Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

難敵ヨルダン戦 初勝利を目指して

2012-06-07 | 夏季五輪

2004年7月31日、重慶オリンピックセンターで行われた Asian Cup 準々決勝戦。試合は延長戦でも決着がつかずPK戦に。 
日本は一人目の中村俊輔、二人目の三都主が大きくはずしてしまう一方、ヨルダンの Abdullah Abu Zama はしっかりと決める。
公式発表 52,000人の観衆うち9割はヨルダンの応援だ。あっという間に劣勢に絶たされた日本の状況を大喜びしている。 
テレビを見ていた私はこのままヨルダンに敗れるというよりも観衆の嘲笑が続くことを考えると気が狂いそうになった。

ここで宮本がマレーシア人の Subkhiddin Mohd Salleh 主審になにやらアピールをする。 
最初は高圧的というよりも主審にとって必要範囲内の威厳的な態度だったSalleh 主審は宮本の話に耳を傾けそして恐らく Match Commissioner のところに駆け寄りしばらくして副審達のところに戻りそして選手団の方を向いてホイッスルを鳴らし反対側のゴールを指差した。ぬかるんだペナルティースポット周辺がぬかるんでいるこちらのゴールはPK戦に適さない。反対側のゴールを使いましょと言う日本側の要求が受け入れられた。
大歓声の中選手、審判団そして報道陣は反対側のゴールに移動する。そして三都主がPKを蹴ろうとボールをセットするが Salleh 主審は彼に近づき“もう君の番は終わったんだよ。”と説明をしている様に見えた。そして彼の口の動きから “ I am referee “ と言っている様に見えた。 
公平を規す為にも三都主から蹴りなおすのが筋だと思われたが、次のキッカーはヨルダンの Rateb Al Awadat だった。
そして Al Awadat はPKを決めヨルダンが圧倒的優位に立った。PKを失敗した俊輔と三都主は左利き。残りの日本代表選手を考えればゴールを変える必要は無かったかなぁ、ヨルダン選手は何人左利きがいるかなぁ、と思った。

後がない日本は3人目の福西が決め、ヨルダンは3人目の Hatem Agel も決める。もうヨルダンは勝ちを意識し始めたポーズをとる、それに呼応する競技場の地元重慶の観客達。 
日本4人目の中田浩二が決めたがヨルダン4人目の Haitham Al Shboul が決めたら日本の Asian Cup は終わってしまう。 しかし川口が左手一本、必死のセーブで何とか持ちこたえる。
日本5人目の鈴木が決めるがヨルダン5人目の Faisal Ibrahim が決めれば日本の負けが決まってしまう。 しかし Faisal Ibrahim のショットはポストの右に外れてこれで両チーム5人ずつ終わって二人ずつの失敗となり、サドンデスに突入する。 生き返ったはずの日本であったが6人目中澤のショットは GK Amer Shafia がストップ。再び活気ずくスタジアムの中国人観衆。 

あぁせっかく追いついたのに….私は絶句してしまった。 

だけどここでまたもや川口が日本を救う。 Anas Al- Zboun のショットを左に飛んで弾き出す。
この川口のスーパーセーブ連発に私は大声を張り上げた。 日本6人目の宮本が冷静に左下隅に決め、初めて日本がこのPK戦でリードをする。 そしてそのプレッシャーに負けたのがヨルダン6人目 Bashar Bani Yaseen が左脚で蹴った弾道は左ポストを直撃し激戦に終止符が打たれた。 
日本代表が勝ったというよりも観客席の中国人達の口を塞いだという事が嬉しかった。あの大観衆に勝ったのだ。
喜ばせておいて最後は失望させるという最高の勝利、結末だった。

ざまぁみろ !!!!

何度もテレビのブラウン管に向かって叫んだ。そして嫁ハンに怒られた…

時折映し出されるヨルダン代表チームのレプリカを着て現地で観戦する Abdullah 国王の姿が印象的だった。 
後に知ったけど年齢が私と変わらないことにもショックを受けてしまった…

  

ヨルダンとは7年後の Asian Cup でも対戦し大苦戦の末に終了直前吉田のヘッドで何とか引き分けた。
この Asian Cup もヨルダンは日本と引き分けた後サウジアラビアを 1-0 で、シリアを 2-1でそれぞれ中東のライバル国を連破し準々決勝に進出。 ウズベキスタンに 1-2 で破れた。 DFの中心選手 Basem Fathi Omar Othman が累積警告で出場できなかったのが痛かった。 
2004年大会のヨルダンは日本と対戦する前の1次リーグでは初戦の韓国戦で 0-0 と引き分け続くクウェートを 2-0 で破り最後は UAE と0-0で引き分け準々決勝進出を決めた。日本が苦戦したのも今更ながらに理解できた。



今回のワールドカップ予選。ヨルダンは3次予選でイラク、シンガポール、中国と同組となった。
この組み合わせは幸運だったと思う。4カ国とも前回のワールドカップ予選は最終予選まで残れなかった。
3次予選で日本が入ったグループは前回のワールドカップ出場国であった北朝鮮、アジア地区最終予選まで進出したウズベキスタンという列強が入った。

