Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Hyundai A-League 2008 開幕間近  Pre-Season Cup 決勝戦

2008-08-14 | Aussie & Kiwi
8月6日、6000人以上の集客を目標にした Pre Season Cup の決勝戦。Melbourne Victoryを迎えたここ Wellington Phoenix の本拠地 Westpac Stadium は9,028 人の観客が集まった。少なく見積もっても95%が地元 Phoenix の勝利を期待する人々で占められたと思われる。試合は Phoenix が押す展開が続く中、 A-League の中では強豪の部類にはいる Victory が劣勢の中にもしっかりと耐えて得点機をうかがう展開が続いたが勝負は90分ではつかずそのままPK戦に突入した。
PK戦では Victory の最初のKicker 、主将の Rodrigo Vargas が決めた後 Phoenix の最初の Kicker 、エースストライカーの Shane Smeltz が大きく外してしまう。以降両チーム2人ずつが決めた後、Victory 4人目の Nick Ward がボールをセットすると相手チームの中心選手に向かって観客席からはひときわ大きなブーイングが飛ぶ。そしてそのブーイングは Ward のPKが大きくバーを越えた瞬間に大歓声に変わる。以降 Victory が Carlos Hernadez, Sebastian Ryall, Danny Allsopp, Mathew Kemp と連続して決めれば、後から蹴る Phoenix も Daniel, Michael Ferrnante, John McKain, Richard Johnson らが決めて食い下がる。6人目のサドンデスからは先攻の Victory が決め続けて後から蹴る Phoenix にプレッシャーがかかるのがよくわかるがそれを地元の観衆が後押しをする。しかしながらVictory 9人目の Evan Berger が決めた後の Phoenix 9人目 Kart Dodd がゴール左隅に狙ったショットを GK Michael Theoklitos がコースを読んでいたか右に倒れこんでセーブ。この瞬間この試合の勝負が就き、熱心に大歓声を送っていた観客は一斉に出口に向かい出した。ニュージーランドサッカー史上でも屈指のタイトル奪取がならなかった Wellington Phoenix の選手達は少し肩を落とした。そして A-League 史上初めて Grand Final, Preliminary Final ( リーグ戦 ) そして Pre Season Cup の3冠タイトルを勝ち取った Melbourne Victory のメンバー達は静かにこのタイトルを喜んでいた。
試合内容はPK戦で敗れた Phoenix が良かった。彼らの方がタイトル奪取のモチベーションが高い様に見えた。そして地元観客も彼らを大いに後押しをした。しかし悲願は届かなかった。しかし約10日後に開幕する今シーズンの A-League に向けて大いに自信となったのではないだろうか………

昨シーズン破綻した New Zealand Knights に替ってニュージーランドからA-League 入りした Wellington Phoenix は8チーム中最下位に終わり Australia のチームとの差を感じさせられたように見えたが、7位の Perth Glory とは同じ勝点で得失点差で7位の座を譲った。6位 Adelaide United とは勝点差が6で5位 Melbourne Victory とは7勝点差。Knights が参戦した2シーズンは共にダントツの最下位であった事と比較すれば“大躍進”とも言えなくもない。 昨シーズン終了後 Four Four Two Australia 誌が選んだ Year of the Coach には元ニュージーランド代表でワールドカップ出場経験もある Phoenix の Ricki Harbert が選ばれたのも納得が出来る。 Harbert 氏はニュージーランド代表 All Whites の監督も務めワールドカップ予選では日本と対戦するかもしれない….. いやアジア予選で出場を決めることを祈るけど……. まさに New Zealand サッカーの将来を担っていると言える人物だ。

今年の A-League の Pre Season Cup は他のチームが契約未締結等で戦力の整備が進まないなか Phoenix は早くから戦力の整備に取り掛かっており、その成果がまずあらわれたと言えるだろう。
1次リーグでは昨シーズンの Grand Finalist , Central Coast Mariners を 1-0 で破り続く Queensland Roar 戦は0-0 と引き分けたが第三戦の Sydney FC との試合では 0-2 の劣勢から3連続得点を挙げ逆転勝利で激戦を制し決勝戦進出を決めた。 Pre Season Cup とはいえこのタイトルを勝ち取ればニュージーランドクラブサッカー史上久々の歴史的勝利となると現地のサッカーファンの間では話題になっていたらしい。 8月6日の決勝戦を前にこの Pre Season Cup にはローテーションシステムを採り選手のテストを図りながらも決勝進出を果たした Phoenix の Herbert 監督は GK Glen Moss そして Andrew Durante, オーストラリア人のJon McKain のCBコンビ, MF Michael Fernante とMF Leo Bertons , FW の Shane Smeltz の All Whites コンビ以外のスタメンは未定とマスコミ達を煙に巻いた。オーストラリア人のCBで主将の Jon McKain は“我々はタイトルに飢えている。”選手達はみな決勝戦でプレーをする事を望んでいる。新しいクラブでチームメイト達と喜びを分かち合うのが我々の目的。“とタイトル奪取に執念を燃やす。 McKain は2003年から5シーズン に渡ってFC National Bucuresiti 等 Romanian League でプレー。アテネ五輪では Olyroos のメンバーとして出場。翌2005年ドイツで開催された FIFA Confederations Cup にも3試合出場した経歴がある Brisbane 出身の選手。何故 Queensland Roar に行かなかったのだろう?
対戦相手の Melbourne Victory は北京五輪に Archie ThompsonとBilly Cleleskiが北京五輪で不在, Leigh Broxham、Daniel Vasilevski , Grant Brebner そして主将の Kevin Mascut らが怪我で離脱と中心選手の多くが不在。この試合に帯同した選手は結局15人のみ。それでも Ernie Merrick 監督は“選手層の厚さには自信がある”とコメント。 

