画家とモデル(続)

 
 モリゾは、印象派仲間のうちでマネと最も親しかった画家。マネのために幾度もモデルを務めたが、マネの弟ウジェーヌと結婚してからは、マネのためにポーズを取ることはなかった。
 なので多分、モデルのうちは、マネと恋愛関係にあったんだろう。結婚にあたって、これまでの関係を清算したのだと思う。

 こういうことって、当たり前の展開なのかな。かの「ブルースの女王」も、アルバイトにヌードモデルをしている際に、画家に抱かれたと言ってたし……

 ところで、5月の連休に豊田に行った帰りの電車で、モロ好みの女性と隣り合わせた。皮相な流行に乗ったところのまったくない、クラシックな感じの女性で、眼がバチッと大きく、きりりと引き締まった眉をしていた。眉の上で前髪を切り揃えた、黒髪のボブ。鼻筋が通っていて、横顔が美しかった。……って、横からしか見えなかったんだけど。
 あァ、理想のモデル、見っけ。 

 彼女は、女子学生らしき若い女性数人のうちの一人で、好奇心旺盛なのか、教授らしき年配の(凡庸そうな)男性と盛んにやり取りしていた。邪魔しちゃ悪いので、黙っていた。
 相棒、「外国じゃ、即交渉だよ」と、しきりに焚きつけ、私もよっぽど、あの年配男性がいなくなるまで、後を追って電車を乗り換え、モデルを頼もうと思ったけれど、腕もないしキャリアもないし、寝不足でヒドい顔してるしで、自信がないのでやめておいた。

 でも、そのとき初めて、描き手がモデルを選り好みする、恋心のような気持ちを、実感できた。

 画像は、マネ「ピンクの靴を履いた若い女」。
  エドゥアール・マネ(Edouard Manet, 1832-1883, French)

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