1月29日。楽しみにしていた FIS World Cup Ski Jumping 札幌大会2日目のテレビ中継。2日目は中継は民放だった。
この日も前日に続いて HS134 。もう 70m 級、いやNormal Hill はやらないのかなぁ…と思った。
札幌の 70級、忘れもしない子供の時に見た札幌五輪の日の丸飛行隊の表彰台独占…あれを見て“俺もオリンピック選手になりたいなぁ…” と思った。 全然届かなかったけど。
あの 70m級は宮森シャンツェで行われ、そして90級がこのワールドカップでも使われた大倉山で開催された。その90m級ジャンプは確か学校が休みの日に行われ、トライアルから中継された。1回目で2位に着けた笠谷選手の2回目が待ち遠しくてたまらなかった。 優勝した70m級が行われた時は学校がありその快挙は帰宅してからニュースで知った。それだけに目の前で金メダルの瞬間が…と期待していた。しかし2回目は振るわず7位に沈みものすごくがっかりしたのを憶えている。
前日は1回目トップだった伊東。この日の1回目は前日第3位だったStoch Kamil ( Poland ) 115.3 , Peter Preva ( Slovenia ) 112.5に続いて 109.0 で3位だった。
Word Cup ポイント首位の Andreas Kofler ( Austria ) 105.8 は5位。Anders Bardal ( Norway ) 86.0は25位。Thomas Morgenstern ( Austria ) 101.6 は 6位だった。札幌の雪質は欧州と異なるのかワールドカップポイント上位陣は ポイントを伸ばせなかった。 100.0 を越えたのは7位の Rune Velta の100.2 までだった。前日は1回目上位18位までが100.0 を越えたがそれは Gate の違いがあったからかもしれない、と思ったら 28日は7,8番ゲートが使われ 29日は10,11 番ゲートが使われた。
28日は“ Large Hill でこれだけ低い位置から飛び出した事は記憶にない….” とテレビ解説者に云わしめる位置だったらしい。
それだけ大倉山シャンツェは難しいのかもしれない…
そして Kamikaze 葛西は33位で2回目に進めなかった。 長野五輪の英雄岡部も47位に終わった。葛西は1回目30位のKrzystof Mietus ( Poland ) とは5ポイント差。距離にして約 3m 差だった。しかし今後の奮起に期待したい、と思った。
2回目が始まり、1回目あまり良い風を貰えず16位に留まった Slovenia の Peter Prevc が 129.5m を飛んだ。しかも Window Compensationは僅か -9.1 だったのでトップに出て来た。前の週、Poland の Zakopane 大会では6位と4位に入った選手だ。
そしてその3人後に飛んだ竹内拓が128.5m を飛んだが残念ながら Prevc は抜けなかった。結局竹内はこの日は8位に終わったがいつ表彰台に立ってもおかしくない選手となったと原田解説員は連呼していいた。
1回目11位の Vegard Houkoe Sklett ( Norway ) が2回目に 131.5m を飛び Prevc を抜いてトップに。
今シーズン前半は Continental Cup に出場をしていた選手。 Norway も人材に事欠かないなぁ…と思う。
その後に飛んだ選手はなかなか距離を延ばせない.。1回目8位、前日 0.1pt 差で伊東に優勝を譲った Anders Bardal ( Norway) は2回目115m に終わりこの日は 14位に留まった。
1回目6位だった昨年のワールドカップ総合王者 Morgensternが登場した。昨日は16位に終わっているが2回目の跳躍次第では上位に食い込める。しかし向かい風僅か 0.79m の中 123.5m に留まりこの時点で4位。最終的に竹内に続く9位に終わった。
そして1回目5位の現在ワールドカップポイントトップの Anders Kofler ( Austria ) が出て来た。1回目は向かい風 0.27m の中 122.5m に留まった。2回目も風はあまり良くなく向かい風 0.6m だったが 135m まで距離を伸ばし2人の審判員が飛型点 19.0 を出した。そしてこの前まで 220.8 で首位だった Sklett を抜いて 241.3 でトップに立った。 この風でここまで飛んでくるのか…
さすがだなぁ…と思う。
こうなると伊東を含めた残り4選手の心境はいかに…だ。 次に飛んだ Roman Koudelka ( Czech Rep. ) は気負ったか 129m 。総合ポイントも 220.8 で Kofler を抜けず、この時点で2位。最終成績は4位だった。 今シーズンはまだ表彰台に立っていない。チャンスだったんだけどなぁ…昨日も5位だった。
そして1回目3位の伊東大輝が登場した。 お起きた期待を受けての2回目のトライアル。 飛び出しはあまり高くは見えなかったがランディングバーンが近づけば近づくほどぐんぐん距離を伸ばす大飛行。 飛距離は Kofler の 135m を越して 137m 更に飛型点も4審判が 19.0 を出した。 案じられた Window Compensation を含めても合計134.7ポイント。総合 243.7 pt で Kofler を 2.4pt 上回り首位に就けた。この時点で表彰台も決まった。
こうなったら不謹慎だけど続く2選手のジャンプは…と思ってしまう。 その願が通じたか?1回目2位の Richard Freitag ( Germany ) はK点越えがやっとの 120m 。もっと飛ぶかと思われたけど失速してしまい最終的に6位に終わった。前日も1回目5位に就けて2回目伸びずに8位に終わった。 前の週の Zakopane 大会では2日間とも2位だっただけに狙っていたんじゃないかなぁ….
