Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

2005.12.03西京極にて

2005-12-04 | 京都サンガ J-League
ロスタイム表示が3分と出た。まだチャンスはある。その直後、スルーパスに反応した小原がフリーで抜け出しペナルティーエリアにあと1m未満に迫った時、甲府DF杉山が田原を後方から引き倒す。主審は迷わずPKを京都に与える。そしてレッドカードが杉山に出される。だがそれでは済まない。レッドカードに不服を唱える杉山。そして反則があったのはエリア外と主張する甲府イレブン。主審は線審に確認し直接FKに変更。今度はサンガイレブンもベンチも黙っていない。私の席からは明らかにエリア外と見えたのでPKかFKかで揉めていたのは後で知った。だが線審がそれを見過ごしていたら歴史的な誤審となっただろう。小競り合いが続く中、更に甲府の阿部、秋本そして京都の鈴木和裕にも警告が出される。まだ杉山は出て行かない。サンガベンチからも“早く出ろ!早く始めろ!”と控え選手、コーチ達が叫ぶ。そんな中、甲府の大木監督はFW長谷川に替えてDF青葉を投入するしたたかさを。やっと杉山がピッチから出て行く。甲府はペナルティーエリア内に全選手が入る。壁の位置を巡ってまだ小競り合いが。そして鈴木悟が右足を振りぬき甲府ゴールに向かって飛んだボールがポストを叩く金属音とサンガサポーターの溜息。そして数十秒後にホイッスル。数分前に知ったであろう“仙台引分”の結果から3位確定を知った甲府イレブンとベンチは喜びを大爆発させ、同様に遠路甲府から駆けつけたサポーターで埋まるアウェィサポーター席も狂喜乱舞。私はまずこの結末をベガルタサポーター達がどう受け止めるのだろう?との思いが去来した。甲府選手とサポーター達の歓声が渦巻く中、場内は地元サンガのシーズン・ファイナルセレモニーが始まるアナウンスが告げられるが、しらけムードを背に次の用事の途に着いた。出口でJ2優勝記念品を受け取り、一年間尽くしてくれたボランティアーの人達に労いの言葉を残し、競技場の周囲を歩いていると陸上自衛隊第三音楽隊の奏でる演奏が聞えて来るがそれが空しく感じる。いかに表現したら良いのか?サンガにとってはJ2優勝そしてJ1昇格を決めた後の消化試合、しかしその結果によって、しかも敗戦によって泣かされるチームの事を考えると。競技場に着いたのは後半開始直後であった。いつもながら自分の時間のルーズさには我ながら呆れてしまう。だがこの日のサンガの試合振りも同じだったか?既に目標は達成していた。その後の試合は消火試合と呼ばねばならぬか?シーズン100勝点、最終戦と動機付けはされてきたはずだが、それ以上に“入れ替え戦出場”という目標の方が明確であったのだろう。それともこの日の観客動員数 8,803 と言う数字は最終戦にサンガイレブンの闘志を再燃焼させるには少なかったのか? 甲府は左サイドから攻撃の起点となる藤田をサンガDFが二人掛りで対応するがこの日の甲府は藤田だけでなく、全選手が身体を張って来る。58分、66分には石原、18分には倉貫が惜しいシュートを放つ。特に66分藤田から始まった左からの波状攻撃は今季あった3度の直接対決の結果を確認する必要性を感じさせられた。球際のしつこさ、選手の運動量は上位チームとの対戦のお手本を示していた。サンガのパウリーニョは既に療養の為に帰国。アレモンはベンチ入りせず、とベガルタサポーターからは“どういうつもりだ?”と言われてもおかしくない布陣。それでも田原豊のポストプレーを生かすべくロングボールが後方から何度か入るが、甲府DFの寄せも早くその後が続かない。68分には田原のポストから好機を掴むが後半、松田に替わって投入された美尾はタイミングが合わない。甲府の攻撃は単純だがそれだけに全選手が明確に動ける。セットプレーの際には長身DFのアライールそれから杉山まで上がって来る。69分の長谷川からの危険なクロスは何とか凌ぐが71分に再び長谷川がペナルティーエリアの少し外から放ったショットは幸運にもGK西村の正面。甲府選手の豊富な運動量にサンガDFは後手にまわりマークがずれてバイタルエリアへの侵入を容易に許してしまう。確かに1対1の局面はサンガの選手に分があるが、数的優位を保たれるのでピンチを招く。72分に、甲府は中盤の石原を下げてFWの須藤を入れて攻撃の枚数を増やす。その上DFアライールの攻撃参加も顕著だ。これはサンガが田原のワントップ気味の前線で甲府は左を藤田、右を須藤、または倉貫が抑えているのでサンガの右、美尾そして左からは中払がサポートに上がれない。77分にようやく田原のパワフルなミドル、続いて加藤大志の右からのドリブル突破でアタッキングゾーンに侵入するが得点に結びつかない。78分、京都柱谷監督はFW小原を中払に替えて投入。FWを増やす事でこの試合の2点目を取りに行くサインを出したなと思った後の80分。甲府に逆転ゴールが生まれる。またも藤田に左サイドを上がられようやくペナルティーエリア付近、DF二人がかりで止めたかに見えたが藤田はしぶとくボールをキープ。最後は不用意な足払いを掛けてFKを謙譲。そのFKを藤田自らが中に送り最後は長身DFアライールが押し込み均衡を破った。これでようやく目覚めたサンガは田原、美尾、小原の3トップでゴールへ迫る。しかし甲府もペナルティーエリア内に7~8人が入り必死の守備。京都の中盤のドリブル突破を警告覚悟で止めにくる。サンガもそれで得たFKにMF加藤、DF大久保まで上がって来る。89分鈴木悟の直接FKは枠を外れ、その後の波状攻撃から最後はループシュートがポストのわずか上に。そして冒頭で述べたロスタイムに入った最後のFKも。 
今季京都は開幕戦、水戸相手に0-2から逆転で勝利を収め第一クールを無敗で終え、結局シーズンわずか7敗、2位福岡に19勝点差を付けての独走で優勝を収めJ2に別れを告げた。今季J1に昇格した川崎、大宮は無事に残留を果たしたが今季のJ2はJ1チーム数拡大に伴いJ1からの降格チームが無く徳島、草津といったJFLからの昇格組を加えたのみのリーグ戦となれば昨年の川崎Fの独走とは一緒に出来ない。来季に向けて柱谷監督は“スピード、正確さ、強さ、クリエィティブなところで個々のレベルアップの必要性を感じた”とコメント。最終戦を見る限り、課題は山積みと言えるだろう。今年昇格を果たせなかったチームの為にも来年は“J1に昇格組サンガあり”と他のサポーター達に思わせるようなチームになる事を望む。そして夢はJ League 王者からAFC王者そして世界クラブ選手権へと、何年かかるかはわからないが期待させて貰いたい。