Mr.コンティのRising JAPAN

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浦和 REDS アジア王者へ王手 後半、延長そしてPK戦

2007-10-27 | Football Asia
後半開始時は両チーム選手交代は無かった。
立ち上がりREDSのCKのチャンスに闘莉王が上がってきて惜しいシーンが二度立て続けにあった。52分には右サイドをポンテが上がり中にいれたクロスを達也が落として長谷部が撃つと見せかけたところを横に出し走り込んだ闘莉王が強烈なミドルを放つがゴールを捕えられなかった。55分には右サイドを長谷部、啓太と繋ぎ前線のポンテへ。ポンテがまたも中に折り返し中央の達也へ、左サイドから走り込んだ平川に送りダイレクトで放ったシュートはパクジンソプに当たってコーナーへ。
しかし立ち上がりの攻勢の直後、そのCKからカウンターをくらいイタマルに繋がれる。坪井が一旦は追い付き、山田もマークに入るが中に入れられ走りこんできた崔成国がダイレクトでREDSゴールに蹴り込み同点ゴールを許してしまった。そのゴールの裏に陣取る城南サポーター達の乱舞する。そしてスタジアムにはREDSコールが始まる。そして得点前から交替の為にピッチ脇で待機していた金東勲が孫大鍋に替って投入された。金東勲は1st LEG では同点ゴールを決めるなどこれまでACLでは5得点を挙げている。4月にアデレードで観戦したACLの試合でもゴールを決めている。城南は前半同様両サイドバックが上がってきて中盤を支配し始める。REDSは数的優位を作られ前線と中盤が分断され、ボールを奪っても前線にボールが渡らない。何とか阿倍が最終ラインで持ちこたえている。攻撃の糸口は田中達也のドリブル突破に頼るしかなくサイドバックが上がった裏をドリブルで侵入するが大型CBキムヨンチョルが激しい当たりで達也に最後の仕事をさせない。
城南優勢のなか69分逆襲から金相植から闘莉王を背負った金東勲に渡る。金東勲はそのままイタマルに落とし、イタマルが強烈なミドルを放つ。一旦はGK都築が弾くがそのこぼれ球を金東勲が押し込んで城南に逆転されてしまった。このゴール、場内では崔成国のゴールと発表された。城南サポ席は同点ゴール以上のボルテージで狂喜乱舞している。



このゴールで一気に城南が優位に立つ事に。これでREDSがもし次のゴールを先に城南に許すと、あと3点取らねばならなくなる。残り時間は20分、選手交代を含めてREDSベンチはどういう手を打ってくるのだろう。
72分に達也のインターセプトからワシントンに繋ぎ、さぁチャンスと言う時にワシントンが金斗 鉉に倒されFKを得た。そして金斗鉉にはイエローが出される。そして城南ベンチは準備していたDFチョヨンヒョンがMF南基一に替って投入される。そのFKをポンテがゴール前に入れ阿部が落とした所を走り込んだ長谷部が押し込んで鮮やかな同点ゴールが生まれた。リードされた直後の素晴らしいゴールであった。そのゴール裏に陣取るREDSサポーター達からそしてスタジアム中から大声援があがる。この同点ゴールは城南がDF選手を入れた直後だったので同点ゴール以上に大きいものだった。
しかし既に2ゴールを挙げている城南は次の1ゴールは1点以上の価値がある。80分には金東勲が頭で落とした所をイタマルが走り込みマークの坪井と交錯して倒れたが笛はならずにほっと胸をなでおろす。81分にはパクジソプのスルーを受けた崔成国が右からクロスを入れる。中にはイタマルと金東勲の二人が完全にフリーだったが重なってくれていたおかげで金東勲のヘッドはイタマルの背中にあたってゴールには至らなかった。82分には達也がお役目ごめんで永井が投入される。2003年4月ソウルで行われた日韓戦のロスタイムに決勝ゴールを挙げた、その再現を期待する。一方の城南もMFの金斗 鉉を下げてFWのキムミンホを投入する。キムミンホは建国大出身、2005年のデンソーカップではMVPに。この試合にはFC東京の伊野波雅彦も(当時は阪南大)出場していた。中三日で試合をしている REDS は休養充分の城南に対して試合時間が長くなればなるほど苦戦を強いられる。何とか90分で勝負をつけたかっただろうが、90分には右サイドにいた闘莉王がボールを受けるやボールをコーナーに蹴り出して倒れてしまった。故障していた足を痛めたらしい。転倒後すぐにベンチに向けて交替を促す。その闘莉王を近くにいた金東勲が気遣う。替って堀之内が入るが、この負傷退場はその後の厳しさを予感させた。

延長戦に入っても一進一退。そんな中で目立ったが阿倍のディフェンス。交替出場のキムミンホ、そして崔成国の突破を何度も身体を張って防ぐ。特にキムミンホとの激しいワンオンワンは観ていて圧巻だった。そして延長戦を終えても勝負はつかず勝負はPK戦に委ねられる事に… このPK戦のゴールを巡っても試合前に城南サイドからひと悶着あったらしいが、そこは譲らず規定通りホーム側のゴールを使う事に。このピッチ外の激戦を制した事が勝利につながったか…..
PK戦はREDSが5人全員(ポンテ、ワシントン、阿部、永井、平川)が危なげなく決めたのに対し城南は1人目金相植には決められたものの都築はそのコースを読んでおり、二人目崔成国が正面に蹴ったのを都築が弾き出し以降のPK戦を優位にし勝利を導いた。この崔成国のPKの時、よく都築は動きをずらしたと思う。それは崔成国が蹴る前から腕組みをしていたときから決めていたのだろうか……. 最後の平川が右サイドネットを揺らした時、さいたまスタジアムには怒涛の大歓声が湧き上がり浦和REDSの決勝進出が決まった。14年前Jリーグが創設された時に、川淵(当時)チェアマンにチーム力の“改善命令”を出されたチームがJリーグのチームでは初めてACLの決勝戦に進出する事となった。
この試合のREDSのMVPは私は阿倍だと思う。劣勢の時間が長い中、特に試合終盤のピンチの連続をよく凌いだと思う。

対戦相手の城南一和も見事だった。あの中盤での早いパス回しに強い当たり。浦和REDS以外のいくつのJリーグチームが対等に戦えるのだろう…. そして約3,000 人と言われた城南サポーター達。おそらく半分近くは在日か在留の韓国人だろうが、熱戦を引き出すには充分なアウェーチームのサポートだった。
そして赤い大サポーター達…….. 場内一周をするREDSイレブン達を迎えるサポーター達を見て“本当に勝って良かった。”と思った。自分はREDSサポーターで無いけどやはり国際試合では日本のチームには負けてほしくはないと思う。これが欧州、南米あたりだとそうはいかないらしいが…….

競技場の外に出ると時計の針はもう10時半を近くになっていた……

そして少し肌寒さを感じたけど REDS の勝利が寒さをあまり感じさせなかった……..

最後に一言、崔成国よ来シーズン京都が昇格したらぜひサンガに入団してくれ.....

 

浦和 REDS アジア王者へ王手 前半

2007-10-27 | Football Asia
10月24日さいたまスタジアム2002 時計の針はもう10時を回ろうとしていた。
勝負は120分間ではつかず、アウェーの城南側席陣取った約3,000人のサポーターを含めたこの日の公式観客数 51,651 人全てがこれから行われるPK戦を固唾を飲んで見守らねばならないのだ。韓国のチームとのPK戦と言えば7月のアジアカップの3位決定戦でのPK負けがすぐに思い浮かぶ。延長戦に入る前から、PK戦は避けたい、延長戦で勝負をつけたいと思っていたのだが….
対韓国戦でのPK勝は…..1995年香港でのダイナスティカップ…..でもあれは相手が五輪チームだった、そうだ1992年雨の中の北京でのダイナスティカップ、カズ、北澤、福田、高木、井原そして松永らを擁して韓国をPK戦で破った、雨の中の試合は韓国の方が得意だったのに….  でも1972年東京でのアジアユース準決勝、永井良和のいた日本ユースチームは車範根のいた韓国ユースチームと激闘の末PK戦で敗れた… 日本国内でも対韓国戦のPK戦は相性が悪いのかな……そんな事を考えていると最初のキッカーであるREDSのポンテがボールをセットし始めた、彼の正面にはREDSの大サポーター達が陣取る…………

