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ギリシャ神話あれこれ:12の功業その11(続々々々々)

 
 アトラスは、天を支える労苦から束の間でも解放されることを大いに喜んで、ヘラクレスの頼みを引き受ける。
 で、ヘラクレスは肩に円座を当てて、天を担ぐ。なんという怪力! が、さすがに天は重かった。

 一方アトラスは、久しぶりに重荷を下ろしてルンルン気分。すぐに3つの実がついた林檎の枝を取って戻ってきたが、さて、再び天を背負うのは嫌だった。なので、ついでだから、俺がミュケナイまで林檎を届けてやろう! と言い出す。
 もちろんアトラスは、ちゃっかり、そのままヘラクレスに天を肩代わりさせようとしたのだが、ヘラクレスのほうもぬかりはない。何食わぬ顔で、プロメテウスから教わったとおりの答えで応じる。そうか、そりゃありがたい、じゃ、円座がずれちゃったんで、ちょっと担ぎ替えるから、そのあいだ肩を貸してくれ、と。

 浮かれ気分のアトラスは、うっかりヘラクレスに騙されちゃって、林檎を置いて天を担いだところを、そのまま林檎を持ち逃げされてしまった。
 憐れなアトラス、こうして彼は、後にも先にも一度きりの、解放されるチャンスを逃したのだった。こういうチャンスのつかみ損ないは、人生の最大の痛手だ。
 ……久々の知恵の勝利。こうでなくちゃ。

 別伝では、ヘラクレス自身が、毒矢で竜ラドンを倒して林檎を手に入れた。後にラドンは竜座になったという。

 こうしてヘラクレスは、黄金の林檎をゲットして帰還、エウリュステウス王に渡す(林檎は後に、アテナ神によってヘスペリスの花園へと戻されたという)。
 いよいよ彼は、最後の難業へと挑むことに。

 画像は、グェルチーノ「アトラス」。
  グェルチーノ(Guercino, 1591-1666, Italian)

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