チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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ドロシー

2013年05月03日 | 
今年2月初め、12月に生まれた子猫たちと明日はいよいよお別れという日になって、私たちは、その中の一匹のお腹が異様に膨らんでいることに気付いた。
夜になると、ぐったりとしてしまった。
これは、ただ事ではない。どうしよう。
とにかく、この日は暖かくして様子を見ることにする。

翌朝、子猫のお腹はパンパンに膨らんで、もう息も絶え絶えという感じであった。
「これは、この子の運命だからしかたがない。可哀相だけど、おれは医者に診てもらうつもりはない。」とヒロシは言う。
「でも・・・、このまま、お医者さんにも行かなかったら、見殺しにしちゃうってことだよ。
 そんなこと、できないよ。ね、診てもらうだけ。それでダメなら、あきらめよう。
 案外、簡単に治るかもしれない。私が、病院に連れて行くから・・・ネッ、いいでしょ?」

動物病院で診てもらうと、お腹が膨らんでいるのは腹水が溜まっているからで、その腹水を検査してみなければはっきりとした診断はできないが、おそらくは感染症だろうとのこと。
それに、超音波検査によると腎臓の奇形があるので、どの道この子は長く生きることはできないと言われてしまった。
それでも、一応薬を処方してもらい、家に帰る。

その時の超音波診断画像です。
左上の丸い形が腎臓で、その中がぼこぼこと花びらみたいな形になっているのが異常なのだそうだ。


さて、薬を飲ませると、見る見る間に元気になり、お腹は膨れているもののガツガツ食べ、飛び跳ねて遊ぶようになった。
薬が効いた。でも、薬がなくなったら、どうなるんだろう?
私も、もうこれ以上この子にお金をかけることはできないと決めていた。

1週間分処方してもらった薬がなくなって2週間後、子猫にまた同じ症状が出た。
苦しいのか訴えかけるようにか細く鳴き、ぐったりとしてしまった。
この子の運命もこれまでか・・・ その夜は、私が子猫を抱いて寝た。

子猫はどうなっただろう?冷たくなってしまっただろうか?
夜が明けて、目覚めると、なんと子猫は枕元でじゃれていた。
あれっ? 具合が悪かったんじゃないの?
何が起こったのかはわからないけれど、とにかく、子猫は危機を脱したのだ。
子猫は、自ら「命」を手繰り寄せた。

それから、だんだんにお腹が凹んでゆき、親猫たちよりもよく食べ、よく遊んでいる。
ヒロシは、子猫に「ドロシー」と名前を付けた。
こうして、私たちは3匹目の猫を飼うことになってしまった。

写真は、3月3日に撮影したものです。現在はもう少し大きくなっています。