ロンドン五輪が約1カ月後に始まる。五輪開幕が近付くにつれてなでしこ達に金メダルの期待がかかる。初戦は開会式の2日前だけど。 これまで球技で金メダルを期待するなんて70年代の女子バレーが定番だった。90年代に入り野球が期待されたけど金メダルは獲れなかった。 それから女子のソフトボール。素晴らしい活躍で金メダルを勝ち取ってくれた。 そして欧州勢の圧力により種目から外されてしまった。こういう種目こそ日本から世界に情報を発信して欲しいんだけどなぁ…
昨年のなでしこが女王に戴冠してから一斉に彼女達にスポットが当たり女子サッカーを取り巻く環境が劇的に改善されている。
それでもまだ多くのサッカー少女達が中学に進学後に競技を続ける機会を見つける為に“並大抵以上の努力”を払い続けている。
中学に入ってバスケットやバレーボールを続けるのにそんなに労力必要とするか?むしろ中学から始めるンとちゅうんか?
女子サッカーだけ、いやそういう種目も他にあると思うけど、どうも競技によって待遇にばらつきがあり過ぎると思う。
例えば俺が中学の時は練習試合でも勝った事無い野球部の連中が随分人気あった。俺は水泳部で市の大会でも上位だったぞ…
なのにあまりもてなかった。 ( 全く関係ないか?)
私が高校の時、近くに西山高校と云う女子高があった。今でも稀だけど、70年代の当時サッカー部があってテレビ局が取材に来ていた。何度かそのテレビ番組を見たこともある。 全国大会の常連だったらしい。通学沿線は同じだったけど残念ながらそこのサッカー少女とのロマンスは皆目可能性もなかった。( 当たり前か?)
今年、我が郷土の高槻FCが復帰したなでしこリーグの前半の大一番。日テレべレーザ対 INAC神戸の試合が東京国立競技場で行われた。この試合は今シーズンのスケジュールが発表れた時から楽しみにしていた。 これを楽しみと云わずして何を楽しみとするのだろう?愛する京都サンガとFC高槻の試合以外…
なでしこリーグ関係者の試合後の話では、この試合を“ Lクラシコ”と銘打つ等してはどうしても国立競技場で行いたかったらしい。
それはメキシコ五輪後3万人を集めた三菱対ヤンマーを再現したかったと思う。 欲を言えば公式発表では 16,663 人だった観客数は2万人台に乗せたかったか?それでも世界中で女子の試合でこれだけ集められる試合なんてあるだろうか? これまで何十年に亘っての関係者の努力の積み重ねだ。更なる観客数の向上を願う。
メンバーが超豪華だ。昨年のワールドカップ優勝メンバーが澤穂希をはじめGK海堀、DF近賀、田中、MF大野、川澄(以上 INAC 神戸 ) べレーザの方にもDF岩清水、MF阪口そしてFWマラドーナ岩渕と9人もピッチに出て来る。 ロンドン五輪に向けたメンバー候補35人中13人が両チームにおりスウェーデン招待遠征メンバーにも9人が含まれている。
世界女王(王者)のメンバーがこれだけ揃うクラブレベルでの試合なんて世界中の女子はおろか男子でさえこう言うカードはBarcelona対 Real Madrid 以外あるだろうか?
ここまで首位を行く INAC 神戸は7勝1分、2位を行く日テレべレーザは6勝2分。なでしこが戴冠後はなでしこメンバーを多く擁する INAC 神戸にばかり世間一般の注目が集中するが澤穂希を始め近賀、南山、大野らもべレーザ出身。女子サッカーを支え続けたのはべレーザと云う自負はあるだろう。
GK 1海堀あゆみ170/64
2 近賀ゆかり 5甲斐潤子 4 田中明日菜 3 高良亮子
161/53 162/54 164/52 158/51
8 澤穂希
165/54
7池笑元 11 高瀬愛美
161/50 164/60
10 大野忍 9 川澄奈穂美
154/50 157/49
21ゴーベルヤネズ 173/64
9 永里亜紗乃 13岩渕真奈
165/58 155/52
11木龍七瀬 10伊藤香菜子
161/51 160/51
7原菜摘子 20阪口夢穂
155/44 165/58
4 須藤安紀子 23土光真代 22岩清水祥子 6 有吉佐織
165/60 161/49 162/53 159/52
GK 1 松林美久 168/55
べレーザのキックオフで始まった試合。見所は澤を中心としたコンビネーションの神戸にマラドーナ岩渕がどれだけ対抗出来るか?
