Mr.コンティのRising JAPAN

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New Zealand All Whites ここにあり 

2010-08-15 | 夏季五輪

ロスタイム4分は過ぎていた。いつ終了のホイッスルが鳴ってもいいはずだった。
そしてついにグアテマラ人の Carlos Batres 主審の長いホイッスルが吹かれた。
その瞬間私はテレビに向かって思わずこう言った。

ざまぁ見ろ、 本当にざまぁ見ろだ。

イタリア選手に対してでは当然ない。スポーツを実際やった事がある人は、例え五輪に出場した事がある人でも高校までしか出来なかった人でも対戦相手に敬意を払う事は、例え世界選手権でも地区大会の初戦でも現役中でも引退してからでもそれが一番大切な事と理解しているはずだ。
イタリアサポーター達にでもない。対戦相手のサポーターや応援団も対戦相手同様と私は考えている。 

イタリア代表の事なら恐らくイタリア人を除くと世界で最も詳しく述べる事が出来るであろう日本の“スポーツジャーナリスト”と名がついて彼らの書いた行で金銭を受領する輩達に対してだ。
New Zealand All Whites に就いてはどうだろう?昨年11月バーレーンとの大陸間プレーオフを現場で観戦したジャーナリストはいたのだろうか? Wellington でその瞬間を見た私はそれらしき人は確認出来なかった。もしいたとしても All Whites の事を詳しく知る“専門家”は皆無に近い事は容易に想像できる。
本大会に入る前もオセアニアから唯一やって来たこの“島国”の事を正確に述べられる“ジャーナリスト”は皆無だった。

イタリア、パラグアイ、スロヴァキアそしてニュージーランドが並ぶGroup F は本命イタリア、対抗がパラグアイ、ニュージーランドは番外、これが一般的な予想だ。 
ニュージーランド国民でさえ1勝点、1得点が上げられるかどうかが関の山だったと思われていただろう。
私は日本人だがそうは思わなかった。初戦は対戦相手で最も力の劣るスロヴァキア戦。本大会の緊張がほぐれないうちにイタリアや南米の強豪パラグアイを相手にするよりはここで勝点を挙げれば…と思った。しかし反対にスロヴァキアとて決勝トーナメントに進む為には初戦のニュージーランド戦は絶対に勝ちたい相手。ここで“取りこぼす”事は出来ない、やっぱり3連敗の可能性も低くはないなぁ…とも思った。(どっちや?)
しかしこんな結果になるとは、大会前だれも予想なんて、いや想像なんて出来ない事だった。(当たり前か?)

おそらくイタリア人サポーター達は第二戦の相手ニュージーランド戦は当然勝つ、負けるわけがない、問題は何得点を奪えるか?そう期待していただろう。 日本の“イタリア通”もそうだったに違いない。初戦のスロヴァキア戦、九分九厘負けていた試合を Winston Reid の起死回生のヘッドで悲願の1勝点、1得点を挙げた All Whites はもう何も失うものは無い、このイタリア戦は大量失点さえ喫しなければ….とおもった。

The day New Zealand finally fell in love with that round-ball game
Guardian

ブブゼラ?いやイタリア人にとってはこれで充分だ。 Nuova Zealand ,この発音はこの試合の翌朝イタリア人達にとっては充分に醜く響いただろう。 
試合は引分けに終わっただろう。しかしニュージーランドにとっては偉大な勝利だった。ラグビーとクリケットが世界に誇れる小さな島国のスポーツ史上1987年のラグビーワールドカップで優勝した時以来の快挙である。スロヴァキア戦では試合終了間際に同点に追いつ頭を上げる事が出来た。 例え憎きオースオトラリアと言えども 0-4 で大敗したのに Sydney Morning Herald 紙は Australia 1 Slovakia 1 の見出しが躍る謙虚さを見せた。
しかしイタリア人にとってはそれは被害を最小限に抑える為の対策でしかなかった。 確かにロンドン東部のパブでイタリア人達は 3-0, 4-0 そして 5-0 を予測していた。 ニュージーランド人達はとにかく 0-3 までなら良い事だと言った。 1823年 William Webb Ellis 少年はサッカーボールを拾い上げ走り出した。 ニュージーランドのラグ
ビーファンの今の心配はニュージーランド選手がボールを置いて走りだしたりしないかだ。


両チームとも初戦と同じスタメン。All Whites は最終予選のバーレーン戦から3バックを敷いていた。CBには重鎮 Premiership Blackburn Rovers の Ryan Nelsen そして左SBはプレーオフ前に代表復帰のベテラン Ivan Vicelich 。そして右SB は Wellington Phoenix の Ben Sigmund ではなく長身187cmの Tommy Smith ボランチには 190cm のWinston Reid と36歳ベテランの Simon Elliot を起用。Reid がパラグアイ戦でゴールを挙げ、この試合の Elliot の深い読みの守備をみれば Herbert 監督の抜擢がよく理解できる。 
2列目と云うよりも今大会守備的MFの役割時間が長かったのは右の Leo Bertos と左の Tony Lochhead 。そしてFWは A-League Gold Coast United の得点王 185cm のShane Smletz が1トップ。右に 188cm Ray Fallon , 左に 183cm Chirs Killen と長身が並ぶ。 
砦を文字通り守り続けたのは Wellington Phoenix の Mark Paston 。ワールドカップ予選途中までと FIFA Confederations Cup でレギュラーだった Melbourne Victory の Glen Moss はまだワールドカップ予選のフィジー戦で退場処分をくらいこの試合まで出場停止中だった。

イタリア国歌に続いてニュージーランド国歌が。世界的に知られており“一般”サポーターを取り込んでいるにアズーリ対する All Whites のサポーター達もスロヴァキア戦の引分けでようやくワールドカップでの“市民権”を手に入れられたか? だが列強相手に大敗して競技場を後にだけはしたくなかっただろうなぁ….
しかし試合は思わぬ、そして第三者にも最高の立ち上がりを見せる。5分45秒、 Paston からのGKを Tommy Smith と競った Zambrotta がファールに取られ All Whites にFKが与えられる。直接狙うには距離があるが、ゴール前には Nelsen , Reid ら長身選手が入る。そして Elliot がゴール前に上げたボールは Cannavaro に当たりこぼれたところを Smelz が押し込み見事に All Whites が先制ゴールを挙げた。




Cannavaro が前の選手のブラインドになりボールが出てくるところを見失いコントロール出来なかったのだろうが、彼の前で飛びあがったのは Zambrotta , しかしその後ろにいた Reid が Zambrotta の背中を押していいた。 その分 Cannavaro はボールが入って来るコースが見えなかったのだろう。 



先制を許してからのイタリアは目を醒まされた様に一気に攻勢にでる。
18分11秒 CK から Chiellini が惜しいシュートを放ち、21分34秒Montolivo からボールを受けた Zambrotta がLcohhead, Elliot, Smith に囲まれながらシュートを放つ。 Pepe が右サイドに開いたのを Lochhead が気に取られマークが甘くなった瞬間だった。26分10秒に Montolivo が De Rossi の縦パスを受けて放ったミドルがポストの内側を叩くがゴールネットには至らない。ここも Lochhead の位置が中途半端だった。 
そして27分21秒、 Chiellini の左からのクロスがゴール前に上がる。そこに走り込んだ De Rossi が倒れる。Batres 主審がすかさずペナルティースポットを指してイエローカードを出す。出された相手は Tommy Smith 。リプレーを見ると、確かに De Rossi に振り切られた Smith はユニフォームを掴んだが、ボールが足元に来た時は既に“振り切った”後。 足元にボールが入る瞬間に前に倒れ込んだ。 まさに技ありのプレー。しかしこれがイタリアがこの試合最もイタリアらしさを見せた瞬間だった。



ここで得たPKをIaquinta が決めてイタリアがようやく同点に追い付いた。
GK Paston, プレーオフでは見事PKをストップしたんだけど、やはりワールドカップはレベルが違うか…

試合を振り出しに戻した後もイタリアの猛攻は続く。 34分35秒 Montolovo のパスから De Rossi がシュート。両サイド、特にAll Whites の左サイドを Pepe, Zambrotta が徹底的に狙ってくる。37分にもこのサイドが崩されたが最後は Elliot がクリアー。40分には Iaquinta のスルーパスが Gilardino に入りシュートに持ち込むがGK Paston がキャッチ。
終了直前にもスローインを受けた Pepe が De Rossi のミドルを演出するが Paston がCKに逃れる。そのCKがネアー入るが今度は Nelsen がブロック。 こうして何とか同点のまま前半が終わったが、おそらくイタリア、ニュージーランド両国サポーター達はイタリアが逆転するのも時間の問題と思った事だろう。    後半に続く 



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