Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

幸福な1週間だった…… 日本白星発進

2010-06-20 | 夏季五輪

 6月15日今週月曜日。久々にすがすがしい朝を迎えられた。

前夜の心臓が締め付けられるような終了5分間を凌いで、安らかな眠りに就きそして目覚めを迎える… こんな幸福感を迎えたのはいつ以来だろう…

試合翌日6月15日のマスコミの反応も面白い。あれだけ本田のワントップを批判しておきながら、あれだけ岡田監督の“監督としての”資質を批判しておきながら。 
本田自身も北京五輪男子サッカー3連敗のスケープゴードにされ言われなき批判を浴びせられた。それが今では海外で開催されたワールドカップ 初勝利を齎した英雄として連日彼の賛辞を聞かぬ日はない。カメルーン戦の前まではマスコミの中には岡田監督や本田をはじめとした代表選手達の“人間性”にまで批判の声や筆を惜しまぬ輩もいたなぁ…今彼らはどんな評価を電波等のメディアに送っているのだろう……

8年ぶりのワールドカップ 白星となった6月14日のカメルーン戦のおかげで今週は心地よい1週間を過ごせた。そして日本のワールドカップ は少なくとも1次リーグの日程が終了する6月24日のデンマーク戦まで興味が保てる事となった。 本当にメンバー、監督そしてこの試合を支えた人たちに敬意を表したい… 何度も言わせて貰う。 70年代からワールドカップ を見続けてきた自分は日本がワールドカップ の舞台に立ちそこで勝利を挙げる“夢”を何十年見てきたことだろうか……

世界はこのカメルーン戦をどのように伝えたのだろう….

2010 Honda earns Japan their first World Cup victory on foreign soil
Times Online

カメルーンこそ最初にワールドカップ を掲げる最初のアフリカの代表と思われていたが昨日、このアフリカの代表国がインパクトを与える事が出来ないのではないかという恐怖はほとんど拭い去ることは出来ないかもしれない。
カメルーンは決勝トーナメントに進出するものと大方予想されたしかしこの敗戦は彼らに大きな難問を残した。最大の再考は彼らがデンマークとオランダを破らねばならないという必要性があるかもしれないという事だ。今シーズン Arsenal で大いに活躍したMF Alexsandre Song は驚いた事に先発メンバーから外され、エースである Samuel Eto’o は右サイドに配置され存在価値を見せるのに苦労していた。
しかしより警鐘を鳴らしたシーンは前半本田圭祐にこの試合唯一の失点を許したドタバタのシーンであった。 
後半に入って彼らの緊張感の急増はただ運動量の欠如を際立たせただけであった。

Paul Le Guen カメルーン代表監督 は試合開始からの出来に心配を抱いていた。
“我々のふるまいは間違っていた。特に前半は緊張し神経質になっていた。我々が本来のレベルに達する事が出来ずにボールを失い続けてしまった。”
そのフランス人監督は決勝トーナメント進出の為にはデンマークを破らねばならないことを認めているがまずディフェンス陣が集中を取り戻す事に集中する必要があるだろう。

松井大輔が右サイドからクロスを入れた時にカメルーン CBの Nicolas N’koulou が中に入ってしまった事から本田にファーサイドでボールを受けてゴールに突き刺すのに充分な時間を与えてしまった。
今大会これまでの中で最もつまらない試合であったが日本は7回目の挑戦で異国の地でワールドカップ初勝利を手に入れる為にはエンターテインメントレベルに就いては何も按じていないだろう。
先月韓国戦で敗れ進退伺を申し出た岡田武史監督の憂鬱は続いていたがこの勝利の後落ち着きを取り戻そうとしていた。
“これは海外の地でのワールドカップ初勝利だがまだ我々は何も達成していない。” CSKA Moscow の本田は岡田に信任投票を与えた。
“最近の我々のチームは良い結果を得られず正直チームのムードはベストでは無かったがコーチを中心に今日は最高の結果を手に入れる事が出来た。”と語った。

カメルーンの終盤の空中戦の多くは日本のCB中澤祐二に跳ね返され、Stephane Mbia の30ヤードからのショットはクロスバーを叩いた。しかしアフリカ代表はまたも敗れた。

