Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Brisbane から.......イラク戦は予定通りに

2008-05-31 | 夏季五輪

5月29日、 Socceroos ファンそしてオーストラリアサッカー協会 FFA に安堵の空気が流れた。 Sydney で行われていた FIFA Congress に出席していたブラッター会長から示唆されていたイラク代表の国際試合停止処分が発効されないことが確認され予定されていた6月1日のワールドカップ予選のイラク戦は予定通りに開催されることとなった。イラクチームは既に現地入りしており、チケットもほぼ完売状態。スポンサー料も含めるともしこの試合が行わなければ FFA は AS$300万ドル(約3億円)の損害を被るところであった。この試合については FIFA からフル代表を含めた U-20 等のいかなるイラク代表チームの対外試合を禁止するとブラッターFIFA会長から発表されて以来オーストラリアのサッカーファンの間では大変な関心事になっていた。それはオーストラリアに移民してきた多くのイラク系住人についても同じ事であった。
しかし 5月28日Sydney のブラッター会長の元へイラク政府より先日発せられたイラクサッカー協会 I.F.A. への解散命令を取り消す旨の公式文書が手渡され対外試合禁止が無事に解かれる事となった。
“これは素晴らしいニュースだ” と語ったのは FFA の Ben Buckley Chief Executive。 “我々は本当にイラク政府がイラクサッカー協会と FIFA との間にあった問題を解決し Socceroos が日曜日にイラクと試合が出来る様になった事を非常に喜んでいる。これまでの準備はここで試合をする為であったので、試合が中止にならない事はずっと望んでいた事だったのだ。”とコメントを発した。
しかしその一方で FIFA は " まだイラクは困難を逃れていない、この問題に就いて更なる説明を求められるだろう。そしてそれが不十分なものであればまた対外試合禁止を言い渡されるかもしれない" とコメントしている。
“この書簡は前向きなステップとなる。しかしまだイラク政府がサッカー協会ならびに五輪委員会を支配下に置こうとしているかどうかに就いては完全な回答となっていない。”と述べている。
FIFA側は近々 AFC とイラクサッカー協会そして政府の代表を本部のある Zurich に招いて今後について説明を求める意向も述べた。まぁ兎に角予定通りにイラク戦が行われることとなった。

この組はオーストラリア、イラクの他にカタール、中国がいるいわゆる“死の国”どこが出て来てもおかしくないが最終予選の組み分けを考えると日本が絶対的な自信をもっている中国に勝ちあがって欲しい所。他の3カ国は特にアウェーゲームを考えればあまり歓迎し出来ない。ただ欧州組が中心となるであろうオーストラリアが案外アウェーゲームで最も戦い易い相手かも知れない。

5月28日 イラクチーム現地入り。
Brisbane 空港は国内線と国際線とターミナルが少し離れて建てられている。その国際線ターミナルには多くのイラクからの移民が集った。彼らの英雄アジア王者のイラク代表チームを迎える為だった。この時点ではまだ6月1日のオーストラリア戦が行われるかは決まっていた無かったが、イラク選手団そしてサポーター達はその事の重大さをどれほど測り知っていた事だろう。
この日の地元のニュース報道では何度も空港に到着した選手団と出迎えに来たイラク系の住民達が映し出されていた。そしてイラクサッカー協会会長の Hussein Saeed 氏は同日シドニーに直行した。それは FIFA Congress の行われているシドニーにいる FIFA の Sepp Blatter 会長に書簡を手渡し事情を説明する為だ。そして何より4日後にBrisbane で予定されているワールドカップ予選の試合が予定通りに行える様に、更にイラク国民が望んでいる再来年のワールドカップ出場の可能性が潰えない様に……

    

昨年7月、アジア大会ではオーストラリアを1次予選で破り、ヴェトナム、韓国を破り決勝に進出。そして決勝戦では Younes Khalef のゴールでサウジアラビアを降し、
1984年大会以来6大会続いたサウジアラビアと日本のアジアタイトル独占にピリオドを打った。しかしその翌月から始まった北京五輪予選では同組の Group A にオーストラリアがおり勝点1及ばず出場権を逃すことに。オーストラリアが1勝1分けだったレバノンにはホーム、アウェー共に勝利を収めたが直接対決で1分(ホーム:ドーハ 0-0 )1敗(アウェー:Gosford 0-2 ) と負け越したのが痛かった。そしてホームゲームを全てカタールのドーハで行わねばならない不運もあった。オーストラリア対イラク、両国間の様々な思いがシンクロナイズドしながらここに両者が激突すべく試合がこの時点ではまだ実現するか確実では無かった。
それでもチーム関係者は“我々は試合が行われるものと信じ始めている”と地元紙のインタビューに答えている。5月26日、イラク代表はバンコックの Rajamangala Stadium でタイ代表と練習試合を行い 1-2 で敗れている。 Rajamangala Stadium と言えば昨年アジアかカップでイラクが1次リーグ2試合そして準々決勝のヴェトナム戦を戦ったところだ。イラク代表はこれでシリア戦に続いて2連敗となったが、試合はあくまで調整試合の意味合いが強かったらしく試合結果は両チームともあまり重要視していない模様。タイはTeerathep Winothai とTeerasil Dangda そしてイラクはNashat Akram がゴールを決めた。タイは次のバーレーン戦を見越してのイラクとの練習試合であったが、果たして日本の準備はどうなのだろう??キリンカップでコートジボアール、パラグアイと試合を行ったがレギュラークラスが皆無の相手にどれだけ成果が上がるのだろう?オマーンに類似した中東諸国または西アジアのチームと試合を組めなかったものか??

