Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

異国にて ”ヨッシャァァァッ~日の丸飛行隊 !! "

2007-02-28 | Weblog
Gさん宅ではそば等をご馳走になり最近の日独事情の情報交換を。と言っても、あるある大辞典の納豆事件とか、(我が家は翌日から丁度2週間試した時に“やらせ”が発覚した。)とか、ハンブルグの日本人会事情とか..
でもこれは当事者には貴重な情報だったりする。

現地時間の午前11時、日本時間の午後7時頃には地元テレビ局で札幌からの中継が。ノルディックスキー世界選手権のスキー団体戦が始まっていた。今季、シーズン開幕からの6戦で3試合がキャンセルになる波瀾の幕開けのなかで現在W杯ポイント首位を行くのは、昨季までは格下のコンチネンタル杯7位が最高位出しかなかった22歳のアンデシュ・ヤコブセン(ノルウェー)、2位は1月に17歳になったばかりのグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)だ。だが、ベテランのアダム・マリシュ(ポーランド)も1月後半から調子を上げており、2002年ソルトレーク五輪2冠のシモン・アマン(スイス)も今季は低迷を脱出して総合4位につけていて、若手の突出を阻もうとする。それに対する日本勢のW杯での成績は上がってはいない。前回の世界選手権ではノーマルヒル、ラージヒルとも団体戦は1本目8位以内に入れず、2本目へ進めないという屈辱を味わった。
前日(私の知らぬ間に終わっていた)ラージヒルではスイスの英雄、ソルトレーク五輪の二冠王シモン・アマンが総合飛距離では2位のオリ・ハリ(フィンランド)に1m及ばなかったが飛型点で上回り,わずか0.2ポイント差で金メダルを手中にした。3位にはノルウェーのヨケルソイが入りポーランドのマリシュは4位。ワールドカップポイント首位のヤコブセンは14位に終わり、好調のオーストリア勢はコフラーが8位、9位にコッホそしてシュリレンツァーは10位と意外な結果に終わった。日本勢は「スーパー高校生」栃本翔平の16位が最高でベテラン勢の岡部が21位、葛西が24位、そして伊東大輝は29位に終わった、ヘッドコーチのカリ・ユリアンティラは「名寄では不足していたジャンプ練習をジックリできた、と試合前には言っていたのだが。
“最近はドイツも低迷しているなぁ”とはGさんのコメント。かつてハンナバルトやシュミットが世界を席巻し、そして団体も常に北欧勢、オーストリアと優勝を争っていたのだが。昨年のトリノ五輪でも団体は4位、個人ではNHのウールマンの4位、ノイマイヤーの8位が目立ったところであった。今年の冬は寒くなくて過ごし易いとGさんは言っておられたが。これも暖冬の影響か?前日のLHでもリッツェルフェルトの15位が最高だった。(それでも日本よりは上回った。)しかし、ジャンプもそれまでの成績よりもその場の1発がより好成績に繋がる。この団体が日本にとってもっともメダルに近い種目と私は思っていた。