日本戦のカメルーン代表のスタメンは異様だった。
GK はワールドカップ予選12試合全て起用されたEspanyol のIdris Kameni ではなく36歳ベテラン、トルコリーグ Kayserispor 所属のHamidou Souleymanou。今年の African Nations Cup で精彩を欠いた Kameni ではなく3月のイタリア戦でアズーリを無失点に抑えた Hamidou を Le Guen 監督は起用。 
DF陣は 右に Assou-Ekotto ( Tottenham ) が置かれたが Geremi ( Ankaragucu: Turkey ) Rigobert Song ( Trabzonspor : Turkey ) ら予選のレギュラー陣はベンチに置かれCB に Nikolas N’koula ( AS Monaco ) がSebastine Bassong ( Tottenham ) 共に起用され左サイドに Modest Mbami ( Almeria : Spain ) がスタメン起用された。 Bassong は所属先の Tottenham での出場実績からの起用だと思うが予選は1試合27分しかプレーしていない選手。Mbami は1次予選こそよく起用されたが最終予選は初戦の Togo 戦で59分だけプレーをした選手だった。

MFではアンカーに置かれた Joel Epalle ( Bochum : Deutscheland ) は1次予選のタンザニア戦で45分だけ起用された選手。ボランチ Jean Makoun ( Lyon ) は完全なレギュラー選手だがもう1人のボランチ Eyong Enoh ( Ajax ) は予選で3試合111分だけプレーした。2列目の右にエース Eto’o そして左にWebo が置かれたが1トップには ドイツ U-19,21 に選ばれたNurnberg の Maxim Choupo Moting が起用された。Coupo Moting はワールドカップ予選には出場しておらず、6月1日のポルトガル戦が代表デビュー。代表で中心選手だった Achille Emana ( Real Betis ) そして Alexsandre Song ( Arsenal ) はスタメンから外れた。
アフリカ代表チームはワールドカップ前によく内紛が勃発する。 選手のコンディションや所属先での出場機会もあるがこれだけレギュラー陣がスタメンを外れるのはやっぱり理由があったと想像するに容易だった。

Honda puts Japanese in control
June 15, 2010 - 4:19AM Japan 1 Cameroon 0  Sydney Morning Herald

日本は Bloemfontein でKeisuke Honda のゴールによって輝きに欠けたカメルーンを 1-0 で破り異国の地でのワールドカップ初勝利を記録した。 それは日曜日に24歳になった本田の遅まきながらの誕生日プレゼントになった。 
Blue Samurai は大会前になかなか得点を挙げられなかったが39分に先制し後半アフリカ代表のカメルーンに押しこまれる時間が増え続けたが、何とか耐え凌いだ。
松井大輔が素晴らしいクロスを右サイドから左足で上げるまで、どちらも決定機に欠けたまとまりのない前半には均衡を破れる気配が無かった。 
そのクロスは何人ものカメルーンディフェンスを通りこしノーマークの本田に渡り Hamidou Souleymanou を破ったシュートは日本にリードをもたらした。
後半開始4分後カメルーンは同点の絶好機を迎えた。 Inter Milan のスター Samuel Eto’o の右サイドの崩しから Eric Choupo Moting が放ったシュートは外に外れた。 これが3度 Africa 年間最優秀選手賞と受賞した 、この試合右サイドでの働きに苦心していたEto’o が最初に貢献したシーンだった。
カメルーンが同点にすべくプレッシャーを続ける中、Achille Emana, Mohamadou Idrissou そしてベテラン Geremi らが投入されたが日本DF陣を破る術は見つけられなかった。日本は試合時間が無くなる中追加点の絶好機を迎えた。 長谷部誠の強烈なショットが Souleymanou に弾かれたあとにフォローをした松井に替って交替出場した岡崎慎司が放ったシュートはポストを叩いた。 
終了5分前、 Stephane Mbia が25ヤードの位置から放ったミドルはクロスバーを叩いた。 Piere Webo が時間が刻一刻と過ぎる中、日本ゴールに迫るが川島がファインセーブを見せた。涼しいコンディションで高地の Free State Stadium の観衆達は空席が目立ったが快活に良いリズムを醸際出したが両チームともリズムに乗れなかった。日本の得点はカメルーンがGK川島の正面を突いたこの試合最初となる枠内シュートを Eyong Enoh が放った直後に生まれた。 

