Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

32年ぶりの球技金メダルをもたらしたソフトボール もっと注目を !!

2008-08-23 | 夏季五輪

8月22日付 アメリカの新聞記事から拾い読み

最後のソフトボールの試合が終わり見慣れた光景が繰り広げられた。勝者はピッチャーズマウンドに集まり抱き合い、喜びの涙を流しもう片方のチームダグアウトでその光景を静かに見ている。幅広く隊列を組んだファン達は立ち上がり声援を送り栄冠を勝ち取った自分たちの応援したチームに手を振り、静かに打ちひしがれたもう片方のチームの応援団達はそして再び激励のポーズを取ろうとする。 
メダルが授与され、国旗が掲揚される。しかし今回表彰台のてっぺんに立ったのはアメリカチームでなく最も高い位置に掲揚された国旗は星条旗でなく日の丸だった。涼しげで霧のかかった豊秦球場で 3-1 の勝利を得たのはアメリカで無く日本で、アトランタ五輪以来のアメリカの連勝を止めソフトボールの世界の勢力図を書き換えようとした。

   

  

先発投手の Osterman は5イニングスで9三振を奪ったもののこの大会はじめての先制点を含む2失点を喫し、攻撃では1死満塁のチャンスを生かせなかった。
“私の調子は悪くはなかった”試合後先発の Osterman は語った。アメリカが五輪で2点以上の「リードを許したのは初めてで、1点のビハインドでさえシドニー五輪の日本戦以来と今大会のカナダ戦と合わせて3試合目。ただカナダ戦も 8-1 で逆転勝ちを収めている。

その代りに日本はそつなく攻めて前日2試合に渡り21イニングスを投げたウエノユキコの疲れを知らない忘れられないピッチングが披露されたアメリカを5安打に抑えた。日本のミシナマスミが3回先頭打者として2塁打を放ち、カリノアユミの連続内野安打で先制すると4回には先頭打者のヤマダエリの本塁打で追加点を挙げた。

 

雨による18分間の中断のあと Crystl Bustos の本塁打で1点差に迫った。彼女の大会6号本塁打は五輪記録。6回には1死2塁からBuston 、Kelly Kreschman が連続して四球で歩いて満塁としたが後続の Andrea Duran そして Stacey Nuveman が断たれ同点のチャンスを逸した。
7回表に1死2,3塁の日本の好機にフジモトモトコのゴロを掴んだ Monica Abbott 投手がホームに悪送球 Nuveman は送球を取れず3塁小社のヒロセメグの生還を許した。 ( 続く三科はホームで刺された..... )

 
   

“3失点目を喫した時にちょっとこれは痛いかなと思った。” Nuveman は語った。 2死ながら1塁に走者がいた最後のチャンスにも Caitlin Lowe はサードゴロに倒れアメリカの大会連覇は途絶えた。アメリカが金メダルを勝ち取れなかった事は驚きであり、ソフトボールファンは日本が金メダルを勝ち取った事の驚きを感じない。ウエノは前日アメリカ打線を8回まで完封していた。

“彼女はただ私たちに投げ勝っただけ”先発の Cat Osterman は語る。
“私はこの事実にそんなに頭を抱えていられない。”

 

ウエノは前日21イニングを投げ24時間も経っていないこの日にも快投を見せて勝利に貢献した。サイトウハルカ監督に再びボールを渡された上野は、それ以外のオプションは対アメリカ戦には無いと考えたのだろう。しかしこのレベルの大会で二日連投をするのはまれだがウエノは耐えられた。中国の濃い大気からのみならずアメリカ、オーストラリアの連戦から来る肉体的な疲労に耐えられた。
“勝利は最大の回復”ウエノは通訳を通して答えた。 

  

しかし最後は本当に上野投手も限界だったと思う。7回、1死1塁からのワトリーの打球は完全に3塁線を抜かれたと思った。よく広瀬が抑えてくれたと思った。最後の打者の Lowe の打球も。アテネ五輪以降、対アメリカ戦では USA World Cup, Canadian Cup, 世界選手権、 Japan Cup 等を含めて5勝13敗だった。五輪ではアメリカは22連勝中だったらしい。 上野の力投と日本ソフトボールチームの偉業が世界のソフトボール界に大きく貢献してくれることを祈るけど……

