チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第51話 彼岸花

2007年03月21日 | チエちゃん

「暑さ、寒さも、彼岸まで」とは、よく言ったものです。
夏の暑さも秋彼岸まで、冬の寒さも春彼岸までにはおさまり、続かないということです。
この東北地方南部にも、やっと春がやって来ます。

 3月21日春分の日は、お彼岸の中日です。
この日、チエちゃんとたかひろ君は、おじいちゃんに連れられ、墓参りに行ったものでした。

 墓参りに持っていく物は、お線香とマッチ、お線香に火をつけるための新聞紙、そして、彼岸花です。春とはいってもまだまだ寒いこの地方では、春のお彼岸にお供えする生花がなかったので、昔の人は削った木片に赤や黄色、紫の色を染めて、竹に刺して造花を作り、それをお供えしたのです。
 おばあちゃんやお母さんと墓参りに来る時は、この他に重箱に詰めたお供え用のぼたもちと、やかんに入れたお茶も持ってきますが、おじいちゃんは面倒なのか持って行くことはありません。
 チエちゃん家はおじいちゃんが初代ですからから、まだお墓がありませんでした。お参りする所となると、おじいちゃんの生家である本家のお墓、おばあちゃんの生家のお墓、お母さんのお父さんとお母さん(つまり、母方の祖父母)のお墓、おじいちゃんの姉妹の嫁ぎ先の先祖のお墓などということになります。
 これだけでも相当な時間がかかるというのに、おじいちゃんときたら、「このお墓は近所のだれそれの墓、あっちは他所ののだれそれの墓」という具合にちょっとでも知り合いのお墓というお墓にお参りをするので、軽く半日はかかってしまうのです。
始めのうちは一緒について行くチエちゃんたちですが、途中で飽きてしまい、

 もう、足が痛ぐなったよ~ じいちゃんだげ行って~

お寺の本堂に腰かけて、おじいちゃんを待つチエちゃんとたかひろ君でした。
 こういう訳で、おばあちゃんは絶対におじいちゃんと一緒に墓参りには行かないのでした。