街の中心街にあるホテルから Westpac Stadium までは徒歩10分。途中 Wellington Station の構内を通ってスタジアムに向かうがスタジアムの照明の明かりが近付けば近付くほど黄色のレプリカや黄色と黒のマフラーを付けたサポーター達がどんどん増えてくる。彼らとてサッカーを愛する人達。地元チームの勝利を願ってやまない、言ってみればダメ息子が突然試験で100点を取ろうかと言う心境だろう。

   

Victory のスタメン発表に続き、地元 Phoenix のスタメン発表がサポーター達の大歓声と共に始まる。この日の Phoenix のフォーメーションはGKが以前は破綻したNew Zealand Knights のゴールを守ったGlen Moss。DFラインは4バックで左サイドバックが昨シーズンまでオーストラリア Victoria Premier でプレーした Emmanuel Muscut, CB はJon McKain,とKart Dodd で Andrew Durante はベンチスタート。 Doddは188cm の長身選手で昨シーズンは Scotland Premier League の Falkirk でプレー。中村俊輔とも対戦したか?その前は右サイドバックが Ben Sigmund。今年7年振りに N.Z. 代表 All Whites に復帰した本来はCBの選手。2006年岩本輝雄と共に New Zealand City FC のメンバーんの一員として来日し FIFA Club World Cup に出場した。ボランチがMichael Ferrante と Richard Johnson。Fernante は昨シーズンまでこの日対戦した Melbourne Victory に所属し、昨シーズンは16試合にスタメン出場した中心選手だった。 Johnson はEngland の Watford で12シーズンプレーをし Premiership も1シーズン経験している。その他 Queens Pars Rangers を含め都合 England で14シーズン5チームを過ごした。 2列目の左サイドには昨シーズンまで Central Coast Mariners に所属し今年2月に行われた Grand Final にも出場を果たした Adam Kwansnik, 真中には 北京国安にも所属した Leilei Gao。右サイドに ニュージーランド代表の Leo Bertos そしてShane Smeltz のワントップ。攻撃時には Gao が前線にあがり Smeltz と2トップに。 補強の充実ぶりがよくうかがえるメンバーだ。

一方の Melbourne Victory はGK Michael Theoklitos, 左サイドバックが Evan Berger。Australia U-20 にも選ばれた20歳の選手だが本来は中盤の選手。 CB は Sebastian Ryall と Rodorigo Vargas, Ryall は一時五輪代表候補にも入った選手。Vargas は昨シーズン20試合スタメン出場を果たした中心選手。 右サイドバックには19歳の新鋭 Nathan Elasi。しかし Elasi は本来FWの選手。 ボランチには Jose Luis Lopez と Nick Ward。 Lopez は今季コスタリカからやって来た助っ人で 2001 年のFIFA U-20、アテネ五輪にコスタリカ代表として出場。そして2005年のFIFA Club World Cup にも Deportivo Saprissa のメンバーとして来日。 KAZU のいたSydney FC と対戦した。Nick Ward は2005-06シーズンは Perth Glory に所属以降 Queens Park Rangers, Brighton と England でプレー。 Asian Cup 予選ではSocceroos のメンバーにも選ばれ、北京五輪最終予選でも6試合すべてに出場したにも関わらず最終メンバーには選ばれなかった。 このポジションは実績のある選手達で占められたがこの二人はどちらかと言えばDiffensive MF の様な働きだった。MFには左サイドに Carlos Hernandez, 右サイドに Matthew Kemp 。 Hernandez は昨シーズンからコスタリカの LD Alajuerense からローン契約でVictory の一員となったが、 Lopez 同様 FIFA U-20, アテネ五輪にも出場し2006年のワールドカップにもエクアドル戦、ポーランド戦に途中出場を果たした。Kemp は昨シーズンから Adelaide United より移籍し18試合スタメン出場を果たすなどチームの中心選手。しかし本来はフルバックの選手。 そして Danny Allsopp と Ney Fabiano が2トップ。Allsopp は1995年エクアドルで開催された FIFA U-17 の得点王。2年後のFIFA U-20 マレーシア大会にも出場。昨年 Asian Cup 直前のウルグアイ戦では遂にA代表に選ばれたが Asian Cup には選出されなかった。 Fabiano は今シーズン タイのChonburi から移籍したブラジル人FW。その前にもタイの Tabacco Monopoly でプレーした。 この日のメンバーを見ると Thompson, Celeski そして Mascut がいないと物足りない気がする。

