世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
生と死を貫きて
大学受験のとき級友から聞いたのだが、受験勉強をするのがイヤで、勉強なしに高校3年間を過ごし、さて、受験の2日前から、他のことを一切せずにひたすらに神に祈り続けた人がいて、その人は志望校に合格したという。
実は私も、大学入学頃まで毎晩神さまにお祈りしていたのだが(もちろん、大学に合格しますように、とも祈っていた)、大学に入って、ひょんなきっかけから唯物論なんて勉強するハメになって以来、いつのまにか、もう神には祈らなくなった。
が、私はついに、この間、再び神に祈った。
……神さま。もう私はあなたを、以前のように神ではなく、法則か、霊感か、宇宙の声か、精神の源か、そんな名で考えているかも知れませんが、とにかく名称はどうでもよいことで、今もあなたの存在を信じ、ここに祈ります。どうか、私の祈りを聞き届けてください。
この数年、果たさずに散々サボったり端折たりしてきましたが、あなたに与えられた使命を、私は忘れてはいません。これからは使命に向けて持てる力を割きます。今後一生、あなたが人間に贈った叡知と自由を武器に、あなたが人間に突きつけている試練に立ち向かい、そうすることであなたの存在を、未来ある人々に知らしめることを約束します。科学者として、芸術家として、人間として、闘い切ることを約束します。
ですから、私の願いを聞き届けてください。……
先日のこと。相棒が、何度も会っている人物の名前を名簿で見て、ふと違和感を感じ、当の人物もいるみんなの前で、「そんな人、いませんでしたよね」と言ってしまった。当の人物はショックだったが、こんなことは初めてだった相棒自身も大いにショックを受けた。
相棒は頭脳の人だ。どんな「定在」に対しても「概念」を一致させる。つまり、対象を数字や言語とセットで記憶する。で、いろいろと調べて理由を精査し、最悪の場合を想定して、若年性アルツハイマー病であると自己診断を下した。
で、大学病院でウン万円払って、CTやMRIで画像検査した。
私はなぜか、今回については切実に、もうダメポ、と感じていた。それは前兆のせいだった。特にどうということもない話なのだが、相棒が突然、このほんの2、3日前から、亡き友人が私と別れる直前に使っていた言葉と、同じ言葉を使い始めたからだった。
この数年、大学病院に何度足を運んだことだろう。これで相棒、足の指から脳まで全部、検診を受けたことになる。が、今度もまた結果はシロだった。
別に私が祈ったからでもないんだろうけど(相棒は私が神と対話すると言って茶化す。私をイタコの口寄せ婆とでも思ってるんだろうか?)、とにかく私は、私の神との約束を果たさなくちゃならない。
生と死を貫きて
雄々しく耐うる
鎖なき魂一つ
とりあえず、全快祝い(?)にケーキでも焼くことにする。
画像は、ムンク「太陽」。
エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch, 1863年-1944, Norwegian)
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