Mr.コンティのRising JAPAN

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世界バスケ観戦記 その2 スター軍団 

2006-08-30 | バスケ ハンド
この日の第2試合にはアメリカが登場する。別にアメリカが目的でここに来た訳ではなく、この8月27日の午前中にしか時間が取れなかっただけだった。だが私の様な都合でこの時間にここに来た人は少なかっただろう。おそらくバスケ通が聞けば“何て幸運な….”と言われたかもしれない。試合開始の何十分前だったかコートに米国の選手が何人か出て来てシュート練習を始め出した。すると多くの観客がアリーナ席、スタンドS席、それぞれのゾーンの最前列に出て来て写真撮影を始め出した。本来の私の座席はスタンドS席ではあったが、やや上方だった。すぐ横の一角がぽっかり開いていたので第1試合の開始前からそこの最前列にしれ~っと座って観戦していた。その私の座っていたところの近くに ”ちょっとすみません。“と丁寧に断りを入れて写真を熱心に撮る人が後を断たなかった。バスケと言うよりも、NBAの知識が乏しい私は何だか申し訳ない気分になって来た。そして半時間程度前になると、米国の選手がコートに現れた。それだけで場内はすごい歓声だ。そして観客席のあちこちでフラッシュが一斉に焚かれる。 そしてカメラマンも彼らを追いかける。少し遅れて豪州の選手達がやって来たが悲しいかなほとんど注目されない。アメリカはすぐにシュート練習を始めた。だれかがダンクを決めたり、テクニックや豪快さを含んだシュートを決める度に場内からは歓声があがる。一方の豪州は最初はボールを使わずステップを踏んだり、淡々とアップを始め出した。 この両国、結構な因縁がある。私が覚えているのは米国が最初に”ドリーム・チーム“を結成したバルセロナ五輪の前、オーストラリア代表の誰かがエイズ感染を恐れるコメントを吐露した。それはご存知”マジック“ジョンソンの事である。2年前のアテネ五輪でも対戦をしている。またソウル五輪の準決勝でソ連に76-82 で破れた後3位決定戦でオーストラリアを 78-49 で破り銅メダルを得たがこの五輪の結果が”ドリームチーム“結成のきっかけとなった。 あのソウル五輪の米ソ対決、そういえばテレビで見ていたなぁ。両国の五輪での対決はあの”疑惑“のミュンヘン五輪決勝戦以来だったらしい。そんな事を思い出していると ”本日はビデオ、写真での撮影は禁止とさせていただいております。ご協力をお願い致します….” ってな場内アナウンスが。第1試合ではそんなアナウンスなんて無かったのに。やがて両チームがそれぞれオレンジ色のシャツを(このシャツなんだろう?)を着て記念撮影をすべく並び始めると、カメラマン達のポジション争いが…. でもなく穏やかに。しかし、アメリカに次いでオーストラリアチームが整列してもポジション争いは更に穏やかだった。そして両チームメンバーの紹介が始まる。 選手の名前がアナウンスされる度に沸き上がる歓声のボルテージからスター軍団アメリカの中でもドウェイン=ウェイドがスーパースターだと言う事が判った。D.ウェイドは今季のNBA ファイナルの MVP。他ではレブロ=ジェームス、カーメロ=アンソニーへの歓声が高かった。ウェイドを含めて3人はアテネ五輪の経験者で前年 2003年のドラフト1位だったというのは後で知った。このチームはサッカーで例えると何だろう?最強のセレソン?全盛期のACミラン?ウェイドはジダンかワールドカップ開幕前のロナウジーニョか? ただ言えるのは、価値の判らない私にとっては“贅沢な”観戦なのだろうか? 両国国歌に続いて試合が始まる。選手の名前やスコアが示される電光掲示板がコートの上からぶら下がっておらず、会場の隅に2箇所掛かっている。1つは座席の対角線の最遠方にありスコア以外はさっぱり見えない。もう1つは頭の上だが私は丁度真裏に座っていたので全く見えない。