日本代表選手の故障による相次離脱を尻目に最大のライバルとなるオーストラリアは開幕2連勝で首位に立っている。2年前のワールドカップでは歴史的な決勝トーナメント進出を遂げ大会後はAFCに加盟した。 Asian Cup ではベスト8止まりだったがかつてはアジア諸国とワールドカップ出場を争った事がある。それでもアジアの中で戦い抜く事に少なくとも地元のマスコミは非常に神経質になっているようだ。最終予選の始まる前にオーストラリアの専門誌に“ ワールドカップ予選突破への5つのステップ” と言う特集記事が組まれていた。その記事は以下の通りであった。
STEP 1 Uzbekistan とのアウェーゲーム
2007年11月、 オーストラリア五輪代表チーム Olyroo 達が北朝鮮から北京五輪予選突破に必要な勝点1を持ち帰った時 FFA のコーチ陣が“アジアで最悪の環境を見た”と言う見解を示した。 Olyroo 達は粗末な施設、人々は1950年代の軍服をまといキックオフの1分前には人工芝のピッチの上にまだ雪が残っている….. 厳しく統制された北朝鮮に遠征した事になったのだ。 2006年にAFCに加盟後 Olyroos, Socceroos 達は中東の砂漠を行き来し、東南アジアの蒸し暑さに汗を流しそして北朝鮮のテストにパスをした。しかしこの最終予選のドローでは更なるサプライズが。アジア最北端の辺境地ウズベキスタンと言う New South Wales 州の半分にも満たない国土に3,000万人の人口を抱える国家と同組となったのだ。
この国の Football は欧州と国境を接する旧ソ連邦5カ国の中では最も成功を見せている。前回の予選では極端に不当な処置が彼らのワールドカップ進出を妨げた。ホームでの 1-0 の勝利は日本人主審の誤審によって無慈悲にもやり直しを余儀なくされそこ結果予選突破を阻まれてしまった。
豊富な地下資源、天然ガス、金そして綿花を産出するウズベキスタンはアジアの “ Little Russia “ と成る恐れがある。 EURO 2008 で見られた様に今やロシアは欧州の列強の仲間入りを果たしている。 Australia は Uzbekistan がアジアの中で同様の動向を見せるのか用心をする必要がある。ウズベキスタンは 2001 年以来ホームでは敗れていない。しかしながら Australia はウズベキスタンとのアウェーゲームには2つの利点があるのも事実だ。1つはアジアの中では最も欧州に近く欧州組の長旅によるコンディション調整の苦労が少なくなる。2つ目はウズベキスタンとのアウェーゲームは最終予選の開幕戦となるので例え敗れても挽回のチャンスは残り7試合の間に充分期待が出来る。このゲームに引き分けられれば最高のスタートと言えるだろう……..
引き分ければ最高のスタートとみられていたアウェーのウズベキスタン戦。その“難しい”アウェーゲームを劣勢ながら 1-0 で勝ち点3を上げたことで“超最高のスタート”が切れたという言う事か…… しかも試合会場に出発する直前に Jason Culina と Jade Northの2人が腹痛を訴え直前離脱すると言うアクシデントまでありながらだ。試合内容もウズベキスタンのシュート数が15に対してオーストラリアは7。ウズベキスタン戦の勝利スタートは Socceroos 達が自らを勇気付ける事となっただろう。
上述されている前回疑惑のワールドカップ予選の事だがそれは 2005年9月にウズベキスタンのタシュケントで行われたバーレーン戦の事だ。まず11分に カシモフ のゴールでホームのウズベキスタンが先制した。そして問題のシーン39分に シャツキフ のシュートがバーレーン DF モハメッド=ユマの手に当りPKがウズベキスタンに与えられた。そしてキッカーの ジェパロフ がこれを決めたのだが、ウズベクの選手達が ジェパロフ がPKを蹴り出す前に ペナルティーエリア 内に入っていた。通常ならここで蹴り直しが命ぜられるが、主審を務めた日本人の吉田主審はバーレーンに間接フリーキックを与えて試合を続行させた。試合後吉田主審も“誤審”と認めたが、この判定はPKが失敗した時に下される判定で、確かにジェパロフはそのPKをバーレーンゴールに捻じ込んだのでPKは成功しており、先述したとおりもう一度ウズベキスタン側にPKが与えられるべきであった。試合はそのまま続けられ、1-0 でホームのウズベクが先勝を納めたが、収まらなかったの当時のウズベキスタン代表監督のHoughton 監督。この判定に試合後ウズベキスタンサッカー協会 ( U.F.F. )を通じて FIFA に提訴。 FIFA も この判定を “ Technical Error “ と認め、Lennart Johannson World Cup Organising Committee 会長を始め再試合の決定を下した。U.F.F. 側の 3-0 でウズベキスタンの勝利という要求は棄却されたが、バーレーン側が何かをしでかしたわけでもないのでこれは当然。 勝利を収めたウズベク側が提訴したのも、1-0 と 2-0 では大きな違いがあるからだ。再試合は10月8日と12日に組まれ、10月8日のタシュケントでの試合はバーレーンが17分にTalal MOHAMED のゴールで先制し、2分後の19分に Maksim SHATSKIKH のゴールでウズベキスタンが追い付くもスコアーはそのまま 1-1 で変わらず12日のマナマでの試合はスコアレストローに終わりバーレーンがトリニダードドバゴとの大陸間予選に進出したのであった。