ヨルダンは初戦でイラクとのアウェー戦で 2-0 の勝利を収めそこで勢いが付き中国をホームに向かえ 2-1 で破り、第3節はアウェーとはいえ格下のシンガポール戦であった。ここでシンガポールを 3-0 で一蹴するがこの試合で警告を受けた DF Basem Fathi Omar Othman, FW Odai Yousef Ismail Alsaify が次の試合で出場停止となったが対戦相手がシンガポールでしかもホームゲーム。 Ahmer Deeb Omhammad Khalil, Ahmad Hayel Ibrahim Ibrahin のゴールで 2-0の快勝を収め4戦4連勝で残り2試合を残して最終予選進出を決めた。 

3次予選の中心メンバーは昨年1月の Asian Cup メンバーが中心。というよりもほぼ固定メンバー。
Asian Cup 2011で日本戦以外の3試合にスタメンフル出場を果たした Moh’d Monir、4試合すべてスタメンフル出場だった DF Sulim Al Salman にかわって Anas Bani Yaseen 、 MF Khalil Baniateyah が起用される様になった。
更に最も警戒すべき Ahmad Hayel Ibrahim も Asian Cup ではメンバー入りしていなかったがワールドカップ予選後にレギュラーとなったストライカー。 3次予選ではシンガポール戦の連戦で共にゴールを決めており、最終予選前には所属先の Al Faisaly で4試合連続ゴールを決めたばかりか前のイラク戦でも同点ゴールを決めている。 
ただしこれは Baha’a Abdulrahman のロングシュートを イラクGK Mohammad Gassid が弾いたのを押し込んだものだった。 

Asian Cup 2011 で1次リーグ3試合スタメンだった Odai Al Saify は1次リーグ最後のシリア戦で負傷したのか終了直前にベンチに下がり次のウズベキスタン戦には出場しなかった。 そして3次予選でもスタメン出場は第3節のシンガポール戦だけだった。 
しかし、6月3日のイラク戦ではスタメン出場だった。その Al Saify に替って3次予選でレギュラー出場する機会が得たのが Ahmad Hayel Ibrahim だった。 
日本戦ではイラク戦の様に両者が出場するだろう。 23歳のDF Anas Bani Yassen は昨年末の Pan Arab Games 準優勝メンバー。 そして Khalil Baniateyah も21歳で Pan Arab Games のメンバー。 

GK Amer Shafi’ DF Bashar Bani Yaseen , MF Amer Deeb らは 2004年大会重慶で対戦した時のメンバー。 
Asian Cup 2011, 3次予選では控えに回ることが多いが DF Hatem Aqel も重慶での日本戦に出場した選手だ。
日本戦のスタメンはイラク戦と同じメンバー、下記のフォーメーションだと思う。

                                   Ahmad Hayel Ibrahim
                                                   ( Al Faisaly ) 

     Hawza Al Daradreh                     Odai Al Saify                         Amer Deeb
                                              ( Al Salmiyah UAE )                    ( Al Faisaly )

       Baha's Abdelrahman                  Khalil Baniateyah
          ( Al Faisaly )                       ( Al Faisaly )

   Basem Fathi   Bashar Bani Yassem   Anas Bani Yaseen    Shadi Abu Hashhash
   ( Al Wihdat )      ( Al Wihdat )        ( Najam KSA )       ( Al Fateh )

                           GK Amer Shafi
                            ( Al Wihdat )

2列目左にはイラク戦後半から Hawza Al Daradreh に替って起用されたAbdllah Khaled Deeb Salim が日本戦のスタメンに起用されるかもしれない。  Asian Cup 2011 で日本戦では得点を決めた Hassan Abdel-Fattah Hassan Mahmoud は3次予選でもスタメンで起用され続けたが最終節の中国戦とイラク戦ではベンチ入りしていない。 怪我でもしたのかな?

Deeb Salim はFIFA U-20 2007 のザンビア戦、スペイン戦でゴールを決めた経歴を持つ選手。 
後にベルギーの KV Mechelen でプレーしヨルダン史上初めて UEFA Cup でプレーした選手。
今は地元ヨルダンの Al Faisaly でプレーする。
どこの国にもサッカーはある。サッカーの歴史がると思わされた。色々調べると勉強になる。

それからイラク人監督のAdnan Hamad Majid Al-Abbassi 監督。アテネ五輪でイラクチームを Semi Finalist に導いた名将。私の好きな監督だ。 
何故かイラク代表監督時代は西アジア選手権でチームを3位に導きながらAsian Cup 2000 の直前に監督を降板させられたり、ワールドカップ2002大会予選時にはバーレーン、サウジアラビアに連敗するとまた解任させられたり。ワールドカップ終了後にシリアで開催された西アジア選手権では延長に入りヨルダン戦で“ドラマチックな勝利”を納めた。 その試合が縁で今はヨルダンの指揮をしているのか?

歴史は学んでこそ生きる。 中近東の歴史書にも目を通さねばならないか??
ヨルダンが産油国ではない事はとっくに知っていたけど。

頑張れニッポン!!