そして1回目トップの Kamil Stoch がスタートに入る。 1月20日の Zakopane 大会初日で地元優勝を果たした。翌日は7位に終わったが。 12月3日 Lillehamer 大会で3位。 12月18日のスイス Engelberg 大会では2位。前日も伊東、 Bardal に続いて3位に入った実力者2週連続で優勝する為には、伊東を上回る為には1回目飛んだ131.5m よりも飛ばねばならない。その飛行は 130m を越えたが飛型点で4審判が 18.5 を出した。そして最終成績で….. 2位と出て伊東の連勝が決まった。
やった~。良かった~…と声を出して喜んだ。 札幌で2連勝。 あの笠谷選手でも出来なかった快挙だ。この二日間。なんて幸せな気分に浸れたのだろう…
札幌五輪以来ずっと興味を持ってジャンプを見続けて来た。 欧州勢に唯一対抗出来るのは日本勢かカナダの Horst Bulau くらいだった。ワールドカップ、世界選手権で上位に入ると日本が勝ったと言うよりも欧州勢を破ったと言う事が嬉しかった。勿論オリンピックでも。
長野の栄光は翌年オーストリア Ramsauで開催された世界選手権 LH で表彰台を独占した事でピリオドが打たれた。
以降、2003年イタリア Vel Di Fiemme で開催された世界選手権にて Kamikaze 葛西が1人気を吐き L120, K95 でそれぞれ銅メダルを勝ち取った以外、五輪、世界選手権でのメダルは 2007年札幌大会、 2011年 Liberec 大会での Team Jump の銅メダルのみ。
ここ数年、世界のジャンプ界ではオーストリア勢とポーランドの Adam Malysz らがジャンプ界のハリーポッターことスイスの Simmon Ammann を追い掛ける、そこにドイツ勢、ノルウェー勢のかなから好調だった選手が“参戦” すると言った状況だった。
ワールドカップでは日本選手がたまに Top 10 に入ってくる事もあったが驚愕なのはかつての王国フィンランドの凋落。
トリノ五輪 NH で Hautamaeki が銅メダルを勝ち取って以来、目立った戦績は世界選手権札幌大会 HS134 で2位に入った Olli Harri くらいだ。
昨シーズンが終了し Malysz が引退した。 残念ながら札幌五輪 LH でWojciech Fortuna が勝ち取って以来の金メダルには手が届かなかった。 Simmon Ammann の壁は高かった。最後の地元 Zakopane でのワールドカップで Kofler, Ammann を抑えて優勝した時は嬉しかっただろう…。しかし彼の出現は Fortuna 以来30年間眠り続けていたポーランド Ski Jumping 界を掘り起こさせるものだった。そして五輪金メダルの夢は Kamil Stoch に託されている。
Simmon Ammann はバンクーバー五輪のシーズン以降また飛距離が落ちている。 目立ったのは 2011年 Osloでの世界選手権 HS134 で Schlirerenzauer , Morgenstern に次いで3位に入った事くらい。この時でも3位 Morgenstern とは30pt 以上も開けられた。 今年の札幌大会は参加しなかった。2010年大会は優勝を果たした…
今シーズンも強いのはオーストリア勢。 Kofler ( 1) Schlierenzauer ( 3 ) Morgenstern ( 4 ) らが上位に並ぶ。そして2位には Anders Bardal ( Norway ) が3強に食い込んでおり Norway 勢は11番目に Vegard-Haukoe Sklett が入っている。
5番目に Stoch ( Poland ) ドイツ勢 , Richard Freitag ( 6 ) Severin Freund ( 10 ) スロヴェニア勢 Robert Kranjec ( 8 ) Peter Prevc ( 13 ) チェコ勢 Roman Koudelka ( 9 ) Lukas Hlava ( 15 ) が。そして伊東は大会直前は10位だった。
今回の札幌大会ではTOP15 の中から3位の Schlierenzauer と 12位の Ammann 以外は全て参戦してくれた。
午後4時半にスタートした札幌大会の初日。3番目にベテランの岡部が登場した。飛距離は 112.5m . 33位に終わり6.8pt 差で2回目に進めなかった。 しかし Kamikaze 葛西は1回目に 126m を飛び 17位に入り、2回目のトライアルに進んだ。
39番目に飛んだ竹内拓は 110.5m 92.9pt とK点にも届かなかった。風が悪すぎた。この時点で18位。1回目は26位になり何とか2回目進出を決めた。
伊東の1人前の Prevc が 111.5m に留まり 35 位に沈み2回目に進めなかった。 ここまでのトップは何と10番目に飛んだ
Anders Fannemel ( Norway ) 。 131m 123.8pt の素晴らしい跳躍でこの前までトップだった同じ Norway の Andreas Stjernen を一気に 36.5 pt も上回ってしまった。 2人とも Continental Cup 転戦組で1月20日の札幌大会にも出場しそのままここの留まりワールドカップ挑戦権を得た。
