久々の岡山出張に今回は飛行機でやってきた。ホテルにチェックインして目指す『佐久良家』に到着したのは平日の20時30分頃。この店は隣の割烹『藤ひろ』と繋がっている居酒屋。客の姿はなかった。若い和装の女性が迎えてくれた。聴けば女子大生のバイトだという。これはラッキーとカウンターに陣取る。
ここに来たら岡山の地酒に限る。岡山の地酒は全体的に小生がやや苦手とする辛口である。岡山の地酒マップを眺めながらまずは喜平をいただく。
(銘柄の名前付きのコースターに自分でセレクトできるお猪口)
岡山というと鰆(さわら)で有名なのだそうだ。お刺身の盛り合わせ1000円には鰆、鯛、カマス、太刀魚、白いかが並ぶ。鰆は字のごとく春が旬な魚だが、脂がのってうまいのは11月からだそうだ。ただこの季節は瀬戸内海では取れず、長崎から輸送しているらしい。なかなか脂ののった味わいだ。
(白いかの細かい飾り包丁や繊細なツマ、もみじはさすがに割烹)
日本酒には意外な組み合わせの自家製チーズは一人で食べるには驚くほどの量だったが、ミルクの味が残るような意外とあっさりとした味わいでお酒でいけてしまう。
暫くしてご主人が登場。一人客なので相手をしてくれたようだ。京都の料亭での修行時代の話など聞かせていただいて、まぁこれでもと小鉢が出てきた。鰆の皮目を焼いてポン酢で合えたものとカマスの中落ち。お料理は他店に出向いたり研究熱心な方のようだ。普段口に出来ない賄い料理をいただくことができた。
更には普段はお隣の割烹を仕切っている美人の女将さんまでが登場。楽しくお話させていただいた。岡山といえば雄町米(おまちまい)で作った酒となるが、続けて地酒の御前酒(ごぜんしゅ)をいただいた。これはちょっと小生の好みの酒ではなかったが独特の辛口。
これだけいただいて計3350円也。申し訳ないがすっかりご馳走になってしまった。結局店を出るまで客は小生一人だった。器や料理に隣の割烹の影響が感じられ良い店なのだが通りから離れてポツンとあるので人の流れに乗って客が寄ってこないのが難点か。まさに穴場と言える出張族には特にお勧めの店。