テレビでは丁度岡部の跳躍が始まろうとしていた。観客席からは多くの日の丸が打ち振られる。そして岡部のジャンプはK点を超える121m 参加13カ国中、二人目のジャンパーでK点を越えたのは岡部と シュリーレンツァウアー(オーストリア)の2人だけであった。二人目を終えてスイスがトップ。これはエースのアマン・シモンを1人目に飛ばせて、136mと言う大飛行を演じたからだ。オーストリアがそれに続き、日本は5番目だったかな?日本の3人目、伊東大輝は117m。K点は越えて欲しかった。他国の3人目ではオーストリアのコフラーが130mの大飛行でチームをトップに押し上げノルウェーのヤコブセンが122mでチームを2位に浮上させた。またLHで2位だったフィンランドのオリ・ハリが123m。しかし、1人目、2人目がふるわず、日本よりも順位は下だった。その一方でロシアのデニスが120.5m。1人目のディミトリが125.5mを飛んだので日本より上回っている。そして各国エースが登場する4人目が始まる。アルファベット順で飛ぶので日本は3番目。ここでエース葛西がK点を大きく越える128mを飛ぶ。ランディング後小さくこぶしを挙げて自分の飛行に満足な様子。映像からは観客の大喜びをする様子が映し出される。他の選手ではオーストリアのモルゲンシュテルンが126m, ノルウェーのヨルケソイが134m ポーランドのマリシュが133.5mを飛び、こちらもため息が漏れる。ドイツのシュミットも129m を飛ぶが二人目のボグナー、3人目のリッツァーフェルトが振るわないので日本を上回れない。トリノ五輪団体銀メダルのフィンランドも伸びなくて日本はオーストリア、ノルウェーに次いで3位に着けた。 “札幌は雪は問題無いみたいだね。”とGさんが尋ねる。“ここから豪雪が降ってくれて2回目がキャンセルになれば日本のメダルは確定するんですが。”と応えた。“これ生中継?夜に飛んでるの?”“やっぱり欧州の良い時間帯に合わせているんですかねぇ?夜だとランディングが怖いと思いますよ。”“あぁ、そういえばドイツで見るスポーツ店の看板が出ているよ。”
やはり世界は欧州中心に動くのか? そんな話をしているうちに2回目が始まった。日本は1人目の栃本が飛び出す、しかし飛行は低くK点のずっと前110m に終わる。すると後続が大ジャンプのオンパレードだ。ポーランドのストッホが120m, ロシアのディミトリーが何と130.5m, そしてスイスのアマンが“貫禄の”135m さらに上位2カ国ノルウェー(トムヒルデ130.5m ) オーストリア(ロイツル 135.5m ) とK点をはるかに越えるジャンプが続き日本は6位に落ちてしまう。“やっぱり厳しいなぁ”Gさんと2人でまたもや溜息が漏れる。ここでトップ8のみが競技を続けることとなり、順位の結果日本の岡部が2人目最初のジャンパーとなる。岡部の“ベテランのジャンプ”に期待をかけたいところ。岡部は期待通り2人目ただ1人K点ジャンプの120mを記録。さらに当面のライバルロシア、スイス、ポーランドは飛距離が伸びない。更にトリノ五輪NH銀メダルのハウタマキも109mと失敗ジャンプで3位争いは日本も含めて大混戦。さすが “ベテランのジャンプ”の岡部だ。こうなると伊東大貴に期待がかかる。何とかK点を越えてくれよと彼の跳躍を見守る、アプローチ、飛び出す、そして・・落ちない・・・落ちない・・K点を越えても・まだ落ちない、その場外満塁ホームラン級の大飛行は131.5m。大歓声の大倉山シャンツェ。ドイツのアナウンサーも大声を張り上げる。“何て言っているのですか?”とGさんに尋ねると“ Sensational ITOって言っているよ”と。 これで他の選手に大きくプレッシャーを与えたかポーランドのマテヤ、ロシアのコルニロフ、そしてスイスのランデルトらは相次いで失速。特に最後にマリシュの控えるポーランドはそのマテヤが94.5mと大ブレーキをしてくれた。トップを独走するオーストリアのコフラーの128.5mも霞んでしまう伊東のスーパージャンプだ。 “やりましたねぇ”“これで決まり?”“いや、最後に葛西が残っています。” 最後の4人目は再度跳躍順が変わり8位のドイツから飛ぶことになる。ポーランドのマリシュが131.5m のジャンプを見せるが総合で日本には届きそうに無い。マテヤの失敗が痛かった。フィンランドのアホネンが飛ぶ。フィンランドはLHではオリ・ハリが銀メダル、アホネンが6位、ラッピが11位と日本人最高順位の栃本の前に3人もランクインしており、メダルを争うと思われていたが今一伸びなかった。1997年トロントハイム大会 NH, 2005年オーベルシュタット大会 LH の金メダリストアホネンが135mの大飛行を見せれば次の葛西には相当なプレッシャーが掛かるところだったが、K点前の119mがやっと。そして葛西は落ち着いて“失敗しない”ジャンプ117.5m にまとめる。集計が出てこの時点で日本がトップ。そしてメダルが確定した。既に選手達は抱き合って喜んでいる。こちらも“良かったですねぇ”と安堵の雰囲気が。その後、ノルウェーのヨケルソイが126.5m オーストリアのモルゲンシュテルンが 125m のK点越えを見せる。“やっぱり強豪国が飛ぶときは風もいいなぁ”と苦笑しながた言うと “実力者は運も付いて来るんですよ。”とはGさんの解説だ。優勝はオーストリア、2位にノルウェー。そして日本は銅メダルを獲得した。
伊東の131.5mジャンプが大きかった。日本のマスコミは“日の丸飛行隊の復活”とか“次のノーマルヒルにつなげて欲しいですね”とか言っているだろう。しかし、それは冷や水を掛ける様だが胸算用だ。
同じ胸算用ならこの団体での各選手個人の成績を見れば良い。飛距離だけを見ると、1位がアマン・シモンの271m ( 2回足して) アダム・マリシュの265m で続き、ヨケルソイが260.5m で3位、続いてロイツェル、コフラーのオーストリア勢が共に251mで並ぶ。そしてオリ・ハリが258mで6位に。7位にロシアのディミトリーが入る。日本勢では大飛行の伊東が248.5m で11位に入るのが最高で245.5m の葛西が13位。ただ葛西は2回目のジャンプを攻めに言って結果が出ていればもっと上位に行っていたかもしれない。この団体の結果を見てNHはアマン・シモンの2冠達成を団体で優勝を果たしたオーストリア勢がストップを掛けられるか?と分析すべきだろう。何しろLH9位のコッホを外して起用をしたロイツェルが上記の様な結果をだすのであるから…..
6月にワールドカップで訪れたときは“日本戦の勝利を是非ここのベランダで祝いましょう”と前からGさんが言ってくれたけど日本は勝てなかった。その溜飲は少しは下げられたかな?

後は数時間Gさん宅で色々話してICEでフランクフルトへ向かった。日の丸飛行隊の好成績で次の訪問先、イスラエルへの行程は快適になりそうだった……


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