ギリシャ神話あれこれ:デウカリオンと洪水(続々々)

 
 唖然とするデウカリオン夫婦。が、母を大地、骨を岩と解釈し、ものは試しと、地上の石ころを拾って肩越しに後ろに投げてみら。すると、たちまち石は骨となり、その周りの泥は柔らかい肉となって、人間の姿に変化する。
 喜んだ夫婦は、せっせと石を投げて人間を作る。デウカリオンが投げた石は人間の男に、ピュラの投げた石は人間の女になった。
 こうして再び人間は地に満ちる。

 なお、ギリシャの神々が大雑把なせいか、デウカリオン夫婦以外にも洪水を生き残った人間たちが、結構いる。
 例えば、ゼウスの息子、アルカディアの王ダルダノスらは、膨らませた皮袋に乗ってイダ山へと逃れた。同じくゼウスの息子、メガロスも、鶴の鳴き声に導かれてゲラニア山まで泳いだ。ポセイドンの血を引く、竪琴や縦笛を奏でる歌手でもあった羊飼いケラムボスは、ニンフたちに与えられたクワガタ虫の羽で、オトリュス山へと飛んだ。パルナッソス山の民も狼の遠吠えでいち早く洪水を知り、山頂へと逃れた。……などなど。
 デウカリオンの父夫婦、エピメテウスとパンドラもまた、大洪水を生き延びたという。 

 こうして青銅の時代は終わり、英雄の時代が到来する。

 画像は、G.B.カスティリオーネ「デウカリオンとピュラ」。
  ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネ
   (Giovanni Benedetto Castiglione, 1609-1664, Italian)


     Previous

     Bear's Paw -ギリシャ神話あれこれ-
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ギリシャ神話... バビロンの大淫婦 »