Norway 勢の選手層の厚さが見られる。
しかし伊東は134m 123.9pt の大飛行で Fannemel を抜いてこの時点でトップに立つ。大倉山に大歓声が沸き上がる。久々に日本人選手がこの順番でトップに立ったのを見た。 出来ればこの順位のまま2回目に…と皆願っただろう。
その願いが通じたか?ワールドカップポイント TOP 10 の選手達は伊東どころか Fannemel の記録にも届かない。 46番 Stoch が 130m 122.0pt を飛んで Fannemel を抜くが伊東には届かない。 47番 Freitag は 137m の最長不倒を見せるが飛型が悪く3審判が 16.0 を出し、 Windows Compensation が -24.5pt で 119pt 5位に。 Window Compensation が無くてもぎりぎり伊東が上回っていたけど….
続く Morgenstern は反対に風を貰えず 114m 96.2pt で23位に沈む。 49番 Bardal は伊東と同じ 134m を飛び 19.0pt の飛型点も出たが Windows Compensation が -23.2pt 。得点は 122.0pt に減額され伊東、 Stoch そして Fannemel を上回れなかった。
そして1回目最後に登場したのは Anders Kofler 。昨年はここで優勝している。しかし今度は風を貰えず 117.5m 105.8pt 18位に沈み伊東の1回目トップが決まった。 それにしても大倉山の風を味方にするのは容易じゃないんだなぁ~と思った。
30人に絞られた2回目。5番目に早々と竹内が登場したがここは意地の大ジャンプ。 129.5m まで距離を伸ばし総合 211.0 でこの時点で文句なしのトップ。これが2本揃っておれば…と本人は悔やんだだろう。この日は18位に終わった。
しかし2年後のソチ五輪まで間に合わせてくれ。
竹内の3人後に Morgenstern が2回目に臨むがこれも 132.5m まで距離を伸ばし Window Compensation -13.0pt を含めても総合 213.3 で竹内を抜いた。しかし最終順位は16位。
13番目に Kofler が登場する。向かい風 1.21m の中 129.5m の“本来”の跳躍を見せ 122.9 pt が追加され総合 228.7pt で当然の様に首位に立った。 最終的には9位。この日オーストリア勢では最高の成績だった。
16番目にKamikaze 葛西が大歓声に包まれてスタートラインに着く。 この時点でトップの Morgenstern を上回るには…と言うよりも1回目以上のジャンプを見せて上位にと留まる事を…と願うが 122.5m 104.4pt と1回目に届かない。総合 213.4pt で 0.1pt Morgenstern を上回ったが最終結果は15位。それでも今シーズンワールドカップ最高の成績で World Cup Point もゲットした。
以降の活躍を期待したい。
1回目の Top 10 がいよいよ出て来る。 この時点での 1等は Anders Kofler. 1回目9位の Sklett が何と 138.5m 133.2pt の素晴らしいジャンプを見せ総合246.1pt で Kofler を大きく引き離しこの時点で首位に。 やっぱりこのクラスは違うなぁ…と思わせられる。 しかし続く Severin Freund は104m 71.4pt の失敗ジャンプで27位に沈む。 1回目7位 114/7pt の Kranjec ( Slovenia ) は130m 123.8pt を飛ぶ。しかし総合 238.5pt で Sklett を上回れない。 Koudelka ( Czech ) も 130m 122.0pt の飛行を見せるが 240.0pt で Sklett に及ばない。 続く 1回目137m のFreitag は 128.5m と今一伸ばせず 235.4pt 。
そして1回目134m 4位の Bardel は135m 130.5pt のジャンプを見せ 252.2pt でトップに躍り出る。さすが実力者。今シーズンワールドカップは3勝している。 続く同じ Norway の Fannnel は 125.5m 113.9pt と伸びず、総合 237.7pt で7位に終わった。
しかし見事ワールドカップポイントをゲットした。 続く Stoch は風に恵まれない中 127m まで伸ばして来たが 120.6pt で総合 247.2pt で Bardal を上回れずこの時点で2位。最終順位は3位に。
そして最後に伊東大輝が登場する。 優勝する為には 123.8pt が必要だ。しかし Window Compensation が加算されるので何m 飛べばいいのか….風が結構強くなってきた。ここで地元の風が…と思うも風が強すぎて仕切り直しとなっていまった。
あぁ集中切らさずにいてくれれば..と思う。 あの時は、札幌五輪の時はもっとすごいプレッシャーだっただろうなぁ…..