その上に、プログラムには選手の背番号が入っていないので折角のスター軍団、だれがだれかさっぱりわからない。アメリカのスタメンは L.ジェームス、S.バティエー、C.ポール、E.ブランド。スーパースター、ウェイドはベンチだった。いよいよゲームが始まる。まずアメリカが 203cm のS.バティエーの 3Pで先制すると、1分33秒 PG のC.J.プルートンの3P で 3-3 とする。すると米国はC.アンソニー、E.ブランドの連続ゴールで 8-3 。ここで奮起したのが?オーストラリア4番のアンドリュー=ボガット。10-13 からゴール、3Pを立て続けに決めて一気に 15-13 と米国からリードを奪う。米国はC.アンソニーのFT, K. ハインリックのゴールで 18-17と逆転するが B. ニューレイの 3Pで再逆転。豪州もなかなかやるな?と思うがそう言う豪州の期待を覆したのがD.ウェイド。この試合初得点を決めて 19-18 とまた逆転を。だがこれ以降豪州にリードを許す事はなかった。ドイツも B. ニューレイのダンクなどで追いすがるが D.ウェイドがもう一度決めるなど、第1Qを 27-23 アメリカリードで折り返した。 それでも点差は4点。オーストラリアもなかなかやるな。と言う印象が残った。6月のワールドカップで日本を破った事でサッカーのオーストラリア代表“ Socceroo “ が知られるようになったが、バスケットの方がオーストラリアは実績がある。五輪ではソウル、アトランタそしてシドニーと3回4位に入っている。世界選手権は5位が最高(94年トロント大会 82年コロンビア、カリ大会)で世界ランクも9位だ。今大会のメンバーにはNBAでプレーする212cm のアンドリュー・ボガット、イタリアでプレーするサム・マッキノン、212cmのウェイド・ヘリウェルの他にNCAA 所属の選手が3名、地元 Sydney Kings に所属する選手が5名いる。 アテネ五輪では9位に終わり、その後若返りをはかり今大会と北京五輪でのメダルを狙うらしい。恐らくニュージーランドと同様、地元ではバスケよりラグビーの3カ国対抗戦、Tri Nationsの話題で独占だろう。しかし、このアメリカとの対戦は地元でも関心を寄せられていると思う。その試合で大いに存在感を示したいところだろう。 しかし、第2Qの立ち上がりC.アンソニーの F.T. , C.ボッシュのダンクで米国に先行された後、マッキノンの F.T. で何とか 24-31 と追いすがると残り7分38秒でアメリカベンチからJ.ジョンソン、カーク=ハインリッツ、S.バティエそしてD.ウェイドの4人が一気にコートに投入されるや、(あと1人はドワイト=ハワード)NBA軍団のショータイムとなってしまった。ペイントエリア付近でのパスワークにその速さ、そしてリバウンドにシュートやリング下での個々の技術力の高さ、その力強いプレーの一つ一つに観客席からは溜息が漏れる。私でさえ、”おぉぉ~っ“と声が思わず出てしまう。そしてアメリカはどんどん得点を重ねるがオーストラリアはスコアが全く変わらない。わずかに1度マッキノンからボガッドへのアリウープ (これは以前読んだスラムダンクに描かれていたので知っていた。) が決りかけた時、オーストラリアのプレーに対して歓声が1度だけ上がった。個々の能力で対抗出来るのはNBA所属のボガットだけ。そのボガットとD.ハワードとのマッチアップを横に座っていた2人組が”ドラフト1位対決だね。“と言っていた。あぁやはりボガットはそういったレベルの選手か、と再確認させられた。アメリカはあっと言う間に連続で15得点を重ね 46-24 と突き放してしまった。そしてオーストラリアC.J.プルートンのシュートがようやく決まり、4分52秒振りに得点を挙げると観客からは大きな拍手が。しかしその後もアメリカは順調に得点を重ね最後はJ.