Keisuke Honda drives Japan to victory over Cameroon
Guardian 14th June

Keisuke Honda のゴールが日本を生気を感じさせないカメルーンを相手に 1-0 の勝利をもたらした。 この勝利は日本が海外で開催されたワールドカップで初めての勝利だった。そしてデンマークを 2-0 で破ったオランダと共に首位に立った。 
Free State Stadium で開始された、まとまりのない前半は39分に松井大輔のカーブの掛かったクロスがカメルーンDF  Nicolas Nkoulou と Stéphane Mbia を通り越し逆サイドの本田に渡った。そのストライカーはボールを上手くコントロールし放ったシュートはGK Hamidou Douleymanou を破った。
“チームとしてこの試合に向けて行われた準備試合では幸運に恵まれなかったがチーム全体が頭を垂れてはいけない前向きに、目標に向かってと考えていた。”




Samuel Eto’o に率いられた攻撃陣は殆どGK川島英嗣に脅威を与えられなかった。アフリカ人選手達はボールコントロールに苦しみパスを数本繋ぐのに苦しみまずいクロスしか上げられず前線でリズムを作れなかった。
“試合が終わった瞬間は何とも言えない安堵を感じた。カメルーンはパワフルな選手達がおり彼らに対応するのに終始した。 最後の20分間は何かが起こるのではないかと大変なプレッシャーに見舞われた。”
カメルーンの最初の枠内シュートは37分 Eric Choupo Moting が落としたところを Eyong Enoh が放ったものだがこの低い弾道のシュートは川島が簡単にさばいた。 日本のしつこい守備はカメルーンにフラストレーションを与え、 Eto’o にはチェックを辞めなかった。 カメルーンは中盤を制され Paul Le Guen 監督がベンチに置き続けた Alex Song が創るであろう創造性の欠如が目立った。
Le Guen は Achille Emana と Mohamadou Idrissou の2人のストライカーを投入したが効果は無く終了前の87分 Mbia’s の放ったパワフルなショットはクロスバーを叩いた。

Honda drives Japan past stalling Cameroon Japan 1 Cameroon 0 By Tom Fant Tuesday, 15 June 2010  Independent

このワールドカップはあまりサプライズは見られなかったが恐らく今日現在最大のサプライズと考えられるだろう。この Bloemfontein にやって来る少し前に混乱状態で南アフリカに到着した日本代表の中にあって本田圭祐は日本人ジャーナリスト達に日本は1次リーグ全敗をすると考えているのかと尋ね彼らを黙らせてしまった。
大会前に組まれた5試合の準備試合で4敗を喫してしまった日本はこのワールドカップで最も評価の低いチームに数えられていた。満員からほど遠かったFree State Stadium で鳴り響いた試合終了のホイッスルが鳴った時の歓喜は無意識で純粋なものだった。岡田武史日本代表監督の南アフリカで semi-finals まで進出するという予言はまだ過激だと思われているが少なくとも自身を戦略家の主君と考えている彼が前に指揮した3連敗に終わった1998年ワールドカップを越える事は出来た。

カメルーンに Sven Gran Eriksson 並みのサラリーでやって来た Paul Le Guen は自分のチームの反応に苦い失望を感じた。 何度も Barcelona とInternazionale に勝利をもたらしたEto’o は1990年大会でカメルーンを準々決勝戦に導いた Roger Milla に自分の所属クラブでの貢献を代表に生かしていないと言う批判に苛立たせられた。そしてもしこの試合が Milla を黙らせる機会だとしたら、それは失敗したと言う事だ。 田中闘莉王の指揮下日本のDF陣は Eto7o を右サイドの奥深くに押し込める事に成功すると Le Guen の Eto’o 並みの攻撃力を持たないGeremi を投入するという愚策に出た。

Cameroon attitude wrong - Le Guen Paul  BBC

Le Guen カメルーン代表監督は初戦の日本戦の 0-1 の敗戦での自軍の選手達の振舞いを非難した。 私はこの試合に敗れた事に怒っているしかし我々の振舞いは間違っていた。我々は緊張をし過ぎてまた神経質になりすぎていた。我々は自分達の能力を見せる事が出来ず自分達の本来のレベルでは無くポゼッションを失い続けた。
“ 今大会アフリカ代表の国々の中では最もランクが高いカメルーンはスターストライカーである Samuel Eto’o が右サイドで起用されゴール前でゴール前での切れを欠いた事に大変失望させられた。
Le Guen は Eto’o を右サイドで起用した策は効果的では無かった事を認めた。 “私が彼にこのポジションを選んだ。私が責任を負う。監督は自分の支配下の選手を使う選択肢を持つそして私はベストを尽くしたが機能しなかった。”
前半39分の失点シーンに就いては “私の選手達のポジションが悪かった。“事を認めた。そして“我々はデンマークに勝たねばならない事は解っている。この敗戦から立ち直りベストを尽くす。”と語った。