仕切り直しの後、伊東のアプローチにから飛び出し 86.1km とスピードが表示される。距離は伸びて行きテレビに映し出される青色のラインに着地する。 微妙なところだ。 しばしの静寂の後大歓声が沸き上がり伊東の優勝が発表された。2回目は 130m 123.9pt 総合で Bardal をわずか 0.1pt 上回る 252.6pt で首位の座を守った…..あぁ、良かった。本当に良かった~。と思った。
見事な伊東の地元での2連勝だった。ここ数年低迷する日本ジャンプ界に光が差して来た。
今シーズンは札幌大会の前迄でも Garmisch-Partenkirchen , いわゆるジャンプ週間の1戦 HS140 で3位に入ったのをはじめ3度表彰台に立っている。札幌では2010年大会でも3位に入っていた。これまで何度も表彰台には立っていたが遂に頂点に立てた。それも2日連続で。
それは昨シーズンより導入されたルール変更にも寄与しているかのかもしれない。 Gate の位置と跳躍時の風の方向、風力によりポイントが加減される事となったが、もし初日の戦績にこの compensation が加減されていなければ伊東は 273.2pt となり134m/135m を飛んだ2位の Bardal の283.2pt、4位の Sklett ( 129/138.5m 280.5pt ) に及ばず3位と言う事となる。
3位の Stoch は 259.6pt ( 130/127m ) は7位になるところであった。
しかし2日目は Gate, Window Compensation を除いても伊東を含めた Top 5 は変わらなかった。
今のところこの Compensation point は日本勢には“順風”となっている様だが、五輪前にまた変えられないか心配だ。
翌日、オーストリア、ドイツの新聞 WEB SITE を覗いて見ると写真付きで伊東を称える記事が並んでいた。
“3位に入った事は素晴らしい事だ。この日は素晴らしい大会だった。札幌で勝つには少し幸運が必要だけどここに遠征に来た甲斐は充分にあった。” Kofler はこの様に語った。そして“初日は少しアンラッキーだった。”と風の事も悔んでいた。それでも“ フォームはよくなって来ている。だから次の大会が楽しみだ。ここでの伊東はとても太刀打ちできる相手では無かった。”とも述べた。
オーストリア勢は2日間で表彰台に立ったのは2日目3位の Kofler だけだった。
それから初日3位の Poland の Kamil Stoch が2日目も2位に入り伊東と並んで連日表彰台に立った。
“素晴らしい週末だった。日本に来られてとても嬉しかった。ここで貴重なポイントを稼げたからだ。
この日(2日目)の出来は満足している。特に1回目のジャンプは。この日の競技は非常に拮抗していてハイレベルなものだった。“ この様に語っていた。
ドイツ紙の方では初日 8位に終わったRichard Freitag が3試合連続で表彰台に立てなかったことを報道。
“飛行距離からしてこの順位は妥当だろう。” Freitag 自身は語っている。1回目137mを飛んでいながら…とも書かれていた。 また、ベテラン Martin Schmidt が怪我の為に札幌遠征に参加出来なかった事も…
翌週イタリア Val di Fiemme で行われたワールドカップではオーストリア勢が奮起した。
札幌大会に参加しなかった Schlirerenzauer が初日で優勝を果たし、今シーズンワールドカップ個人戦5勝目を上げた。翌日は2位となったが表彰台は9回目だった。 初日は2位に Severin Freund ( ドイツ ) が入り Morgenstern が3位に入った。
翌日は 初日7位に終わったKamil Stoch が優勝を果たし、 Norway の Bardar が3位に入った。
期待の伊東は初日は11位に終わりニッカネン以来のワールドカップ3連勝は果たせなかった。 伊東は翌日は順位を少し上げ8位に入った。 竹内は初日14位、2日目12位だった。
ワールドカップポイントトップを行く Kofler は初日は6位に入ったが翌日は16位に終わった。 日本はあまり報道しないなぁ….