Socceroos の Pim Verbeek 監督は“我々はイラク戦が行われると100%信じて準備を進めている。全てを日曜日のゲームに向けて集中させている。そして選手達はプレーする事に準備を進めている。”と試合慣行に向けて集中を切らさなぬ様に躍起になっている様子。しかしこの試合が行われないと影響の大きいのは断然イラクの方だ。昨年アジアカップで優勝しながら、国内ではイスラム教シーア派、スンニ派そしてクルド系住民を含めてイラクのシンボルとなっている代表チームがワールドカップ予選から除外されてしまった時の事を考えるとこの対外試合禁止は是非避けられるべきである。 FIFA の言うところの“政府が協会に直接介入するべからず。”と言う規則には最近ギリシア、スペインが抵触しそうになった。その前にはイランが“警告”を受けた。今回はイラク五輪委員会が政府から解散を命ぜられ、サッカー協会はその五輪委員会の傘下にある事から FIFA がそれを政府の介入ととらえ対外試合禁止を発そうとしたのだ。 
これに就いては同国の Jasem Mohammed Jaafar スポーツ相が IFA 、イラクサッカー協会に“前の決定はあいまいで誤解を招いたもの。”という内容の確認書を送ったと5月27日のロイター通信に語っている。 Blatter 会長は 政治介入には断固として戦うというFIFA のスタンスを何度も繰り返す。
“我々FIFAは決して国際法を犯してはいない。しかしもし国際試合に参加したければサッカーの自治権を守るという FIFA のスタンスがあるのだ。試合は行われるのかと尋ねられた Blatter 会長は“私は賭け家ではない、しかし予言者になろうとしている。そしてイラクはプレーする、彼らはプレーする、試合は行わればならない” と地元紙に答えている。

例えイラクがこのワールドカップ予選で失格となり勝点6が保証されてもオーストラリア側からすればゲームは行いたいところだった。
Blackburn Rovers でプレーする Brett Emerton は“我々はイラク戦は行いたい。数多く試合をこなす事が重要だ。今我々代表は移行期にある。若い選手が多い、監督の Pim も監督に就任してまだ時間が経っていないので6月のワールドカップ予選4試合をこなし3~4週間選手と共に過ごすのはお互いを理解し合う上で重要だ。確かに何もしないで勝点を貰えるのは魅力的だ、しかし我々は任務を遂行するために自らの能力に自信を感じねばならない。”
もしイラクが失格していたら既にイラクと対戦していたカタール ( 2-0 でカタールの勝)、中国 ( 1-1 の引分)の星勘定はどうなったのだろう?一番喜んだのはイラクと引き分けた中国だっただろう。
Brisbane でワールドカップ予選が開催されるのは1992年以来16年振りらしい。会場となる Suncorp Stadium は A-League の Queesnland Roar の本拠地だ。この時の相手はタヒチかソロモン諸島か?アメリカ大会のオセアニア地区の予選であったがその試合に前 Socceroos 監督の アーノルド、そして先日引退したトニー=ビドマーらは出場したのだろうか…….
現在 Roar を指揮する元 Socceroos の Frank Farina 監督はこの試合が行われない事は“妨げ”以外の何者でない事を指摘、それは FFA の支配下には無い事だがもし試合が行われなかったら他のプランがあるはずだ・・・・・・。“ 
このコメントを受けて様々な憶測が乱れ飛んだ。6月1日には替わりに Queesnland Roar との練習試合が行われる、または5月30日に Melbourne Victory との親善試合の為にメルボルンに遠征している Juventus Turin が特別に Socceroos とゲームを行うとか………..

しかしながらそれも杞憂に終わった。イラク戦は予定通りに行われる。
そうなると今度は別の問題が Verbeek の頭の中を覆いだす。2006年のワールドカップの FW Mark Viduka, John Aloisi, Josh Kennedy そしてArchie Thompsonの4人が外れている。そこでマレーシアのトーナメントから帰国間もない五輪チームのCentral Coast Mariners でプレーするMatt Simonを合宿に招集した。そして五輪チームからMark Bridge, Bruce Djite そしてNikita Rukavytsya も呼んだ。 Verbeek はワントップが好みだがクラブレベルでもワントップの経験のあるFWは現在アビスパ福岡に所属する Joel Griffiths くらい。こうなるとブンデスリーがでプレーする Josh Kennedy がコンディション不良で招集出来なかったのが痛い。Sydney FC と契約した Josh Aloisi はもう代表には興味を示していない。 ここは Celtic の Aussie Striker、Scot McDonald に期待か....... 

