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ギリシャ神話あれこれ:ナルキッソスとエコー

 
 自分のことしか愛さないナルシスト。その語源がギリシャ神話にあるのは、超有名な話。
 このエピソードがこんなにも有名なのは、人間の人格、アイデンティティーにおいて、自己愛というものが不可欠な存在だからだろう。健全な自己愛を持つ優秀な人間が、低俗な周囲との関係のなかで、自分自身に最も関心を向ける、そんな真っ当な意味での孤高のナルシストを、私は本来好きだったんだけれど……

 ナルキッソスの物語をまとめておくと……

 ギリシャ神話には美少年はごく当然の存在だが、ナルキッソスもまた大変な美少年だった。その姿を一目見ただけで、どんな娘も若者も魅了させるほどの美しさ。
 が、ナルキッソスのほうは、どこの誰に愛されようがまったくの無頓着で、いずれの求愛もすげなく斥ける。しばしば無情な侮辱の言葉をもって。

 そんなナルキッソスは、誕生の際、こんな予言を与えられていた。
「この子は長寿を得るだろう、もし自分自身を知ることがなければ」
 ……テバイの稀代の予言者テイレシアスが、赤ん坊のナルキッソスを連れた母リリオペに告げたのだった。

 さて、エコーという美しい森のニンフがいた。

 エコーは美しい一方で、お喋りなニンフで、あるとき、ヘラ神が夫ゼウスが浮気に出かけた行方を突きとめようとやきもきしていた際に、返事もせずにぺちゃくちゃとお喋りをしてしまう。怒ったヘラは、
「お喋りなニンフめ! お前は、余計なことは喋らずに、言われたことだけを返事すればいいのだよ!」
 ……というわけで、哀れ、エコーは、ヘラの呪いで、相手の言葉の終わりの文句を繰り返す以外に、口が利けなくなってしまう。

 To be continued...

 画像は、カルピオーニ「盲目の予言者テイレシアスと赤ん坊ナルキッソス」。
  ジュリオ・カルピオーニ(Giulio Carpioni, 1613-1678, Italian)

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