でも私は信じている。 次の五輪では Kamikaze 葛西が大飛行を見せてくれることも…
この日も前日に続いて HS134 。もう 70m 級、いやNormal Hill はやらないのかなぁ…と思った。
札幌の 70級、忘れもしない子供の時に見た札幌五輪の日の丸飛行隊の表彰台独占…あれを見て“俺もオリンピック選手になりたいなぁ…” と思った。 全然届かなかったけど。
あの 70m級は宮森シャンツェで行われ、そして90級がこのワールドカップでも使われた大倉山で開催された。その90m級ジャンプは確か学校が休みの日に行われ、トライアルから中継された。1回目で2位に着けた笠谷選手の2回目が待ち遠しくてたまらなかった。 優勝した70m級が行われた時は学校がありその快挙は帰宅してからニュースで知った。それだけに目の前で金メダルの瞬間が…と期待していた。しかし2回目は振るわず7位に沈みものすごくがっかりしたのを憶えている。
前日は1回目トップだった伊東。この日の1回目は前日第3位だったStoch Kamil ( Poland ) 115.3 , Peter Preva ( Slovenia ) 112.5に続いて 109.0 で3位だった。
Word Cup ポイント首位の Andreas Kofler ( Austria ) 105.8 は5位。Anders Bardal ( Norway ) 86.0は25位。Thomas Morgenstern ( Austria ) 101.6 は 6位だった。札幌の雪質は欧州と異なるのかワールドカップポイント上位陣は ポイントを伸ばせなかった。 100.0 を越えたのは7位の Rune Velta の100.2 までだった。前日は1回目上位18位までが100.0 を越えたがそれは Gate の違いがあったからかもしれない、と思ったら 28日は7,8番ゲートが使われ 29日は10,11 番ゲートが使われた。
28日は“ Large Hill でこれだけ低い位置から飛び出した事は記憶にない….” とテレビ解説者に云わしめる位置だったらしい。
それだけ大倉山シャンツェは難しいのかもしれない…
そして Kamikaze 葛西は33位で2回目に進めなかった。 長野五輪の英雄岡部も47位に終わった。葛西は1回目30位のKrzystof Mietus ( Poland ) とは5ポイント差。距離にして約 3m 差だった。しかし今後の奮起に期待したい、と思った。
2回目が始まり、1回目あまり良い風を貰えず16位に留まった Slovenia の Peter Prevc が 129.5m を飛んだ。しかも Window Compensationは僅か -9.1 だったのでトップに出て来た。前の週、Poland の Zakopane 大会では6位と4位に入った選手だ。
そしてその3人後に飛んだ竹内拓が128.5m を飛んだが残念ながら Prevc は抜けなかった。結局竹内はこの日は8位に終わったがいつ表彰台に立ってもおかしくない選手となったと原田解説員は連呼していいた。
1回目11位の Vegard Houkoe Sklett ( Norway ) が2回目に 131.5m を飛び Prevc を抜いてトップに。
今シーズン前半は Continental Cup に出場をしていた選手。 Norway も人材に事欠かないなぁ…と思う。
その後に飛んだ選手はなかなか距離を延ばせない.。1回目8位、前日 0.1pt 差で伊東に優勝を譲った Anders Bardal ( Norway) は2回目115m に終わりこの日は 14位に留まった。
1回目6位だった昨年のワールドカップ総合王者 Morgensternが登場した。昨日は16位に終わっているが2回目の跳躍次第では上位に食い込める。しかし向かい風僅か 0.79m の中 123.5m に留まりこの時点で4位。最終的に竹内に続く9位に終わった。
そして1回目5位の現在ワールドカップポイントトップの Anders Kofler ( Austria ) が出て来た。1回目は向かい風 0.27m の中 122.5m に留まった。2回目も風はあまり良くなく向かい風 0.6m だったが 135m まで距離を伸ばし2人の審判員が飛型点 19.0 を出した。そしてこの前まで 220.8 で首位だった Sklett を抜いて 241.3 でトップに立った。 この風でここまで飛んでくるのか…
さすがだなぁ…と思う。
こうなると伊東を含めた残り4選手の心境はいかに…だ。 次に飛んだ Roman Koudelka ( Czech Rep. ) は気負ったか 129m 。総合ポイントも 220.8 で Kofler を抜けず、この時点で2位。最終成績は4位だった。 今シーズンはまだ表彰台に立っていない。チャンスだったんだけどなぁ…昨日も5位だった。
そして1回目3位の伊東大輝が登場した。 お起きた期待を受けての2回目のトライアル。 飛び出しはあまり高くは見えなかったがランディングバーンが近づけば近づくほどぐんぐん距離を伸ばす大飛行。 飛距離は Kofler の 135m を越して 137m 更に飛型点も4審判が 19.0 を出した。 案じられた Window Compensation を含めても合計134.7ポイント。総合 243.7 pt で Kofler を 2.4pt 上回り首位に就けた。この時点で表彰台も決まった。
こうなったら不謹慎だけど続く2選手のジャンプは…と思ってしまう。 その願が通じたか?1回目2位の Richard Freitag ( Germany ) はK点越えがやっとの 120m 。もっと飛ぶかと思われたけど失速してしまい最終的に6位に終わった。前日も1回目5位に就けて2回目伸びずに8位に終わった。 前の週の Zakopane 大会では2日間とも2位だっただけに狙っていたんじゃないかなぁ….