この日は朝から絵に描いた様な秋晴れ。さいたまスタジアムに向けて出かけた午後6時には日が暮れていたがまだ温かかった。自転車で約半時間アジアナンバーワンの定評のあるさいたまスタジアム2002に到着。さいたまスタジアムは5月のACL Sydney FC 戦以来だが、今回は息子は何故か来ないといったので私一人で…..
今回取った座席は SAのメインアロー席。城南サポ席の近くであるが向こう正面にREDSのサポーター席が見える。早くも赤一色で染まっている。各席の前に備えられているドリンクホルダーには赤い旗が。熱心なボランティアの人達が“選手入場の際には赤い旗を振ってください。”と説明して回っている。こういう応援があってこそのREDSだ。この城南一和戦はスポーツ紙でも取り上げられており、10月3日の1st Leg での先制ゴールを含めACL7ゴール挙げた城南のエース、モタが負傷で来日できない事に、そしてアウェーの初戦を引き分け、ホームのこの試合を楽観視する報道があった。しかしこれは正しくないとも思った。アウェーで引き分けられた事は大きい。しかしその試合では孫大鍋、崔成国といった韓国代表選手が出場していなかった。特に崔成国の高速ドリブルはアジアではトップクラス。昨年A3 Championships では蔚山現代のメンバーとして来日し李栄杓と共に相手DFを切りさくドリブルを何度も披露、今年4月オーストラリアアデレードのACL グループリーグ Adelaide United 戦でも左右両サイドに現れて何度もドリブル突破をする姿を私は見た。また7月のアジアカップでも日本戦は怪我で欠場したが初戦のサウジアラビア戦でも鋭いドリブルを披露。当時のファーベック監督に抜擢された同じ城南の孫大鍋もなかなかのパファーマンスを見せていた。その2選手がこの試合に出ると…..と私は思っていた。その上さいたまスタジアムの大観衆の前でプレーする事はホームチームだけでなくビジターにも時にはモチベーションを高める事もある。REDSはアウェーで引き分けてのホームゲームだがそれほど楽観はできなかったはずだ。
試合前の練習を見ていると崔成国も孫大鍋もアップをしていてスタメンで起用されそうだった。やがて選手達が控室に戻り両チームのスタメンが発表される。REDSサポーターの大ブーイングの中まず城南一和の選手達が紹介されるが、黄色一色に染まった城南サポーター席からは同時に拍手と歓声が沸き起こる。崔成国、孫大鍋はやはりスタメン入り。そして御馴染の掛け声と手拍子に後押しされREDSの選手紹介が始まり、しばらくして大歓声に包まれて両チームの選手が入場する。スタジアムは一角を除いて赤一色だ。城南GKは金龍大。アジアカップでは李雲在に続く第二GKだったが出番はなかった。しかしACLではずっと城南のゴールを守っている。DF陣は右からパクジンソプ、チョビュングッ、キムヨンチョル、チャンハギョンの4バック。このDFラインも1次リーグ第5節のDong Tam Long 戦で チョビュングッが欠場した以外はACLでは不動のラインアップ。DFラインの前には右に孫大鍋、左に金相植の韓国代表コンビが配置され、攻撃陣はブラジル人ストライカー、イタマルがトップやや下がり目の2列目は右に崔成国、左に南基一、そしてその真中下に韓国代表の金斗鉱が置かれてダイヤモンド形を形成する。
一方の浦和は4日前の千葉戦で負傷交代したワシントンがフェースガードを付けてスタメン出場、ネネに替わって坪井が起用され10月3日城南戦と同じスタメンとなった。キックオフ直後から大歓声に後押しされ達也がドリブル突破をはかり左サイドの平川に繋ぎ、ゴール前のワシントンにクロスを送る。ワシントンはキムヨンチョルを背負いながらシュートを放つがGK金龍大が左に倒れこんでセーブ。その直後も達也がドリブルで持ち込むところを金相植が倒すがそのままボールは右サイドを上がったポンテに渡り主審はアドヴァンテージを取り笛を吹かなかったがこのプレーで金相植がイエローを受ける。その後も長谷部が南基一に倒されるなど城南は激しく当たって来るが韓国ではそれが普通なのかもしれない。10分あたりを過ぎると城南は両サイドバック、右のパクジンソプ、左のチャンハギョンが上がってきて中盤の層を厚くし、しかもワンタッチ、ツータッチでボールを回すのでREDSはボールを奪えなくなる。
それでも21分REDSが先制ゴールを決める。右サイドを長谷部、平川、ポンテと繋ぎ逆サイドのワシントンへ。ワシントンは腿でトラップをしてそのまま放ったシュートはゴールネットを揺さぶった。マークしたチャンハギョンもワシントンのトラップからシュートまでの動きを注視するしかなかった鮮やかな動きであった。城南が主導権を握り始めた時間帯での先制ゴールは 1st Leg で引き分けているREDSにとっては貴重なゴールだった。そして意外な事に昨シーズンJリーグで26得点のワシントンはACLでは初ゴールであった。しかし、城南は失点後も主導権を握り続ける。23分には右サイドバックのパクジンソプに突破を許しイタマルにスルーが渡る、そしてペナルティーエリアに侵入したパクジンソプに折り返されはっとするシーンがあったが坪井がブロック。32分には逆襲から金斗 鉉にロングを前線で左に流れたイタマルに通され最後は坪井と競りながら中に入れられたが阿倍がクリアー。34分にも右サイドから金斗 鉉のクロスが逆サイドに現れた崔成国に。山田と競りながらヘッドを撃たれたが力なくGK都築の正面に。城南は失点前から両サイドバックが押し上げて中盤で数的優位を形成しているのでREDSは後手後手に回った。たまにREDS選手にボールが出ても二人、三人とすぐに寄せて来るので思う様にボールを前に繋げない。また崔成国が左に回って来たので山田がその対応に腐心する事に。またワシントンも守備に時間を取られるようになる。それでもREDSは城南のプレスを外すかの様に大きなサイドチェンジを施す様になったので徐々に押し返す様になった。38分には右サイドを突破したポンテのクロスを達也がヘッドで狙うもゴール正面。40分にはワシントンのボールキープから達也にスルーが渡りそうになったがパクジンソプが達也をファールで止めてイエローカード。45分にはポンテとワシントンのパス交換から右サイドを破りチャンスをつかんだがわずかにオフサイド。 こうして何とかREDSは無失点、リードのまま前半を終える事になった。しかし城南の当たりの激しさ、そして中盤で見せたパスワークを後半も凌げるだろうか…….  後半に続く