Mr.コンティのRising JAPAN

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Haruki Seto !!!!!! シンガポールSリーグ観戦記

2008-05-03 | Football Asia
Home United vs Balestier Khalsa FC  26th April

展示会を終えてその日のうちに後片付けを終えられたので翌日土曜日は完全にオフとなった。この日は溜まりに溜まった e-mail の返事やら出張精算を行ったり身の周りの整備を行う。出発して2週間も経つとこう言う日は貴重だ。 ホテルに缶詰めになってこう言う事をしていると時間も経ちあっと言う間に夕方。最後の S-League 観戦に出かける。 
この日の対戦は首位争いをするHome United と今季まだ未勝利のBalestier Khalsa 。Home United は首位の Super Reds が前々日 Tampines Rovers を 5-0 で降しておりまた、同じく首位争いをする昨年の覇者 S.A.F.F.C. が前日 Gombak と引き分けているだけにこのホームゲームはRedsに離されない為にも、S.A.F.F.C. に差をつける為にも勝利が欲しかった試合だった。
Balestier Khalsa にはかつて横浜フリューゲルスを筆頭に6チーム、J1,J2合わせてリーグ戦通算147試合出場した実績を持つ日本人DF瀬戸春樹がいる。彼がどういうプレーを見せるのかも楽しみに一つだった。
この試合はキックオフの前に競技場入り出来た。ここもなかなか立派なスタンド。
陸上競技用のトラックもある。中4日の Home United は前節引き分けた S.A.F.F.C. 戦のスタメンからFW のIndra Sahdan, カメルーン人DF Valery Hiek の二人が登録から外れ DF Rosman Sulaiman がベンチスタート。これは累積警告で7日後の次節 Tampine Rovers 戦で出場停止になるのを避けたのと4日後の AFC Cup のSouth China 戦を見越しての事か?
一方8日前に現在首位を行く韓国人チーム Super Reds と引き分けたBalestier Khalsa は同じスタメン。首位チームと引き分け2位の Home United からも同じ布陣。調子の時はメンバーをいじるなと言う考えか。
試合は開始早々から首位争いをする Home United がボールを支配するが決定機は作らさない。それは瀬戸の巧みなラインコントロールとここぞと言う時のマーク。
ある時はラストパスが通った相手の2トップ, この日スタメンに起用された20歳のNaruphol Ar-Romsowa そしてカメルーン人の Ludovick らがシュート態勢に入ろうとした時にマークに入り。そしてある時は 2列目の両サイド特に左の Mushadad, そしてブラジル人の Oliveira をマークし前線へのパス供給を塞ぐ。
Balestier Khalsa は Bekombo がワントップ気味 だが攻撃時には2列目左の Roshan Rai と 右のナイジェリア人MF Onyekachi がサイドをサポートし、トップ下の Yiguang がこぼれ球を拾う。そして左サイドのカメルーン人 MF Giscard, 右サイドの Poh Yi Feng がタッチライン沿いを前後に走る。この二人はどちらかと言えばデフェンシブハーフか? そうしている間に6分には MF Roshan Rai と カメルーン人FW の Paul Bekombo がパス交換からシュートに持ち込み、11分には今度は左サイドにながれた Bekombo がエリア内に切れ込み後ろに戻して走り込んだ Rosham Rai がシュートを放つ。いずれもカウンターからの攻撃だがその時には瀬戸もゴール前に現れたり、DFラインを効果的に押し上げたり観ていてさすがと思わされる。20分には Giscard のドリブル突破から Bekombo とのワンツーでシュートを放つが惜しくもサイドネットを直撃。やはりアジアの中ではアフリカ人のスピードは違う。それは Home United にも当てはまり22分ゴール正面だがやや遠めかと思われた位置から放った Ludovick のFKがポストを直撃する。そして25分にもゴール正面で Home United がFKを得ると今度はブラジル人MF Oliveira が直接狙うがこれは右に外れて行った。 Home United は25分を過ぎるとボールキープの出来る Oliveira が積極的に前に出て来る。そして右サイドバックのシンガポール代表の Shahril Ishak が前線に張り出して来て攻撃時には2トップの Ludvick, Ar-Romsowa に加えてIshak, Oliveira の4トップ状態になり、左中盤の Mushadad, シンガポール代表の Shi Jiayi が2列目に残りボールが跳ね返されてもそこでこぼれ球を拾われBalestier Khalsa は防戦につづく。38分にはBalestier Khalsa のGK Ong Sy Kae Daniel が不可解なオーバーステップを取られて間接FKを与えてしまう。そのFKを Oliveira が Mushadad に繋ぎ近距離からシュートを放つがDFに当たってCKへ逃れた。
そんな中先制点を挙げたのは劣勢の続く Balestier Khalsa 。42分 Onyekachi が右サイドから上げたクロスに Yi Feng が頭で合わせシンガポール代表GK Lionel Lewis の守りゴールを破った。実にシンプルながら鮮やかなゴールだった。 Onyekachi は本来右の2列目だがここは左サイドに現れてナイスクロスを上げた。これで試合は俄然面白くなって来た。 