そして1回目トップの Kamil Stoch がスタートに入る。 1月20日の Zakopane 大会初日で地元優勝を果たした。翌日は7位に終わったが。 12月3日 Lillehamer 大会で3位。 12月18日のスイス Engelberg 大会では2位。前日も伊東、 Bardal に続いて3位に入った実力者2週連続で優勝する為には、伊東を上回る為には1回目飛んだ131.5m よりも飛ばねばならない。その飛行は 130m を越えたが飛型点で4審判が 18.5 を出した。そして最終成績で….. 2位と出て伊東の連勝が決まった。
やった~。良かった~…と声を出して喜んだ。 札幌で2連勝。 あの笠谷選手でも出来なかった快挙だ。この二日間。なんて幸せな気分に浸れたのだろう…
札幌五輪以来ずっと興味を持ってジャンプを見続けて来た。 欧州勢に唯一対抗出来るのは日本勢かカナダの Horst Bulau くらいだった。ワールドカップ、世界選手権で上位に入ると日本が勝ったと言うよりも欧州勢を破ったと言う事が嬉しかった。勿論オリンピックでも。
長野の栄光は翌年オーストリア Ramsauで開催された世界選手権 LH で表彰台を独占した事でピリオドが打たれた。
以降、2003年イタリア Vel Di Fiemme で開催された世界選手権にて Kamikaze 葛西が1人気を吐き L120, K95 でそれぞれ銅メダルを勝ち取った以外、五輪、世界選手権でのメダルは 2007年札幌大会、 2011年 Liberec 大会での Team Jump の銅メダルのみ。
ここ数年、世界のジャンプ界ではオーストリア勢とポーランドの Adam Malysz らがジャンプ界のハリーポッターことスイスの Simmon Ammann を追い掛ける、そこにドイツ勢、ノルウェー勢のかなから好調だった選手が“参戦” すると言った状況だった。
ワールドカップでは日本選手がたまに Top 10 に入ってくる事もあったが驚愕なのはかつての王国フィンランドの凋落。
トリノ五輪 NH で Hautamaeki が銅メダルを勝ち取って以来、目立った戦績は世界選手権札幌大会 HS134 で2位に入った Olli Harri くらいだ。
昨シーズンが終了し Malysz が引退した。 残念ながら札幌五輪 LH でWojciech Fortuna が勝ち取って以来の金メダルには手が届かなかった。 Simmon Ammann の壁は高かった。最後の地元 Zakopane でのワールドカップで Kofler, Ammann を抑えて優勝した時は嬉しかっただろう…。しかし彼の出現は Fortuna 以来30年間眠り続けていたポーランド Ski Jumping 界を掘り起こさせるものだった。そして五輪金メダルの夢は Kamil Stoch に託されている。
Simmon Ammann はバンクーバー五輪のシーズン以降また飛距離が落ちている。 目立ったのは 2011年 Osloでの世界選手権 HS134 で Schlirerenzauer , Morgenstern に次いで3位に入った事くらい。この時でも3位 Morgenstern とは30pt 以上も開けられた。 今年の札幌大会は参加しなかった。2010年大会は優勝を果たした…
今シーズンも強いのはオーストリア勢。 Kofler ( 1) Schlierenzauer ( 3 ) Morgenstern ( 4 ) らが上位に並ぶ。そして2位には Anders Bardal ( Norway ) が3強に食い込んでおり Norway 勢は11番目に Vegard-Haukoe Sklett が入っている。
5番目に Stoch ( Poland ) ドイツ勢 , Richard Freitag ( 6 ) Severin Freund ( 10 ) スロヴェニア勢 Robert Kranjec ( 8 ) Peter Prevc ( 13 ) チェコ勢 Roman Koudelka ( 9 ) Lukas Hlava ( 15 ) が。そして伊東は大会直前は10位だった。
今回の札幌大会ではTOP15 の中から3位の Schlierenzauer と 12位の Ammann 以外は全て参戦してくれた。
午後4時半にスタートした札幌大会の初日。3番目にベテランの岡部が登場した。飛距離は 112.5m . 33位に終わり6.8pt 差で2回目に進めなかった。 しかし Kamikaze 葛西は1回目に 126m を飛び 17位に入り、2回目のトライアルに進んだ。
39番目に飛んだ竹内拓は 110.5m 92.9pt とK点にも届かなかった。風が悪すぎた。この時点で18位。1回目は26位になり何とか2回目進出を決めた。
伊東の1人前の Prevc が 111.5m に留まり 35 位に沈み2回目に進めなかった。 ここまでのトップは何と10番目に飛んだ
Anders Fannemel ( Norway ) 。 131m 123.8pt の素晴らしい跳躍でこの前までトップだった同じ Norway の Andreas Stjernen を一気に 36.5 pt も上回ってしまった。 2人とも Continental Cup 転戦組で1月20日の札幌大会にも出場しそのままここの留まりワールドカップ挑戦権を得た。
