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(原題:Planes, Trains and Automobiles)87年作品。コメディの快打「フェリスはある朝突然に」に続いてジョン・ヒューズ監督が手掛けたロードムービー。変化球を駆使した「フェリス・・・」とは異なり、正攻法の喜劇に仕上げられているが、実に良く出来ていて最後まで楽しませてくれる。
ニューヨークに出張中の広告会社の重役ニールは、感謝祭を家族と共に過ごすため、仕事を早々に切り上げて自宅のあるシカゴヘ向かう。大渋滞に巻き込まれて閉口しつつも何とか空港にたどり着くが、飛行機は大雪のために出発が遅れていた。憤懣やるかたない表情で機に乗り込んだものの、隣に座ったのはデルという傍若無人な男。それでも我慢して目的地に着くのを待つニールだが、何と飛行機は天候悪化のためにカンザス州ウイチタに緊急着陸。乗客は全員降ろされてしまう。ニールはそこからシカゴへの道を必死に探るが、行く先々でデルが付きまとい、彼のストレスは極限状態に達する。
焦りまくるニールと、それを疫病神のごとく付け回すデルとの珍妙なやり取りが笑いを誘う。スマートな出で立ちのスティーヴ・マーティンと、でっぷりと太ったジョン・キャンディが演じるこの二人は絵に描いたような凸凹コンビで、まさにコメディの主人公としての“王道”を歩んでいるかのようだ。
そして何より脚本が良く出来ている。事態を打開しようとニールがあらゆる手段を講じるが、そのすべてが失敗に終わり、またデルと一緒になるというパターンの繰り返しながら、その段取りが手を替え品を替え繰り出されるので飽きることは無い。
終盤にはいつしか二人が心を通わせていくという筋書きは予想通りだが、ワザとらしい演出も余計なシークエンスも無くスムーズに見せてくれるのは、さすがヒューズ流だ。そして、デルが抱え込んでいる屈託が明らかになるラストの処理は見事で、ちょっとした感動も味合わせてくれる。
それにしても、こういう設定が許されるのはアメリカ映画ならではだろう。狭い日本で同じような境遇に陥ったりしても、1回か2回対策を講じればスグに解決してしまって話が続かなくなる(爆)。