後半に入ってもリードされている Home United の攻勢が続く。46分には右サイドから Ishak の上げたクロスに Ludovick がヘッドで狙うがポストの右に外れて行く。40分には波状攻撃でBalestier Khalsa ゴール前に迫るが最後のエリア外から撃った Shi Jiayi のシュートは大きく外れる。この時も瀬戸が良い位置に居て決定的なシュートを撃たせなかった。57分にはShi Jiayi のパスを受けた Ludovick が Jufri Taha を背負いながら強引にショートを放つがこれはGK正面。63分にも同じように Ludovick は Taha を背負いながらもシュートに持ち込むがこれは瀬戸がシュートコースを切っておりゴールを許さない。 
64分に Balestier Khalsa ベンチは得点者の Yi Feng を下げて Yusri Waris を投入する。その直後FKを得たHome United は Oliveira が直接狙うがこれは左ポストを叩く。今日の Home United はどうもゴールポストに嫌われ気味だ。71分に Home United ベンチは Mushadad を下げて Omar Ashibile を入れ, 77分にはDF Juntanを下げて MF のFarhan Farook を入れるその前にもタイ人MF Jaroonpong が投入され攻撃力をアップし同点ゴールを狙う。 

 

Balestier Khalsa DF陣は瀬戸を中心に攻撃を食い止めて来たが82分Ar-Romsawa が上げた右からのCKをGK Ong Sy Kae がファンブルしキャッチできない。その落とした所を詰めていた Ludovick が押し込んで試合は振り出しに戻された。ここまで耐えいたBalestier Khalsa であったが遂に同点ゴールを許してしまった。しかし次の得点、勝ち越しゴールを狙う必要があったのはむしろ Home United の方であった。従って守りを固める事が出来なかった。それがBalestier Khalsa には幸運だったのかもしれない。
85分左サイドでFKのチャンスを得るとBalestier Khalsa フィールド選手では最も長身の瀬戸がゆっくりと上がって来る。そして Giscard が上げたFKに瀬戸が渾身のジャンプで放ったヘッドがポストを叩く。私を含め多くのBalestier Khalsa サポーターが悲鳴を上げる。この日のゴールポストは両チームに平等だったのか.....しかしそのこぼれ球をいち早く拾った交替出場の Farhan Musbah が Home United ゴールに蹴り込みBalestier Khalsa にリードをもたらした。
大喜びのBalestier Khalsa サポーター達。その歓声がスタンドに響く。Musbah がベンチ前に駆け寄り控えの選手達と歓喜の輪を作る他の選手達もその輪に加わる。

 

だが1人だけゴール前に倒れている選手が。高い打点からヘッドを放った瀬戸だった。どうやら着地の時に足がつったらしい。ピッチの外に運び出されるが既に交代枠は使い切っている。 Bekombo がわざとセンターサークル内に入ってキックオフ時間を遅らそうとするが瀬戸が立ち上がれずBalestier Khalsa が一人少ない状態で試合が再開された。残り時間、リードしているとはいえ瀬戸抜きでリードを守るのは至難の業だ。後方の在留邦人の方達から“蹴れ、蹴れ、大きく蹴りだせ。時間を稼げ。”と言う声が飛ぶ。 Oliveira のシュートはGKの正面に。そしてGK Ong Sy Kae はすぐにはボールを蹴らず時間をかける。そしてようやく瀬戸が拍手に送られてピッチに戻って来る。逆転ゴールを挙げた Musbah が瀬戸に抱きつく。
Home Unitedは再び同点ゴールを目指して前線に人数を掛ける。89分にエリア内右サイドにドリブル突破して来たAr-Romsawa が入れたクロスは瀬戸が落ち着いてクリアーする。その後も波状攻撃を見せるがシュートまで至らない。逆にBalestier Khalsa はカウンター攻撃からの右クロスに Bekombo がフリーでシュートを放つがこれはGK Lionel Lewis の正面に。そしてロスタイムが表示される。その時間は6分。Home United のサポーター達から歓声が起こる。 おいおいどこにそんな時間があったんだろう?  
しかしそのロスタイムを使っても Home United は得点を挙げる事が出来ずタイムアップ。主力選手を温存した事が裏目に出た。そして痛い黒星となった。4日後の AFC Cup に引きずらねば良いが……. と思った。
大喜びのBalestier Khalsa ベンチそしてチアーガールを含めたサポーター達。強豪から今季の初勝利を挙げた。瀬戸をはじめBalestier Khalsa が丁寧に観客席に手を上げる。何人かの在留邦人の方達も瀬戸に声援を送る。足は大丈夫か……. 

 

毎日試合がある S-League の日程のおかげで連日試合を見る事が出来た。その最後の試合観戦で瀬戸春樹の素晴らしい活躍を見る事が出来た。ここシンガポールではアルビレックスだけでなくここで活躍する日本人選手を何人も観られた。彼ら一人一人が日本を代表していると思えた。欧州だけがサッカーでない。それは世界中にある。ここでの日本人選手からエネルギーを貰えた。 

そして翌日私はマレーシアに発った……….