Norway 勢の選手層の厚さが見られる。
しかし伊東は134m 123.9pt の大飛行で Fannemel を抜いてこの時点でトップに立つ。大倉山に大歓声が沸き上がる。久々に日本人選手がこの順番でトップに立ったのを見た。 出来ればこの順位のまま2回目に…と皆願っただろう。
その願いが通じたか?ワールドカップポイント TOP 10 の選手達は伊東どころか Fannemel の記録にも届かない。 46番 Stoch が 130m 122.0pt を飛んで Fannemel を抜くが伊東には届かない。 47番 Freitag は 137m の最長不倒を見せるが飛型が悪く3審判が 16.0 を出し、 Windows Compensation が -24.5pt で 119pt 5位に。 Window Compensation が無くてもぎりぎり伊東が上回っていたけど….
続く Morgenstern は反対に風を貰えず 114m 96.2pt で23位に沈む。 49番 Bardal は伊東と同じ 134m を飛び 19.0pt の飛型点も出たが Windows Compensation が -23.2pt 。得点は 122.0pt に減額され伊東、 Stoch そして Fannemel を上回れなかった。
そして1回目最後に登場したのは Anders Kofler 。昨年はここで優勝している。しかし今度は風を貰えず 117.5m 105.8pt 18位に沈み伊東の1回目トップが決まった。 それにしても大倉山の風を味方にするのは容易じゃないんだなぁ~と思った。
30人に絞られた2回目。5番目に早々と竹内が登場したがここは意地の大ジャンプ。 129.5m まで距離を伸ばし総合 211.0 でこの時点で文句なしのトップ。これが2本揃っておれば…と本人は悔やんだだろう。この日は18位に終わった。
しかし2年後のソチ五輪まで間に合わせてくれ。
竹内の3人後に Morgenstern が2回目に臨むがこれも 132.5m まで距離を伸ばし Window Compensation -13.0pt を含めても総合 213.3 で竹内を抜いた。しかし最終順位は16位。
13番目に Kofler が登場する。向かい風 1.21m の中 129.5m の“本来”の跳躍を見せ 122.9 pt が追加され総合 228.7pt で当然の様に首位に立った。 最終的には9位。この日オーストリア勢では最高の成績だった。
16番目にKamikaze 葛西が大歓声に包まれてスタートラインに着く。 この時点でトップの Morgenstern を上回るには…と言うよりも1回目以上のジャンプを見せて上位にと留まる事を…と願うが 122.5m 104.4pt と1回目に届かない。総合 213.4pt で 0.1pt Morgenstern を上回ったが最終結果は15位。それでも今シーズンワールドカップ最高の成績で World Cup Point もゲットした。
以降の活躍を期待したい。
1回目の Top 10 がいよいよ出て来る。 この時点での 1等は Anders Kofler. 1回目9位の Sklett が何と 138.5m 133.2pt の素晴らしいジャンプを見せ総合246.1pt で Kofler を大きく引き離しこの時点で首位に。 やっぱりこのクラスは違うなぁ…と思わせられる。 しかし続く Severin Freund は104m 71.4pt の失敗ジャンプで27位に沈む。 1回目7位 114/7pt の Kranjec ( Slovenia ) は130m 123.8pt を飛ぶ。しかし総合 238.5pt で Sklett を上回れない。 Koudelka ( Czech ) も 130m 122.0pt の飛行を見せるが 240.0pt で Sklett に及ばない。 続く 1回目137m のFreitag は 128.5m と今一伸ばせず 235.4pt 。
そして1回目134m 4位の Bardel は135m 130.5pt のジャンプを見せ 252.2pt でトップに躍り出る。さすが実力者。今シーズンワールドカップは3勝している。 続く同じ Norway の Fannnel は 125.5m 113.9pt と伸びず、総合 237.7pt で7位に終わった。
しかし見事ワールドカップポイントをゲットした。 続く Stoch は風に恵まれない中 127m まで伸ばして来たが 120.6pt で総合 247.2pt で Bardal を上回れずこの時点で2位。最終順位は3位に。
そして最後に伊東大輝が登場する。 優勝する為には 123.8pt が必要だ。しかし Window Compensation が加算されるので何m 飛べばいいのか….風が結構強くなってきた。ここで地元の風が…と思うも風が強すぎて仕切り直しとなっていまった。
あぁ集中切らさずにいてくれれば..と思う。 あの時は、札幌五輪の時はもっとすごいプレッシャーだっただろうなぁ…..
