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ギリシャ神話あれこれ:アキレウスの死

 
 我先にイリオス城へと逃げ込むトロイア勢。アンティロコスの死に逆上していたアキレウスもまた、逃げるトロイア勢を執拗に追い、容赦なく殺しながら、敵勢に乗じて猛然とスカイアイの門を通り抜け、城内へと入っていく。アポロン神が諫めても、耳を貸さない。
 いよいよトロイア落城かと思われたそのとき。

 アポロン神に導かれたトロイアの王子パリスが、アキレウスに向けて弓を引く。放たれた矢は的を過たず、不死身のアキレウスの唯一の弱点、右踵をぶすりと貫く。

 アキレウスは、父よりも偉大となる運命を負って産まれた。同時に、呪われた運命も担っていた。従軍すれば必ず戦死する、という運命を。
 母テティスは、万が一の出征に備えて、アキレウスが産まれると、彼の身体を冥府の川ステュクスの水に浸して、彼を不死にしようとした。が、このときテティスはアキレウスの右の踵をつかんでいた。このため彼の右踵だけは水に浸からず、不死にならないまま残ってしまったのだった。

 アキレウスは自分を傷つけた矢が、母テティスに告げられていた、自分の最期をもたらすアポロン神の矢であることを悟る。
 誰だ、卑怯な遠矢を射た犬野郎は! と罵るアキレウスの心臓を、パリスの放った第二の矢が貫く。
 アキレウスはよろよろと立ち上がり、トネリコの槍に寄りかかりながら、逃げ惑うトロイア勢に切りかかる。

 が、死の運命はいかんともしがたい。トロイアどもめ、お前らは俺のエリニュス(復讐の女神)に罰せられて、無残に死ぬだろう! と呪詛を放つと、トロイア勢が逃げ出すなか、とうとう、城門近く、自ら倒した敵兵たちの屍の山の上に、どっと倒れ込んだ。南無。

 To be continued...

 画像は、ルーベンス「アキレウスの死」。
  ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens, 1577-1640, Flemish)

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