日本は御周知の通り最初のホームゲームでウズベキスタンと引き分けてしまっている………
Step 2 スロースタートを避けろ
ワールドカップ予選の日程が発表された時、それは “ back-loaded : 契約年限の最終年度に主要な利得が約束される労働契約 “ と言われた。
それは他のチームの運命は我々オーストラリアの手に委ねられていると言う事だ。来年4月初旬の時点でオーストラリアは4試合を残す事となるが他のチームは残り試合が3試合。そしてオーストアラリアは残り4試合のうち3試合がホームゲームだ。
最後のホームゲームの日本戦にドローのみが必要とされる状況になれば最高の星勘定となる。しかし Verbeek が与えたものはまだ充分に証明されてはいない。
もし幸運にも Uzbekistan と引き分けられてもカタール ( ホーム ) バーレーン ( アウェー ) に足元を掬われると2月の日本とのアウェーゲームは3位か4位で迎えねばならない。日本とのアウェー戦で引き分ける事は我々を思い悩ます事から救ってくれる事だ。6月の中国とのホームゲーム3次予選最終戦で Verbeek が軽率な実験用のスタメンを発表した事に就いての非難の嵐を思い出してみれば良い。もし重要な2月の日本戦を勝ち点5以下で迎えねばならなくなると Verbeek の批難度は10にも達する。その様なプレッシャーの中で Verbeek と選手達は我々を南アフリカに連れて行くと言う偉業に挑まねばならない。彼らは最後の4試合の優位さをうまく利用できるだろうか?
2月の日本戦の前に少なくとも6勝点(7勝点なら更に良い) は積んでおきたい。
一番案じられたウズベキスタンとのアウェーゲームを勝利で飾り、続くカタール戦も足を掬われるどころか 4-0 の圧勝。2連勝で単独首位。来年2月の日本とのアウェー戦が最も厳しい戦いと予想しているが、既に勝点は6挙げておりバーレーン戦の結果次第ではさらに上積みされる。ここで心配なのは我が日本代表。19日のカタール戦の結果次第では勝点5以下で迎えねばならないのは日本の方で、しかも2月はJリーグは“オフシーズンの真っただ中” レギュラー陣がほぼ全員欧州のクラブに所属しているオーストラリアはまさに “シーズン真っただ中 ” 。いよいよ日本はカタール戦が大事になって来た。しかしけが人続出で大丈夫なのか………
Step 3 Pim Verbeek の未経験の克服
Pim Verbeek の何を知っている?彼はオランダ人。彼は Guus Hiddink と仕事をした。彼は Asian Cup で韓国を3位に導き、ベスト8で敗れた Graham Arnold ( 当時のオーストラリアの代表監督 ) よりも好成績を収めた。我々が知るべきことは彼は良いコーチであると言う事が実証されただけで、今や彼はまだ足を踏み込んだ事の無い場所にいると言う事だ。 2007年の Asian Cup で韓国代表監督に就任するまでは Assistant Coach の肩書が主であった。そして2002年大会で Guus Hiddink と共に成し遂げた偉業が最高のキャリアーであった。しかし監督として指揮を執った Asian Cup では勝利は予選リーグのインドネシア戦 ( 1-0 ) にみでバーレーンには 0-1 で敗れ、決勝トーナメントは3試合とも得点を挙げられなかった。 0-0 イラン ( PK 勝 ) 0-0 イラク ( PK 負け ), 0-0 日本 ( PK 勝 ) . 規律重視を常にマスコミに語って来たのだが FW 李東国、 GK 李雲在 らがバーレーン戦の前夜に抜け出して KARAOKE に行った事を知ったあとでも彼らを使い続けた。 Verbeek が予選期間中に起こり得るトラブルにどの様に対処するかが興味がある。これまで Verbeek は求められた事にはよく対応しており3次予選も1ゲームを残して次のステージへの進出を決めた。しかし次のハードルはもっと高く Verbeek はチームをワールドカップに導きながら学んでいくだろう。
Verbeek 監督がワールドカップ予選に臨むのは初めて。対する岡田監督はフランス大会予選中に監督に“ 昇格 ”をし予選落ちの危機にあったチームを見事に蘇らせた。今度はどうだろう??? 岡田降ろしの声が小さくなかった時期もあったが監督の経験としては岡田監督の方が一枚上手ではないかと思う。
ただ選手層の厚さをみるとオーストラリアの方が “ レギュラー候補 ”が揃っているのではないか?? この国も韓国同様前任者のGuus Hiddink 氏を懐かしく思いにふけっているのかもしれない……
Step 4 からは次回に続く
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