Don Porter 世界ソフトボール連盟会長はアメリカがこの大会で負ければまた再び五輪にソフトボールが採用されるとは明言しなかった。ソフトボールは2005年の IOC委員会の会議でロンドン大会の種目から外されることに決まったが、2016年大会に再採用されるかは 2009年の IOC 委員会会議で決められる。しかしその為にはまだ解決せねばならない問題が残っている。今大会ついにアメリカの牙城が崩されたが世界選手権では16カ国が参加し、4~5カ国の拮抗した国がないとアピールに難しいらしい。 Don Porter 会長は IOC のJacques Rogge 氏やJuan Antonio Samaranch 前IOC 会長に決勝戦となった日米対決を観戦してもらったそうだ。しかし欧州人に複雑な球技のルールはわかるかな……

試合時間もひとつの課題らしい今大会の平均試合時間は1時間49分。これなら“及第点”らしいけど……サッカーも同じくらいなんだけどなぁ…..

これでソフトボールの五輪登場は少なくとも8年待たねばならなくなった。これは選手達の現役生活にも影響するだろう。表彰式後アメリカの Kelly Kretschman, Flower 達が自らのスパイクをホームベースに置き引退を表明した。 もし次の五輪が4年後ならばどうなっていただろう.......

   

私はさっそく日本リーグの日程を調べた。今年で41回目になるんだなぁ……. 球技の金メダルなんてもう何年振りだろう、あの“新東洋の魔女”と言われたモントリオール大会の女子バレー以来だとおもった。  

それだけ素晴らしい偉業なんだ。

日本国内のマスコミももっとソフトボールにスポットライトを当てろよ。世界1のレベルだぞ。

    


撫子 メダルには届かず しかし日本女性は素晴らしい

2008-08-23 | 夏季五輪
テレビ左上隅の時間の経過を示す数字は93分を過ぎようとしていた。そしてアルゼンチン人の Alvarez 主審の試合終了を告げるホイッスルが鳴り響き撫子達の挑戦が終わった。 残念ながら彼女達は日本サッカー界に40年振りの五輪メダルをもたらすことは出来なかったがその存在を世界に見せつけられたと思う。

中国の新聞は下記の通りに伝えた……

ドイツチームと3位決定戦で敗れた日本チームは残念ながら表彰台に上がることができなかったが、しかし彼女たちはアジア女子サッカーの新しい覇者の地位に上がった。私達は、中国の女子サッカー、朝鮮の女子サッカー、といったかつてのアジアの覇者達は、日本の女子サッカーの技術のサッカーの前に力及ばなかった事を認めなければなりません。 事実、今の世界の中のアジアのサッカーについて欧米のサッカーとの決定的な、体格が先天的に劣るその事実に対抗するため、国際大会の中で対抗するならば、必ずサッカーの技術を向上させねばなりません。日本のサッカーは真っ先に1歩先に技術向上をさせて、そして北京のオリンピックで初めて4強に入り成功を得ました。未来の日本の女子サッカーが更に私達を驚かせる事が出来得る(ありえる)ことを信じます。
日本の躍進はアジアのレベルを上げることとなるでしょう......


日本を破ったドイツの新聞では

ドイツ女子代表チームは3位決定戦で日本を 2-0 で破り3大会連続の銅メダルを勝ち取った。2得点の Fatmire Bajramaj は“金メダルを獲得できなくなった時は大いに失望したが勝ち取った銅メダルには満足してる。”と述べた。 Silvia Neid 監督は、前半日本に押され、後半何か手を打たねばと思い投入した2選手、Bajramal と Conny Pohlers の2人が試合の流れを引き寄せたことが勝因、と語った。 前半は準々決勝のスウェーデン戦同様守備的に戦った。 ドイツはたった1本のシュートを放っただけであったが日本には5本のシュートを撃たれた。21分、22分には宮間、近賀に連続してシュートを撃たれたが GK Nadine Anagerrler が凌ぎ、その後も澤に決定的なミドルシュートを撃たれたが三度 Anagerrler がファインセーブ、後半の Bajarmal の連続ゴールに繋げて試合を決めた………

上記に述べられている通り前半は日本の攻勢の時間が続いた。しかしそれはドイツに攻めさせられていたのだった。体格で勝る統率された最終ラインはミドルシュートこそ打たれはしたものの突破は許さなかった。しかしそれだけに澤の惜しいシュート等、日本のミドルが決まっておればと思われた。