   


 

Japan edged out Cameroon in a dour encounter at Bloemfontein's Free State Stadium which produced little in the way of goalmouth action. BBC Sports

 守備を強固にしたアジア代表の日本の戦術はほぼ完璧だったと言えよう。しかしこの証拠に基づくと翌週に対戦するオランダとデンマークを不安にする事は無かっただろう。 

日本が勝ったというよりもアフリカ大陸の期待を背負ったカメルーンが敗れたことがトピックになっている傾向がある。 Eto'o をはじめ欧州でプレーする選手が多い事もあるが日本とカメルーン世界の football 界の立場を示されている気がしてならなかった。 確かにカメルーンは FIFA ランク19位。しかしワールドカップでは1990年大会でベスト8に進出した以外はすべて1次リーグ落ち。アトランタ五輪では優勝したけど世界中が言うほど日本との戦力差は無かったのかもしれない。
そして日本人選手で名前が頻繁に上がるのは当然本田圭祐。今後も彼の活躍と彼の様な日本人選手が出てくることを祈る。



日本は勝点3を得たがその”勝ち方”に国内外から”実力通り”との指摘がある。専門紙の中には走行距離が約 1km 程度短かったらしいが、まず試合が行われた Bloemfontein は標高1,400mの地ということを忘れていないか?? 日本代表の様な運動量とスピードをベースに試合を作るチームの理想の戦いだったとおもう。スタミナをなるべく温存しここぞという時一気に攻勢に出るという....
それからワールドカップは観客を惹き付けるプレーをする必要は全くなく勝点3を勝ち得たという事実をもっと評価すべしだ。

ドイツの地元紙ではドイツ育ちでドイツ U-19, 21 に選ばれたChoupo-Moting の事や同じくドイツ育ちのN'Guemo の事が紹介される記事もあった。

 Hamburg-Ottensen の FC Teutonia の少年達は今大変誇りにおもっているだろう。1993年に移民してきてここで育った少年は12歳になってTönsfeldstraße のクラブからAltona に移り HSV の下部組織に入りそしてNuremberg でプレーする。21歳の Choupo-Moting は今や右のアタッカーとしてカメルーン対日本戦に出場を果たした。 Joel Matip は Bochum で育ち VfL Bochum を経て今は Schalke 04 でプレーする。代表デビューは2010年3月のイタリア戦。 この若い二人が Arsenal のAlexandre , Celtic のLandry N'Guemo に替ってスタメンに名を連ねた。

また日本の実力を見限る記事もあり

CSKA Moscow の本田圭祐が不屈のライオンの牙を抜いた。 

という行を載せながらも

日本は勝利を手にしたがドジにオランダまたはデンマークは日本はそんなに良いチームでは無いと考えるべきだ。 

とも付け加えられていた。 

この試合は久々のというよりもほぼ初めてのワールドカップ親子テレビ観戦だった。
日韓大会も一緒によく見たんだけど、息子はあまり覚えていないんだよなぁ....
本田の先制ゴールの瞬間は二人で狂喜乱舞したがすぐに”やかましくしたらお母さんにおこられるよ。”と先に冷静になったのは中学生になった息子だった。
松井がクロスを上げる前に相対する Assou-Ekotto がドリブルで日本のゴール前に迫るいいプレーを見せた。そしてその直後に守備に入った時に松井にかわされクロスを入れられた。 いいプレーをした時は安心してしまってミスをしたりするけどその典型と説明すると心当たりがあるのかいやに納得していた.....

二人でワールドカップテレビ観戦をして日本の勝利の瞬間に立ち会える....
なんて幸せな瞬間だったのだろう......

翌週日本はオランダに惜敗した。しかし 0-1 は想定内。まだまだ最終戦まで期待が持てる事が4年前と大きく異なるところだ。
願わくは大会中に親子観戦の機会がもっと増えることを.....