Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

なでしこ世界へ !! 世界4強射程内 !!

2010-06-01 | Football Asia
5月30日、日本中が注目した Graz で開催された England 代表と日本代表がキックオフされる数時間前、中国成都で開催されていた AFC Women’s Asian Cup の3位決定戦でなでしこは地元中国を 2-0 で破り見事に来年ドイツで開催される FIFA Women’s World Cup への出場権を獲得した。 
かつては世界女子 Football 界を引っ張っていた中国は1991年に最初のワールドカップ が開催されて以来初めての“予選落ち”となってしまった。
なでしこ達の快挙を全く伝えないテレビ中継さえCSでしかない日本のマスコミは一体どうなっているのだろう?? そこで中国のスポーツ新聞等から彼女達の活躍を下記の通りに拾ってみた。

準決勝で日本はオーストラリア女子代表 Matildas に 、そして中国は延長戦の末北朝鮮にそれぞれ 0-1 で敗れワールドカップ 出場の為の最後の1枠を掛けて日中両国が激突した。 2月の東アジア選手権ではなでしこが中国を 2-0 で一蹴したが、今度は勝った方がワールドカップ 出場権を得られて負ければそれで終わりという大勝負の掛かった一戦。2月の様には簡単には行かないだろうなぁ….と思った。 
しかし中国側にもアクシデントが。中心選手の馬暁旭が怪我の為にこの大会に出場できなかった。 北京五輪も怪我の為にメンバー入り出来ず、ワールドカップ出場を掛けたこの大会に掛けていたはずだったのだが。東アジア選手権の日本戦ではそのボールキープ力に実力の高さを見せ、“5月の Asian Cup はこりゃ要注意だな。”と思った。そして準決勝で北朝鮮相手に120分も戦った後の疲労が3位決定戦にどう影響するか心配された。
以上の事からなでしこ達有利と思ったが、開催地は中国成都。 2007年女子ワールドカップ でなでしこ達は全くお門違いのブーイングを地元中国人達から受けた事を思い出し、正直 England 戦なんかどうでも良いと思った。(しかし真剣にテレビで観たけど。)

試合は開始からなでしこ達が主導権を握った。 10分には鮫島がドリブルで中国ゴールに迫りシュート体勢に入るが DF 翁新芝が必死に戻り彼女の伸ばした足に当たったシュートは弾んで中国ゴールポストをかすめそうになった。
15分今度は中国畢妍が中盤右サイドでボールを受け前線の庞丰月に送りドリブルで切れ込みCKを得る。そのCKからエース韓端がバックヘッドを撃つがゴール枠はとらえられなかった。
17分なでしこが幸運な先制ゴールを奪う。 近賀由香里がドリブルで突破を図ると張娜がたまらずファールで止めイエローが出される。そのFKを宮間が中国ゴール前に放り込むとボールはそのまま中国ゴールに吸い込まれゴールネットを揺らした。 中国選手達は一斉に主審に詰め寄る。ゴール前で澤の手に当たってコースが変わって入ったと澤のハンドをアピール。しかし韓国人の Hong Eun Ah 主審のゴールインの判定は変わらず日本は先制ゴールを決める幸先の良いスタートとなった。 政治なら韓中は必ず結託して日本を追い落とすのだけどスポーツの世界は公平だったのだろう?



26分中国にアクシデントが。徐媛が足を傷めてピッチの外に出される。結局徐媛はプレー続行不可能で代わりに張容が投入される事に。中盤の要であった徐媛の離脱はかなりの痛手だっただろう。 彼女の眼には無念の涙が浮かんでいたらしい。



33分李丹陽が日本DFともつれてピッチに倒れる。彼女は当然FKを得たと思って立ち上がったが線審は李のファールをとり李は猛然と抗議。 
38分交代出場の張容がロングシュートを撃つがこれは脅威にはならず、43分畢妍が岩清水のチャージで倒れ起き上れない。 
なでしこボールであったがボールを外に出す。 そして韓端がまたも主審に詰め寄る。こうして中国選手達は冷静さを少しずつ失って来たらしい。中国での試合であったがなでしこ達にとっては“ホームタウンテジョン”に悩まされることは無かった様だった。

47分、FKを得たなでしこは宮間がゴール前に入れ、山口麻美と庞丰月の2人が空中で競るが共にとらえることが出来ずにボールだけが流れた。
49分韓端がゴール前に足を高く上げファールを受ける。韓端焦りが出てきたか? 51分エース韓端が左サイドでボールを受けDF2人を引きつけ逆サイドの孙凌に送るが孙凌のシュートはゴールに至らず、52分にはFKを得て華妍がゴール前に入れるが誰にも触れることなくGK海掘がキャッチ。
59分韓端の粘りからCKを得る。華妍が入れたCKから庞丰月がヘッドで狙うがゴールに至らない、



60分には李丹阳 がシュートを撃つが澤がブロック。 後半は中国攻勢の時間が続くがゴールが遠い。
61分張容が相手を倒したファールでなでしこが得たFKを宮間が中国ゴール前に入れる。袁帆がクリアー出来ずそのまま流れたボールを澤がバックヘッドで中国ゴールに流し込み待望の追加点がなでしこに生まれた。