後半投入された Bajramal は北京五輪では日本戦で4試合目の出場となるが全て途中出場。まさにスーパーサブ的存在。昨年のワールドカップ、グループリーグ戦の日本戦も57分から途中出場をしている。Bajramaj は1988 年旧ユーゴスラビア領のコソボで生まれたアルバニア系の移民。さぞ苦労があっただろうなぁ……….
3位決定戦では連続して得点を決められてしまった。2012年のロンドン五輪では金メダルを狙うと試合後インタビューに答えている。 

    

    

準決勝でブラジルに 1-4 で敗れ昨年のワールドカップ決勝戦( 2-0 でドイツの勝利)の雪辱をされてしまったドイツのスタメンはFWの Anja Mittag をベテランの Sandra Smisek に替えただけのメンバー。左サイドバックの Bebett Peter 以外は昨年ワールドカップでの日本戦に出場した選手。そして経験が豊富な選手が並ぶ。GK Nedine Anagerrler は昨年のワールドカップ経験者。 左サイドバックの Kerstin Stegeman はワールドカップ3大会( 1999, 2003, 2007 ) 五輪は4大会( アトランタ、シドニー、アテネ、北京)の経験者、FWの Birgit Priz は1995年大会から4大会ワールドカップに出場を果たしておりワールドカップ通算得点14は現時点で歴代1位。2003年から3年連続で FIFA Women’s World Player of the Year に選ばれている優秀な選手で昨年ワールドカップの日本戦では得点を挙げている。五輪もアトランタ大会から4大会連続出場中だ 中盤の Renate Lingor もワールドカップ3大会 ( 1999, 2003, 2007 ) そして五輪もアトランタ大会から4大会. CB の Arian Hingst もワールドカップ ( 1999, 2003, 2007 ) と五輪 ( 2000, 2004, 2008 ) に3大会ずつ出場実績がある。 CB の2人が経験者で揃っていたので前半の守備的な試合運びが出来たと思う。 まさに完成されたチーム…..と言うよりも完成されたのは昨年のワールドカップでその遺産でここまで来た、だから決勝に残れなかった…….と言えなくもないか…….. 2009年に Finland で欧州選手権があるが、 Priz をはじめ多くの選手がその大会を最後に代表から引退するものと思われているらしい。

  

一方の撫子達は準決勝のアメリカ戦と同じメンバーだった。 登録18人の中でMF加藤、FW丸山そして第二GKの海堀以外はすべて昨年のワールドカップメンバー。池田浩美 ( ワールドカップ、1999, 2003,2007 ) 五輪 ( 2004年)や澤,ワールドカップ4大会( 1995 ~2007 ) 五輪3大会 ( 1996, 2004,2008 )  の様に世界の大会を多く経験する選手は少なく、前回のアテネ五輪を経験した選手が他に6人( 矢野、柳田、安藤、新川、丸山) ワールドカップ2003年大会の経験者は7人 ( 宮間、澤、矢野、柳田、新川、丸山 池田 ) いた。ドイツ程ではないが新旧交代の時期にこれからさしかかってくると思われる。しかし澤と池田にはもっと続けて欲しいなぁ…. 

   

女子サッカーはみな五輪で勝ち進む事がその存在感を示す事になるという事をよく理解している。それは日本以外の選手も同じだ。
一昨年なでしこリーグの試合観戦に行った時に購入したプログラムを見るとほとんどの選手が他に仕事を持っておりそれで生計を立てているとの事。ある選手は地元の体育協会で、ある選手はボーリング場で……. それだけに日の丸の重みをよくしっているのだろうなぁ……… 

  

今年10月28日、ニュージーランドで第一回 FIFA U-17 Women’s World Cup が開催される。アジアからは日本、韓国、北朝鮮が出場権を得た。欧州からは England, Denmark, France, Germany 南米からはコロンビア、パラグアイ、ブラジル。北中米からはアメリカ、カナダ、コスタリカが出場。そしてアフリカ代表のナイジェリア、ガーナに開催国のニュージーランドを加えた16カ国が初代王者の覇を競う。 
日本は Group C に所属しアメリカ ( 10月30日) フランス ( 11月2日)パラグアイ ( 11月5日 ) と同組だ。次の撫子達がここから生まれることだろう、もっと撫子達を……と思う。 

女子の方が男子よりこの五輪では戦績が良い…..我が家の家内が言った言葉だ。多くの日本女性がそう思っているに違いない…….