勝ち放ったヘッドがバーレーンゴールに飛ぶが M. Hubail がヘッドでクリアー。親子で思わず天を仰いだシーンだった。

バーレーンはボールを得ると両サイド奥深くに蹴り込み J. John、A. Fatadi が 走り込み何とか日本ゴールの近くでスローインを貰おうとする様に見えた。そしてFKを得るとなかなか蹴らなかったがそれは選手達が日本ゴール前に入るのを待つ為でもあった。14分11秒には達也からボールを奪ったM. Hubail からボールを受けた Fatadi がドリブルシュートを放つ。ボールはポストの左に外れて行ったが身体能力の高さを見せたシーンであった。しかしバーレーンのチャンスは Fatadi, I.Omar そして J. John のアフリカ人帰化選手の個人技頼りか….それでも1対1では日本はほとんど負けておらず、取られたら取り換えすと言う好守の切り替えが早いのでそうそう得点のチャンスはないだろうと予想できた。 そのせいか?25分過ぎからバーレーンは日本ボールになるとボランチの一人、特に Y.Salmeen がDFラインにはいり(左右のサイド)5バックに。そして日本のゴール前へのパスはことごとくその“守備網”にかかりシュートに持ち込めなくなる。こうなるとゴール前に人を集めワンタッチでボールをまわし最後は抜け出したいところだった。28分にそういう攻撃を見せたが最後は達也を Marzooq がブロック。 この時にもう1人、2人 味方が近くにおればと言うシーンであった。 
セットプレー時、特にCKではバーレーンDF陣の高さが目立つようにもなって来た。 42分には闘莉王のインターセプトを受けた俊輔が前線に送り M.Adna を振り切った玉田が走り込むが Marzooq に阻まれる。この様に相手の裏を狙う攻撃をしDFラインを下げさせなるなどの手を打たないと日本も得点チャンスは見えてこなくなるとも思った。 ロスタイムの無かった前半は圧倒的に支配しながら無得点に終わった。
こう言う展開はこの予選でさえ何度もみたパターンでもあった。
“最後のガードが固い” 息子の一言がこの日のバーレーンの印象を集約しているとおもう。

ハーフタイムが終わりに近づき選手達がピッチに出て来るが、バーレーン選手は審判が揃っているのになかなか出てこない。相手の選手交代をこれで先に見てそして自軍選手にアドヴァイスを送った試合運びを決められる。これもアルゼンチンが良くやった作戦だ。 
両チーム共に同じメンバーだった。 バーレーンにしてみれば思った通りの試合展開。それだけに日本は先制点が欲しいところであった。

中村俊輔のFKで先制した日本。帰宅してビデオで確認したが Marzooq の背中に当たってコースが変わって吸い込まれたもの。試合終了後のインタビューでもその事があるのか満足そうな感じではなかった。それとも前半終盤からマークがきつくて上手くプレー出来なかったことを思い出してか…..
日本に先制点が入った事でバーレーンは出てこざるを得なくなる、日本はあと2点失わない限り勝点は確保できる。そう考えれば日本は思い切った攻撃が出来てこの後更に得点チャンスが出て来ると期待した。
しかしその後の最初のチャンスはバーレーン。 52分47秒右サイドを俊輔からボールを奪った Fatadi が粘って長友を振り切り突破し右タッチライン沿いを疾走する Omar に出すと、中に入れられたボールは一旦中澤がクリアーするも Fatadi の正面へ、そのままダイレクトで撃たれたショットはまたも中澤の正面に飛び事なきを得る。そのクリアーを Fatadi が拾い今度は左サイドで繋いで最後は Salmeen が遠藤に倒され FK を献上すると, PA内に長身の M. Adnan, Marzooq が入って来る。M. Aaishi が入れたFKはそのまま楢崎が抑えたがFKは長身選手のいるバーレーンにもチャンス。1月の Asian Cup 予選ではそこから決勝点を奪われた。

だがその後は日本の攻勢が続く。54分6秒には右サイドから遠藤のクロスに内田がフリーで抜け出すがトラップがやや大きくGK S. Jaffar の正面に。54分24秒に玉田が中央をドリブルで突破し前線の大久保にスルーパスを送るがここは M. Adnan に読まれていた。57分50秒にはカウンターに転じたバーレーン MF Salman Isa のドリブルを奪いすぐさま右前方のスペースに入れると走り込んだ達也がそのままドリブルシュート。観客が一斉に立ち上がるが GK S.Jaffar がコーナーに逃れ、場内に溜息が洩れる。 64分4秒にもバーレーンCKのチャンスからカウンターに転じた日本が俊輔からボールを受けた玉田が Omar を振り切りドリブル突破、Aaish, Salman Isa, H. Hubail そして Marzooq をひきつけ右サイドに走り込んだ内田に渡すがフリーの内田の狙い澄ましたショットはクロスバーを強烈に叩いてしまった。昨年6月には同じさいたまスタジアムで同じバーレーン相手に幸運なゴールを決めたがここは運が無かった。

1点のビハインドを追ってもバーレーンは54分以降はあまりリスクを負って出て来る様子やフォーメーションの変更は見られず、70分過ぎになってようやく Fatadi, J.John そして Salma Isa がトップに並ぶ3トップを形成する様になったが、中盤との間があいてしまい帰って日本の中盤がボールを持てるようになった。75分にバーレーンベンチはIsmaeel Omar を下げて Abdulla Abdi Omar Yaser を投入したが Omar Yaesr は前節のウズベキスタン戦がワールドカップ予選初登場であった。 この O. Yaser が比較的 Abdulrahman と共に最前線と近い位置に張る様になったのでボールが回る様になった。もっと早くこうすればよかったと思ったが恐らく3日後のカタール戦の為に戦力を温存したいのと累積警告を心配してのことだろう。既に O. Yaseer は前の試合でイエローを受けている。
終了直前に FW Ismaeel Hasan が投入されたが彼も既に警告を1枚受けた選手で、カタール戦の為に温存されていたのかもしれない。 そしてそのカタール戦では  M. Aaish のゴールで 1-0 で勝利を収めた。 

    

一方の日本は76分に長谷部が下がってガンバ大阪の橋本が最初に投入された。後で知ったが長谷部は膝を痛めたらしいが周りからはやや不満の声が。どうやら REDS サポーター達がガンバの選手の投入に不満らしい。しかも下がったのが元 REDS の長谷部だからだ。 その後玉田、達也が下がり拍手を持って松井、岡崎が投入された。達也が下がる時に何故かイエローが出された。遅延行為と言う事らしいがこれはちょっと….???? 3人目の選手交替が告げられると息子は少し残念そうな様子。彼の好きな阿部がこの日も起用されなかったからだ。大丈夫、いつか必ず必要な試合がくるよ…..

ロスタイム3分を過ぎて、タイムアップのホイッスル。 大歓声と言うよりも安堵の歓声が上がった。 これでワールドカップ進出に向けて大きく前進。 Man of the Match には中村俊輔が選ばれた。 ホームゲームでは3試合連続の選出だがこの試合が最も適切な選出だろう。

    

3月下旬にはWBCの優勝。そして日本のワールドカップ勝利と我々を元気付けるアスリート達の活躍が続いた。これからも我々をもっともっと元気づけるニュースを運んでほしいものだ。

息子よ次は横浜か….. ちょっと遠いけど一緒にくるかい? あぁ学校があるか……

     



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