2失点目の直後に龐豊月が報復行為で警告を受け、67分には張娜が中盤で澤とのボディーコンタクトで澤のキッキングをアピールするも主審はノーホイッスル。
70分には山口麻美のシュートが惜しくもポストをかすめる等流れは完全に日本に。2点目が入った時点で既に勝負は決まっていたと思われる。
73分畢妍のCKに韓端が飛び込むがシュートが撃てない。76分なでしこは素晴らしいカウンター攻撃を見せ近賀がシュートに持ち込むがここは必死に戻った李丹陽がカバーに入る。
85分中国はなでしこゴール前にボールを蹴り込み、娄佳恵が落としたところを至近距離から韓端が渾身のシュートを放つがわずかにクロスバーを越え、これが最後のチャンスであった。
4分あったロスタイムもなでしこ達は無難に守り切り中国に失点を許さずワールドカップ 連続出場を決めた。



上記の経過は中国地元紙の記事から拾ったものなので主審がなでしこ達のファールを取らない様な事が述べられている。

中国女子代表にとって今大会は1986年の Asian Cup 以来ワースト記録である 4位となったばかりか第1回大会以来全てのワールドカップ に出場し続けてきた中国女子代表チームが初めてアジアの壁に跳ね返された大会となった。 試合後、商端華監督は当然の様に辞任を表明した。北京五輪の準々決勝でなでしこに敗れ、辞任、更迭の話が飛び交ったが引き続き指揮を執った商端華氏にとって最悪の結果となった。 17年前49歳で中国女子代表の座を一旦退いたが再び指揮を執る事になった時も専門家の間では特に北京五輪に向けて不安の声を上げる人もいたらしい…..



中国隊 GK 1- 張艶茹, 2-劉華娜, 3-袁帆, 5-翁新芝、14- 李丹陽 17-龐豊月, 7-畢妍, 6- 張娜 ( 63分 13-馬君 )15-孙凌(51分分,19-娄佳惠) FW 8徐媛 ( 29分 16-張容 ) 9-韓端

なでしこ: GK : 12-海堀步美 DF : 2-岩清水梓、4-熊谷纱希、5-近賀由香里、6-鮫島彩 MF : 8-宫間绫、10-澤穂希、14-宇津木瑠美 
FW : 13-山口麻美、9-永里优季、7-安藤梢

中国は東アジア選手権では韓端の1トップで2列目に左に尤佳 真ん中に馬暁旭 右に徐媛を並べたが馬暁旭の欠場もある徐媛をトップに上げ韓端と2トップを組ませたのだろう。

 敗戦後の地元マスコミの反応をみると、今大会は敗れるべくして敗れたとの見方が多い。
1次リーグの初戦。韓国戦にはエース韓端を温存してのスタートだったが蓋を開けてみればはボール支配率 ( 中国46.9% 韓国 53.1% ) で上回られたばかりかシュート数も中国5に対して何と韓国17 と差を付けられかつては“格下”であった韓国に敗戦を喫してもおかしくない試合内容。 
続くベトナム戦では韓端、徐媛の2トップで臨み 5-0 の圧勝。
そしてオーストラリア戦は Matildas が2連勝をして準決勝進出を既に決めていたことからメンバーを落として中国戦に臨んで来た事も手伝い、開始8分に決まった畢妍のゴールで 1-0 で勝利を収め、準決勝進出を決めた。 だがこの試合もボール支配率 ( 中国 43.3% オーストラリア 56.6% ) シュート数 ( 中国 11 オーストラリア 12 ) で相手が上回った。
中3日空いての準決勝の相手は北朝鮮。東アジア選手権は“棄権”をしており中国とてスカウティングに苦労しただろう。109分北朝鮮 FW 金景花の決勝ゴールに沈んだ中国だったが試合内容はボール支配率( 中国 38.9% 北朝鮮 61.1% ) シュート数 ( 中国 7 北朝鮮 27 ) が示す様に北朝鮮が中国を圧倒。
金景花1人に10本シュートを撃たれ、韓端、徐媛の放ったシュートは2本ずつ。徐媛は112分馬君と替ってベンチに下がった。
北朝鮮は選手交代なしに120分戦い勝利を収めた。東アジア選手権で彼女達を見たかったなぁ…….

オーストラリアが AFC に加盟し、アジア女子はまさに戦国時代。そしてこの地域を制すれば世界的にも欧州とブラジル、アメリカと肩を並べるレベルになる。 2007年ワールドカップ 、2008年北京五輪のメジャー大会は連続して地元開催で予選免除だった事もこういう結果となったと言われている。
中心選手の徐媛は自分が少女時代に在籍した地元のチームにはかつては100人はいた部員が今は20人程度になっている事実を嘆いていたとの事。 一人っ子政策のしわ寄せがここにも。 中国では女の子は戸籍上は少なく、もてまくることからスポーツ少女は激減しているらしいなからなぁ….. 卓球の世界選手権で中国女子がシンガポールに敗れた事もそれが遠い要因か?

そして人気の美人選手、エースの韓端は現在27歳。次のロンドン五輪更に2015年のワールドカップ まで現役を続行するかはわからない。
彼女がまだ代表でプレーできる間で無いと中国女子サッカーの再建は厳しいと言われている。 
それだけ後任が育っていないという事か.....?  試合後の彼女のピッチの去り方も印象的だったらしい。



しかし東アジア選手権の時も感じたけどなぜマスコミはなでしこに注目しないのだろう?なでしこは世界ランク6位。これだけ世界レベルで上位にいる球技なんて無いんだけどなぁ… ただ知らないだけか????

がんばれなでしこ。 世界4強は射程距離だ !!