仕切り直しの後、伊東のアプローチにから飛び出し 86.1km とスピードが表示される。距離は伸びて行きテレビに映し出される青色のラインに着地する。 微妙なところだ。 しばしの静寂の後大歓声が沸き上がり伊東の優勝が発表された。2回目は 130m 123.9pt 総合で Bardal をわずか 0.1pt 上回る 252.6pt で首位の座を守った…..あぁ、良かった。本当に良かった~。と思った。
見事な伊東の地元での2連勝だった。ここ数年低迷する日本ジャンプ界に光が差して来た。
今シーズンは札幌大会の前迄でも Garmisch-Partenkirchen , いわゆるジャンプ週間の1戦 HS140 で3位に入ったのをはじめ3度表彰台に立っている。札幌では2010年大会でも3位に入っていた。これまで何度も表彰台には立っていたが遂に頂点に立てた。それも2日連続で。
それは昨シーズンより導入されたルール変更にも寄与しているかのかもしれない。 Gate の位置と跳躍時の風の方向、風力によりポイントが加減される事となったが、もし初日の戦績にこの compensation が加減されていなければ伊東は 273.2pt となり134m/135m を飛んだ2位の Bardal の283.2pt、4位の Sklett ( 129/138.5m 280.5pt ) に及ばず3位と言う事となる。
3位の Stoch は 259.6pt ( 130/127m ) は7位になるところであった。
しかし2日目は Gate, Window Compensation を除いても伊東を含めた Top 5 は変わらなかった。
今のところこの Compensation point は日本勢には“順風”となっている様だが、五輪前にまた変えられないか心配だ。
翌日、オーストリア、ドイツの新聞 WEB SITE を覗いて見ると写真付きで伊東を称える記事が並んでいた。
“3位に入った事は素晴らしい事だ。この日は素晴らしい大会だった。札幌で勝つには少し幸運が必要だけどここに遠征に来た甲斐は充分にあった。” Kofler はこの様に語った。そして“初日は少しアンラッキーだった。”と風の事も悔んでいた。それでも“ フォームはよくなって来ている。だから次の大会が楽しみだ。ここでの伊東はとても太刀打ちできる相手では無かった。”とも述べた。
オーストリア勢は2日間で表彰台に立ったのは2日目3位の Kofler だけだった。
それから初日3位の Poland の Kamil Stoch が2日目も2位に入り伊東と並んで連日表彰台に立った。
“素晴らしい週末だった。日本に来られてとても嬉しかった。ここで貴重なポイントを稼げたからだ。
この日(2日目)の出来は満足している。特に1回目のジャンプは。この日の競技は非常に拮抗していてハイレベルなものだった。“ この様に語っていた。
ドイツ紙の方では初日 8位に終わったRichard Freitag が3試合連続で表彰台に立てなかったことを報道。
“飛行距離からしてこの順位は妥当だろう。” Freitag 自身は語っている。1回目137mを飛んでいながら…とも書かれていた。 また、ベテラン Martin Schmidt が怪我の為に札幌遠征に参加出来なかった事も…
翌週イタリア Val di Fiemme で行われたワールドカップではオーストリア勢が奮起した。
札幌大会に参加しなかった Schlirerenzauer が初日で優勝を果たし、今シーズンワールドカップ個人戦5勝目を上げた。翌日は2位となったが表彰台は9回目だった。 初日は2位に Severin Freund ( ドイツ ) が入り Morgenstern が3位に入った。
翌日は 初日7位に終わったKamil Stoch が優勝を果たし、 Norway の Bardar が3位に入った。
期待の伊東は初日は11位に終わりニッカネン以来のワールドカップ3連勝は果たせなかった。 伊東は翌日は順位を少し上げ8位に入った。 竹内は初日14位、2日目12位だった。
ワールドカップポイントトップを行く Kofler は初日は6位に入ったが翌日は16位に終わった。 日本はあまり報道しないなぁ….
でも私は信じている。 次の五輪では Kamikaze 葛西が大飛行を見せてくれることも…
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