ギリシャ神話あれこれ:幼少のヘラクレス

 
 ヘラクレスは赤ん坊の頃から、とにかく人間離れしていて、いろいろと逸話が多い。
 
 ゼウスは可愛い我が子ヘラクレスに不死を与えようと、こっそりと、眠っているヘラの聖なる乳を吸わせた。ところがヘラクレス赤ちゃん、あまりに強く吸ったために、ヘラは眼を醒まし、怒って彼を突き飛ばす。
 このときヘラの乳がほとばしり、天の川(Milky Way)になったという(地上に落ちた乳の滴は、白い百合の花になったとか)。

 一方、ヘラのほうは、不義の子ヘラクレスをとことん虐め抜く覚悟。で、あるとき、まだ赤ん坊のヘラクレスとイピクレスの揺り籃に、いきなり毒蛇を放り込む。怖。
 このとき、イピクレスは蛇を怖れてバブバブと逃げたが(当たり前だ)、逆にヘラクレスは、バブー! と蛇を捕まえて、絞め殺してしまう。
 この様子を見た父王アンピトリュオンは、双子のうち、ヘラクレスのほうがゼウスの子であると納得したという。

 早くから腕力に優れていたヘラクレスはやがて、父王の計らいで、あらゆる武人から武芸百般を教わって育つ。

 彼は音楽も教わり、しかも教えたのは、かのオルフェウスの弟リノス。が、ヘラクレスには音楽のセンスが今一つだったらしい。
 あるとき、竪琴の弾き方を教えていたリノスが、ヘラクレスの習得の悪さに腹を立て(彼はヘラクレスを、双子のイピクレスと比べただろうから、余計に)、厳しく叱りつけた。ところが、逆に怒ったヘラクレスに竪琴で殴り返される。
 まだ子供だった彼は、あり余る力の加減なんてできやしない。で、殴られたリノスは死んでしまった。

 以来、父王は方針を変え、ヘラクレスを牧場にやって、牛の世話をさせることにする。野生児ヘラクレスはのびのびと、日々鍛錬し、やがて剛勇無双の若者へと成長する。

 To be continued...

 画像は、レノルズ「蛇を絞め殺す幼いヘラクレス」。
  ジョシュア・レノルズ(Joshua Reynolds, 1723-1792, British)

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