はっきり言って生まれて初めてだと思う。スポーツ新聞紙のトップ記事にハンドボールの事が載ることが。 1月26日の日刊スポーツの一面に
“ ハンド異常人気。完売40分 ”
と言う見出しと男子日本代表の中心選手宮崎の写真がどアップで紙面を賑わせていた。この報道を見て私は非常に後悔した。
チケット発売日の1月25日の数日前から計画を練っており、当日は午前10時前にファミリーマートの“チケット申し込み機械” の前で待ち伏せをし、10時の時報と共にチケット購入をすべくチケットピアのPコードを入力した。しかし何度入力してもそのPコードは該当なしとの返答。そして10分程度が過ぎて大失策に気が付いた。ファミリーマートやサークルKでのチケットピアの取り扱いは1時間遅れの午前11時からと言うことに気が付かなかった。私は大慌てで近くのローソンに向かった。学生、社会人時代は中距離でならしたこの足、…..しかし現役を退いて20年近くが経過している。急げば急ぐほど足は着いてこない。その上体脂肪率と体重は毎年鰻登りで持久力と筋力はそれに比例して急激に衰えている。結局最後は歩くようにローソンに着いたのは10時17分。
券売機にコードを入力し…..だが1月30日。男子の予選のチケットはすべて完売であった。女子もアリーナS席は完売。A席なら空席有りなのでそのチケットを購入することに。最初にローソンに来ていれば男子の試合分も購入出来ただろうに、この予選は男女共に観戦し様と計画を練っていたのに(それにしても杜撰な計画だけど)と後悔の念が消えない。だがここで自分自身に
“俺は一昨年のサッカーのワールドカップも昨年のアジアカップも五輪予選も現地で観戦出来たのだからここは長年もっと地道にハンドボールを応援してきた人達に譲れと言う神のご指導なのだろう……….”
だが翌日のニッカンスポーツを見てまたも後悔の念が…..“秒殺”と言う文字が….. 男子の試合のアリーナS席が発売後約1分で完売したとか….と言うことは、あの時ファミリーマートでなく、ローソンに行っておればチケットをゲット出来たのかもしれない。その無念さが再浮上してくる。更に新聞には既にそのチケットは“プラチナ化”しており発売翌日にはネットオークションに出回っているとか…地道なハンドボールファンの手に渡るのなら解るが、ネットオークションに回して小銭を稼ぐ道具に使われるとは俺でも腹が立って仕方が無い。俺だってハンドボールは好きなスポーツだ。高校に入学したらハンドボールをやりたいと思っていた。少なくともこの五輪“再予選”に纏わるにわかファンでは決して無いつもりだ。過去の私のブログも見てほしい。
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http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/bc974a00b486fa4e3908daa510877700
この空前の “ハンドボールブーム” それは五輪予選のやり直しと言う出来事が無ければ生まれなかった。なぜ昨年、豊田市で行われた五輪予選の時に起らなかったのだろうとも思った。その前のアテネ五輪予選は確か神戸でそして昨年の北京五輪予選が豊田で行われたとき、なぜ関東でやってくれなかったのだろう、と残念に思った。東国原宮崎県知事は先日テレビで “私は今ハンドボールに世間のスポットライトが当たる瞬間を30年間待っていました。”と語った。今でも覚えているのは知事がまだタレントの“そのまんま東”時代に“J リーグに続け”と言うコピーの元ハンドボールの日本リーグのポスターに一役買っていた。もう10年以上前のことだった。
今の雰囲気は1985年ワールドカップメキシコ大会の東アジア地区予選の決勝戦の日韓対決の前に少し類似している。1984年4月、シンガポールで開催されたロス五輪予選で惨敗し“破産状態”の日本代表が同年10月ソウルで行われた日韓定期戦で勝利し、チームの再建が始まり翌年のワールドカップ予選では北朝鮮や香港を破り最後は韓国との一騎打ちとなったのだった。その当時でも私は韓国には勝てないだろうな、と思ったがこのチームならひょっとして勝ってくれるかもしれないと期待した。前年の日韓定期戦 ( 2-1 ) 、2年前の東京での日韓定期戦 ( 1-1 ) そして3年前のインドでのアジアカップ ( 2-1 ) と3試合続けてと負けが無かったがこれは史上初めての事だったという裏付けもあった。当時数少ないサッカーファンも同じ思いをした人も多かったのだろう10月26日国立競技場は満員となり日本選手の後押しをするはずだった……….
だが、マスコミの騒ぎを見て、ハンドボールファンの方々で日韓の差を知る人はこの “再予選” を何故そんなに楽観視出来るのだろう??と思っていると想像する。
過去の戦績を見ればハンドボールでの日韓関係は男女ともとてもとても“ライバル”等とは見られない事が良くわかる。そのことを知るマスコミの人達は何人いるのだろう??
1月11日。大韓ハンドボール協会(っていうのかなぁ??)はこの最予選のメンバー男女それぞれ15選手を発表した。その詳細は私のブログにブックマークをさせて頂いておりますオイローパさんのブログを御参照ください。
http://blog.goo.ne.jp/europahf/e/5dd562b051a67f625f3d8e93c922b878
18年振りの勝利を目指す男子……..
最後に男子が韓国に勝ったのは1990年との事。どういう試合、大会だったのだろう?この年は北京でアジア大会が開催されたがそこでは韓国に勝てなかったのは憶えている。しかし18年も空白があるとは…… サッカーでの日韓戦でも最長期間日本が韓国に勝てなかったのは1959年東京後楽園でのローマ五輪予選に 1-0 で勝利してから1974年東京国立競技場の日韓定期戦で 4-1 と勝利するまでの15年間、引分5試合を挟んでの8連敗と言う記録がある。更にその後1979年3月、国立競技場で 2-1 で勝利するまで引分3つを挟んで8連敗を記録するのだが、ハンドボールに関しては70年代頃に日本が韓国に敗れ続けていた以上に実力の差を見せつけられていると言えないか?昨年1月の世界選手権メンバーが10人、2006年12月のアジア大会メンバーが7人そしてアテネ五輪の経験者が8人含まれている。中でも強力なのがアテネ五輪で58得点を挙げ大会得点王になった 203cm 95kg の尹京信 。 Bundesliga の HSV Hamburg でプレーするアジア No.1 の大砲だ。そしてアテネ五輪には出場しなかったがベテラン、192cm の趙致考は昨年の世界選手権では48得点を挙げた。この再予選では190cmの富田恭介(大同特殊鋼)が復帰してくるとは言えこの二人をどうやって“最少失点”に抑えるのだろう?尹京信34歳、趙致考37歳。スタミナ勝負の走り合いになれば勝機は見えて来ると新聞には書かれていたが、得点能力はその二人だけでなくアテネ五輪29得点、世界選手権13得点の李駄栄、大同特殊鋼所属の白元(アテネ五輪28得点、世界選手権16得点) 李才佑 (アテネ五輪32得点、世界選手権25得点)の二人は昨年末正に再予選が開催される代々木体育館でその決勝戦が行われた全日本総合選手権、大同特殊鋼優勝の立役者となっていた。それだけに彼らの事は日本側もよく判っているか?
GKが神懸かり的なナイスセーブを連発してくれれば良いのだけれど。日本期待の宮崎大輔、全日本総合選手権で MVP になった末松誠に期待をしたいが韓国のDFも堅そうだしなぁ……
昨年の世界選手権の韓国代表のメンバーを見ても180cm以下の選手は1人だけで残りはみな180cm 以上で190cm を越える選手が5人もいた。ボディコンタクトの多いハンドボールでこの体格差を埋められるだけのスピード展開が出来れば良いのだけど…….
韓国は地元開催のソウル五輪で決勝に進みソ連に 25-32 で敗れたが銀メダルを勝ち取った。1936年ベルリン五輪とハンドボールが再採用された1972年のミュンヘン五輪以降の10大会で欧州以外の国でメダルを獲得したのは韓国だけ。その韓国に勝つのは可能性は無くは無いがかなり厳しい試合となりそうだ。アテネ五輪予選では 22-22 の引分。この時は得失点差で五輪出場を逃した“惜しい”の一言。この様な試合が出来ればと期待をするのだが…..