開始早々に澤の縦パスのアーリークロスを近賀がヘッドで折り返し173cmのコーベルと岩清水が競り合う。さすがにこの試合、先発予想の南山千明に替って起用されたアメリカからの助っ人選手コーベル・ヤネズは前半はその長身で存在感をみせていた。ただ時間が経つにつれ岩清水を中心としたべレーザDF陣もしっかり対応。なでしこリーグのレベルの高さを見た様な気がした。
13分25秒にはチ・ソヨンから大野にパスが入りシュートレンジに持ち込むが土光、岩清水がマークに入りCKに。その後にも近賀から高瀬に繋いでコーベルがシュート体勢に入る。 それまでの繋ぎは見事だった。
予想のフォーメーションでは大野がワントップで2列目左に高瀬、右に川澄がはいると思われていたがこの日は大野、川澄が両サイドに。高瀬はボランに入った。そのぶんロンドン五輪でなでしこのオプションが増えるか?
立ち上がり劣勢だったべレーザだったが25分を過ぎると徐々にペースを掴む。その中心となったのはマラドーナ岩渕のドリブル。
26分51秒、伊藤からボールを受けた岩渕がフリーでドリブルシュートを放つが甲斐がブロック。29分4秒には原からボールを受けた永里がゴール正面に出したパスに岩渕が再びフリーでドリブルシュートに持ち込むがGK海堀がナイスセーブ。 33分43秒には永里のスルーパスを受けた木龍が近賀のマークを受けながら放ったショットはGK海堀の正面に。
その直後にも左サイドを須藤と木龍で崩し岩渕のシュートを導く。 30分過ぎから木龍、須藤、原の3選手で随分左サイドを突破してくると思ったら木龍は代表候補に上がった選手だった。
7分30秒、岩渕は何と澤に激しく反則気味にタックルを入れる。このプレーには澤は主審にファールをアピール。岩渕は何事も無かった様にボールを追う。このプレーを見た時これで岩渕はロンドン五輪メンバーに近づいたか…と思ったけど。
みどころ多かった前半はスコアレスのまま終わった。しかし岩渕は最後のプレーで脚を痛めてしまったらしく後半からはベンチに下がり田中美南と替ってベンチに下がってしまった。 後でテレビで見たけど本人はかなり悔しかったらしく野田監督に随分慰められていた。
岩渕、そして京川舞。彼女達に“まだこの次があるよ。”と声を掛けるのは今は酷だろう。誰が云うか解らんけど。
前半終盤に掴んだペースをそのままで後半に臨みたかったべレーザだったけど岩渕が下がってしまったせいか、前線への推進力が弱まった見たいだった。 そして攻守に渡って澤の動きが更に鋭くなって来た。彼女の動きを見ているだけで入場料金の下は取れた様な気がした。しかしS席にすればなでしこの上田監督や釜本邦茂氏のサインを貰えたかもしれないなぁ…..
そして59分先制点が神戸に。大野からボールを受けた川澄がドリブルでべレーザゴールに迫り最後は右SBの有吉が倒してしまい千葉主審はペナルティースポットを指す。 これで得たPKを川澄自ら左側に決めた。
大野から川澄へのパス。男子で言えばシャビからイニエスタへのパスに匹敵するか?
PKを献上するファールを冒してしまった有吉だがスウェーデン遠征に参加しスウェーデン戦ではスタメン出場を果たした。
先制を許した“ホーム"のべレーザであるがここから反撃にでる。66分には神戸の波状攻撃を凌ぎ一気にカウンター攻撃に出る。
69分にも中盤からバイタルエリアにボールを繋いで最後は伊藤からボールを受けた田中美南がシュートに持ち込むが海堀がストップ。 その直後のCKから坂口がヘッドを放つが惜しくも外れる。
やや押し込まれ始めた神戸は74分に高瀬を下げてアメリカ人選手 Rebecca Ann Moros ことべッキーを投入し前線をコーベルと2トップにし前線からプレスを掛ける。これで澤が少し前に出て来た。
するとべレーザベンチは77分に永里を下げてMF小林弥生を入れて中盤を厚くし田中美南の1トップにすると、神戸ベンチも池笑元を下げて南山千明を入れ、澤とボランチを組む。 こうしてべレーザは中盤でボールがなかなか回らなくなって来た。 逆に78分にはコーベル、べッキーの助っ人コンビのパス交換かでシュートを放たれるがGK松林が右に倒れてキャッチ。 終盤には阪口を前線に上げる等べレーザも攻撃の枚数を増やす等その後は両者チャンスを掴むがゴールを奪えず神戸が1-0 のまま逃げ切った。
試合終了と同時に拍手が沸き上がる。 そして試合後は五輪に期待がかかる澤が神戸サポーターの前に来ると更なる歓声が。 観客動員数は昨年の記録 17,812 人を上回れなかったが五輪で好結果を出して更なる興隆が見られる事を祈る。 そして高槻の残留も…