Phoenix にとってはチャンスだった。 試合開始から地元サポーターの大歓声を受けて Phoenix の攻勢が続く。そして本来のレギュラーメンバーが少なく残されたメンバーでやりくりしている Victory はカウンター主体だが相手PA前ではスルーパスを通したりワンツーで抜け出たりしてチャンスを作る。11分にはスルーパスを受けた Allsopp がナイスクロスを上げるがGK Moss がキャッチ。23分にはFabiano が Allsopp とのワンツーで抜け出てゴール前に迫った所を E.Muscat に倒されたがここはノーホイッスル。 Phoenix はボール支配率が高く相手PA付近までよくボールを運ぶのだが足元へのパスが多く最後は Victory DF陣にラストパスを読まれてしまい決定機は作れない。26分には右サイドを Bertos がドリブルで上がるがフォローが無くチャンスが広がらなかった。この試合内容にエースストライカーの Smeltz が観客に声援をあおるジェスチャーを見せ大歓声が沸く。31分には Bertos から逆サイドの Kwansnik に送られた中の Gao に繋ぎ Gao は右に流れてシュートを放つが Victory DF にあたって得点には至らなかった。 33分頃から Phoenix は Gao と Kwasnik のポジションを替えた。これで Gao のボールキープ力と Kwansnik のシュート力を生かせるようになった。そして Smeltz との2トップに。しかし前半はロスタイム2分を加えても両者得点が入らずに終わった。

後半Phoenix ベンチはKwasnik に替えてベテラン FW Vaughan Coveny を投入する。 Coveny は地元Wellingotn 出身で2005-06 から2シーズンは New Castle Jets でプレーし、昨シーズン地元 Phoenix に移籍。All Whites 出場歴77試合20得点の実績がある。All Whites 出場歴77試合20得点の実績がある。 Coveny が Smeltz と2トップを組む事に。  53分この試合もっとも観客が沸いたシーンが。PAエリアのすぐ外でFKを得た Phoenix は Ben Sigmund に替って Troy Hearfield を投入。Hearfield はAustralia U-20 にも選ばれ一時は五輪代表候補にも選出された攻撃的MF。Victory ゴール前にFKが放り込まれ両軍の選手がボールの落下点に殺到するが結局GK Theokiltos がキャッチ。しかしこのあと Phoenix の選手が Theokiltios にぶつかったと両チーム入り乱れての小競り合いに。観客は大歓声を送るが Peter O’Leary 主審がMcKain にイエローカードを出すとブーイングに変わる。

   

64分 Phoenix は3人目の交代選手 Daniel を Gao に替えて投入すると大歓声が沸く。昨シーズンは4ゴールを挙げたチーム一の人気を誇るブラジル人選手だ。 Daniel が左右にポジションを取り高いボールキープ力を見せるので更に Phoenix にチャンスが生まれる。66分にはFKのチャンスから最後はこぼれ球をFerrante がシュートを放つが GK Theoklittos のファインセーブでCKに。 71分にはFerrante のスルーパスに抜け出したSmeltz がゴールに迫るがシュートを撃てない。75分にはFKをもらい早いリスタート Smeltz が左サイドからクロスを入れるが右に流れる。 Ferrante がフォローに入るがシュートは外れて行った。 Ferrante が完全に左サイドを制しているのでそちらからチャンスが多く生まれる。80分最大の得点チャンスシーンが。左サイドを抜け出したサイドバックの E. Muscat が絶妙のクロスを入れ、 Smeltz が頭で合わせる。誰もがゴールと思ったがGK Theoklittos が右に倒れこんで奇跡のセーブ。サポーター達のため息に続いて Smeltz そして Theoklittos ?? に拍手が送られる。結局後半も両チーム得点が入らず勝敗はPK戦に委ねられる事となった。

8月17日 Phoenix は Westpac Stadium に Queensland Roar を迎え、Hyundai A-League 2シーズン目に臨む。Kwasnik ( Central Coast ) , Durante ( Newcastle ) , Hearfield ( Newcastle ) , Gao ( My Pa Finland ) McKain ( Politethnica Timosoara Romania ) Sigmund ( Auckland City FC ) Mulligan ( Scunthorpe United, England ) Leo Bertos ( Perth Glory )新加入 8人の選手補強をみると今シーズンは期待できそうだ。もし A-League または Grand Final を制するとニュージーランドのチームが Asia Champions League を戦う事となるが……. 今シーズン何試合 A-League の試合を観戦できるだろう…….今年の楽しみだ。