更に苦戦を免れそうにない女子
ソウル五輪の決勝戦は当時テレビで見た。名前は忘れたがあのGKのファインセーブを連発していたのが印象的であった。そのソウル五輪ではソ連を21-19で破るなど金メダルを勝ち取り。その次のバルセロナ五輪ではノルウェーを決勝で 28-21で破り2連覇を達成。3連覇を目指したアトランタ五輪は決勝戦でデンマークに敗れたものの銀メダル。続くシドニー五輪では準決勝でデンマークに29-31で敗れ、銅メダルを賭けた3位決定戦もノルウェーに 21-22 と惜敗し4位。だが翌アテネ五輪では決勝戦でまたもデンマークと対戦。22-25 の劣勢から3連続得点で同点に追い付き延長戦に。その1st Overtime では 29-27 とリードしながら連続失点で追い付かれ、2nd Overtime では34-33とリードしながら終了数秒前に Fruelund にこの試合15得点目となる同点シュートを決められPenalty Shoot-Out 戦で は2-4 。3大会連続でデンマークの軍門に降る事になったが世界でも屈指のハンドボール大国である事は間違いない。このアテネ五輪ではアジア地区予選では敗れたものの世界予選で出場権を勝ち取っての五輪出場だった。 1月10日にアテネ五輪の女子ハンドボールチームの事を描いた映画 “私たち生涯最高の瞬間”が1月10日に封切られ観客動員数が1位らしい。
女子の日韓戦の戦績は男子よりさらに厳しいもので通算3勝35敗1分。その3勝のうちの1つが昨年8月カザフスタンで開催された北京五輪アジア予選。しかしこの勝利は “カザフスタンを勝たせる為の中東の笛が日本に有利に働いたもの” と日本協会関係者も認めている。では対韓国戦2勝目はいつだろう??
この五輪再予選にはアテネ五輪メンバーが9人入っており、昨年12月にフランスで開催された世界選手権のメンバー13人が入っている。そしてカザフスタンを 29-22 で破りアジア大会で優勝したメンバーが9人選ばれている。韓国女子は7人が欧州のクラブチームに所属する。アテネ五輪で44得点を挙げた李尚恩はスペインの Itxako に所属し彼女のロングシュートは脅威だ。 アテネ五輪37得点のサウスポー禹仙姫はかつて韓国体育大学時代に来日しヒロシマ国際大会に出場し JHL 選抜と試合をした。35歳ベテランの呉成玉はオーストリアのヒポ・ニーダーオーストリッヒでプレーするアテネ五輪メンバー。世界選手権では攻撃の軸となったらしい。 呉の所属するヒポ・ニーダーオーストリッヒは他にも金且妍、明福姫、のアテネ五輪とアジア大会そして世界選手権経験者がプレーし、もう一人この再予選のメンバーには入っていないが韓善煕の4人が所属する。
昨年12月の世界選手権では1次リーグではウクライナを接戦の末 26-25 で降しドイツに次いで2位で2次リーグに進み、1勝3敗で迎えた格上ハンガリーとの最終戦を 31-26 で制し前節で韓国を 28-26 で降したスペインが既に2次リーグ敗退が決まっていたポーランドに 29-30 で敗れたため劇的に準々決勝に進出。ノルウェーに 24-35 で敗れたが5位―8位決定戦でアンゴラを 41-33 で破り、最後は地元フランスに 25-26 で敗れたが6位に入賞した。
一方の日本は1次リーグでハンガリー 31-35 、スペイン 29-36 、コンゴ 28-32 と3連敗で2次リーグには進めず、下位の順位を決めるプレジデントカップに回ったがそこでは奮起し中国 30-22, パラグアイ 36-8 そしてアルゼンチンを 31-20 で破り19位になった。しかし前回は18位であった。韓国選手の体格を見ると 170cm 前後の選手が多く、180cmになると許順栄、明福姫くらいではないか?身長180cm 以上の欧州勢と互角に戦うにはやはりスピードと格上のハンガリーを破ったような強い精神力が備わっていると思われる。日本はそれ以上の機動力を発揮できるだろうか?
世界選手権32得点のエース田中美音子、27得点でスペインのゴヤでプレーする早船愛子のスピードを生かした攻撃がどこまで通用するだろう……..
種目は異なるがアテネ五輪のバスケットボールのアジア予選準決勝戦。絶対に不利と言われていた韓国戦を制して見事五輪出場権を勝ち取った。その再現を祈るが……..
1985年サッカーのワールドカップ予選の最後の日韓戦で敗れワールドカップ出場が成らなかった日本サッカー界はその後また暗黒の時代に入り、1996年ようやくアトランタ五輪出場を経由し、翌年のあのジョホールバルでの歓喜まで実に12年を要した。 この再予選が終わってもハンドボールが人気、実績面で低迷しない事を願う。
しかし日韓戦の過去を見ればこれは苦手と言うよりも格が違うという感じも否めないなぁ.....
しかし、がんばれニッポン。がんばれハンドボール。
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