 

Jade North がふくらはぎ、 Jacob Burns が膝の怪我、 Mile Sterjovski が夫人の出産の為に Brisbnae 入りを断念。 Kewell のコンディションが万全でなく Tim Cahill が怪我で離脱となれば屈強なイラクDF陣をどうやってこじ開けるのだろう…….   

予想されるスタメンは下記の通り

GK Mark Schwarzer;

DF
Brett Emerton, Jade North, Michael Beauchamp, David Carney

MF
Vince Grella, Jason Culina Luke Wilkshire, Harry Kewell,
     Mark Bresciano;

FW
Scott McDonald

</BOD>FWの人材不足は日本だけではなさそうだ…….. だがイラクにも不利な状況が、ここ数日 Brisbane は天気が悪く雨天が続いている。ここでは珍しい事だ。雨の中の、しかも南半球は今秋から冬に向かっている。この季節の雨は氷雨だ。これはイラク選手達は殆ど経験した事がないのではないか??  

明日のキックオフ時間には雨が降らない事を祈るよ……… 

 



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1 コメント

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180分一本勝負!! (中東の太鼓)
2008-06-01 14:08:09
こんにちはコンティさん
せっかくACLに3チームも決勝トーナメント進出を果たしたのにその良い雰囲気をブチ壊すように最近の我が国のサッカー界は不祥事が絶えませんね。
サポーターの暴動や選手の飲酒運転。
挙句の果てには性犯罪・・・
箍が緩んでいるとしか言いようが無いです。
そして肝心の組織の大元であるJリーグも「我那覇冤罪事件」でのあのふざけた対応。
日本スポーツ仲裁機構(JSAA)なら数十万円の費用で済むのにそれを拒否してわざわざ数千万円もかかるスポーツ仲裁裁判所(CAS)での裁決を自ら希望しながら敗訴したのに、詭弁を弄して川崎から”カツアゲ”した罰金を返却しない始末。
組織の論理を優先した彼らには人の人生を台無しにした反省の気持ちが全く感じられません。
我那覇の名誉を回復して金銭の補償は出来ても奪われた時間は戻っては来ません。
しかもサッカー選手の寿命は短いです。
今の対応だと相撲協会のような無様な醜態を晒す事になります。
そしてマスコミも声高にJリーグを批判する資格は無いですし、むしろこの事件の共犯者です。
なにせ彼らは事件当初、正当な医療行為である点滴注射にもあったにも関わらず碌に調べもしないで「ニンニク注射によるドーピング」と報じてましたから。
マスコミの連中はもっとペンの怖さを知るべきです。

そしてマスコミは今回のW杯3次予選を「残り4試合」と盛んに報じてますが実際は違います。
今週のオマーンとの直接対決2連戦に全てが懸かっていると言っても過言ではないです。
今回の予選では勝ち点で並んだら次に優先されるのは当該対戦成績です。
もしこの2試合でオマーンが上回ったら日本の自力突破が消滅し事実上の終戦です。
つまりオマーン戦は2試合を合計した180分の試合と考えるべきです。
横浜でのホームの試合をもし引き分け以下に終わったら酷暑のアウェー戦を残しているので確実に仮死状態に近づきます。
それだけに先制点の時間がポイントです。
先制点が遅くなればなるほど焦りとプレッシャーが圧し掛かります。
早めに先制して楽な気持ちでゲームを進行できるかが鍵になります。
ポーツマス所属のGKアルハブシを擁するオマーンは間違いなく横浜での試合は篭城戦に徹するはずですからセットプレーは重要なので精度を磨いて欲しいです。
そして敵の守備を引き出す為にはミドルシュートも必要です。
ただ現在の日本代表は得点力不足だけでなく怪我の離脱や代表からの引退などチーム状態は危機に瀕してます。
(まあ今の高原なら必要ないけど)
また先のキリン杯では中村俊輔の直前合流もあったせいか連携面に不安がありました。
オマーンは韓国で長期合宿をしており時差調整は済み準備に抜かりはないそうです。
根っからの心配性である私は恐怖と不安を抑えずにはいられません。

それと今夜男子ハンドが20年ぶりの五輪出場を賭けて強豪ロシアと一世一代の大勝負に挑みます。
下馬評は圧倒的に不利ですが関係者や多くのサポーターの努力と熱意があったからこそこの最後の大舞台に辿りついたのです。
ハンドを愛する全ての人達に報いる為にも全力を尽くして悔いの無い闘いをしてもらいたいです。
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