ジョンソンの3P, F.T. そしてスティールからのダンクが連続して決まり 59-29 で前半が終わった。この Quarter だけでアメリカは32点、オーストラリアは6点しか取れなかった。 ハーフタイムの間、超ナイスバディのダンサー達の演技を見てからおトイレに立つ。ここ、さいたまスーパーアリーナはこれまでもこれからも様々なイベントが催されるが昨年夏、”韓国四天王“がコンサートを行い世のおば様たちが集結した会場でもある。そのせいか御婦人用トイレばかりで殿方用がなかなか見つからない。携帯ストラップやミニボール等のお土産を買って座席に戻ると既に後半が始まっていた。第3Qに入ってアメリカはややペースを落としたせいか、オ-ストラリアは連続失点を喫する事は少なくなった。観客席には熱心なオージー達が数名おり、劣勢にもかかわらず” Go ! Australia !! “ と声援を送っている。アメリカのサポーターが “ USA!! USA!! “ と御馴染みの声援を始めるとそれにあわせて “ Australia ! Australia !! “ と声援を送る。それに奮起したかNBAプレーヤーのボガットがディフェンスリバウンドを取れるようになった。それが更なる大量失点を食い止める。そしてE.ブランドのマークを掻い潜って鮮やかなシュートを決め一人気を吐く。しかしアメリカはその上を行く。第3Qの最後はD.ウェイドのパスを受けたB.ミラー、そしてS.バティエが2本、最後はD. ウェイドと4連続 3P が決まり 88-49 で第3Qを終えた。オーストラリアも頑張ってこの Quarter は20点を取った。第4Qの立ち上がりはルーク=ケンダルの 3P を含むオーストラリアの3連続得点で幕が開く。第3Qの中盤から感じていたがオーストラリアのPG アーロン=ブルースはドリブルが上手い。さすがNCAAでプレーするだけある。身長も191cm でもこれで PG かぁ。とジーコ前監督じゃないが、欧米人との体格、フィジカルの差だけはなぁ…. 試合の中盤にちょっとしたハプニングが。アメリカがF.T.を得た時に反対側のゴール下でコートのすぐ後ろで待機していたダンサー達がコート内に入り整列をしてしまった。あれ?このFTのあとすぐにタイムアウトかな?どちらか取っていたっけ?と思う。恐らく観客席もそんな雰囲気だ。するとレフリーからコート外に出るように促され、彼女達とそれから大会マスコットの人形がいそいそと駆け出ていく。会場からは思わず失笑と拍手が。でも彼女達の恥ずかしそうな表情もたまらなく可愛い。この直後にC.ボッシュの F.T. が決まりアメリカの得点は遂に100点となる。この Quarter も211cmのD.ハワードのアリウープ等、アメリカのプレーが観衆を魅了する。私も必然的に9番の D.ウェイドを追う様になる。彼の披露するプレーそのものがどれだけ素晴らしいかはバスケ経験者なら更によく判るだろう。 オーストラリアも第4 Quarter は24点を上げ健闘したが最終スコアーは 113-74 。
ボガットがC.アンソニーと並んで20得点を挙げて意地を見せた。観客は総立ちでコートを後にする両国選手に拍手を送る。(恐らくアメリカ選手達に?)そして“ Australia ! Australia ! “ と “ USA ! USA !! “ の歓声も。
少々の混雑はあったがアリーナを抜け出ると駅まではスムースに歩けた。夏休み最後の日曜日。子供連れも多かったが、こういう世界最高峰の試合こそもっと多くの子供達に楽しめる様に地上波でのテレビ中継が何故無いのかと思う。 駅の周りには Houston Rockets のユニフォームを着る多くの日本人?が。いや中国人だった。そうか、この後中国対フランスの試合があったのか。彼らを羨ましく感じながら電車に乗り込んだ。 


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