鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその999~風立ちぬ

2015-01-10 12:33:32 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「風立ちぬ」です。

毎年のことながら正月休みはあっという間に終わってしまいました。
大掃除、親戚との宴会、初もうで、除雪、お通夜、そしてTV。
読書はあまりすすみませんでした。
チャンネル権がないためストックした映画DVDも結局1本しか観ることができませんでした。
その1本はスタジオジブリの「風立ちぬ」。
巨匠・宮崎駿の引退作です。
随分話題になったので観た方は多いでしょうね。
でもジブリ作品の中では人気度は低め。

そんな訳で大きな期待を持たずに観ましたが、宮崎駿の魅力に溢れた実にいい映画でした。
特に憧れの飛行機設計技師と夢がつながり語り合うシーンが素晴らしかったです。
近いうちに再度観たいと思いました。

美しい飛行機を作りたいという少年のころからの夢をかなえた主人公。
あまりに美しい(=理想的な)飛行機を設計したため、時期悪く戦争の道具に使われてしまいます。
それを残念に思う主人公の気持ちをもう一歩踏み込んで描いていたらアカデミー賞を受賞したのではないでしょうか?
ゼロファイターとして太平洋戦争時にアメリカ空軍に恐れられた飛行機の設計ストーリーが、「アメリカ」の映画賞を受賞する可能性は限りなく低かったと思いますが・・・。
たとえこの作品が戦争礼賛の映画ではなく、ゼロ戦を誇る映画でなくても選者の心情は別でしょう。

次にヒロインについて。
小説「風立ちぬ」を読んだことはありませんが、愛する者との別れという設定は同じでしょう。
宮崎作品には珍しく病弱なヒロインでしたが、常に前向きな自立したヒロインという設定はいつも通りでした。
運命には逆らえませんでしたが限られた命を精いっぱい生きたことは強く印象に残りました。

最後にこれまでの作品と違ったこと。
主人公の心象風景を主軸に描いた映画のため、ストーリーの細部をこれまでになく随分省略していました。
巨匠・宮崎駿は引退作でついにいにしえの日本人が好む省略の美に到達したのだ、と感銘を受けました。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする