
新居に越してから買ったテレビは、電源ケーブルが着脱式になっている。そこで考えたのが“電源ケーブルを市販のものに付け替えたら、画質や音質がアップするのではないか”ということだ。オーディオシステムにおける電源ケーブルの重要性は、実践によりすでに分かっている。テレビでの付け替え効果は未知数だが、とにかくやってみなければ何とも言えない。そこでテレビ用に一本電源ケーブルを新たに購入してみた。調達先は「オーディオケーブル市場」というネット通販業者である。
前にも書いたが、電源ケーブルほど店頭市販品とネット通販品とのコストパフォーマンスに差があるオーディオアクセサリーはないと思う。定価が5万円より下の店頭市販品は、まず使い物にならない。もちろん一部には“使える製品”もあるが、色付けが濃くて繋げるシステムを選ぶ。対してネット通販品は1万円未満でも十分実用的だ。
今まで「shima2372」などのネット通販業者から買った電源ケーブルは、線材に米国Belden社のものが使われていたが、今回利用した「オーディオケーブル市場」の製品には住友電工の線材が採用されている。プラグはオーディオアクセサリー専門メーカーのOYAIDE製だ。すべて業務用部材で固めた製品とは一味違う展開も期待出来る。購入後、まずはさっそくテレビに繋げてみたのだが・・・・。
・・・・結果は“まったく変わらない”である(暗転)。
テレビの付属ケーブルをそのまま使っている時と、画質も音質も変化がない。オーディオシステムではケーブルごとの“個性”が見事に前面に出るのだが、映像機器ではそうでもないようだ。これは意外だった。
もっとも、さらに高価なテレビやDLPプロジェクター等では違うのかもしれない。または別のメーカーのテレビならばケーブル付け替えによってパフォーマンスが変化するのかもしれない。ただ、少なくとも我が家のテレビでは“効果なし”で片付けてしまうことになりそうだ。
もちろん、このケーブルを“お蔵入り”にするわけにはいかず、今度はオーディオシステムに繋げてみた。私がリファレンスとして使っている電源ケーブルは「shima2372」製のものだが、聴き比べてみるとかなり音は違う。ひとことで言えば“オーディオマニア好みの展開”である。中低域の安定感や押し出しの強さ、音像の粒立ちは店頭市販品の5万円クラスと変わらず、キッチリと情報量を出してくるところは、ハイファイ指向そのものだ。おそらくはOYAIDEのパーツを採用しているところが大きいのであろう。
ただし、好き嫌いで言えば現用の「shima2372」製のケーブルに軍配を上げたい。今回調達した「オーディオケーブル市場」の製品は“音を作っている”傾向がある。もっともそれは繋げるシステムを選ぶような汎用性の低い“色付け”とは異なるものだが、逆に言えば“汎用性が高いような”サウンドデザインを演出しているとも言えるのだ。それに比べて「shima2372」製のケーブルは“音を作っている”様子が微塵も感じられない。評価の確定した業務用部材を組み合わせて、クォリティを手堅く積み上げていこうというスタンスだ。クセのなさや安心感は「shima2372」製に一日の長がある。
ケーブルにはエージング(鳴らし込み)の期間が必要なので、とりあえずはこの「オーディオケーブル市場」製のケーブルは向こう一ヶ月間はオーディオシステムに実装することにした(その後は「shima2372」製に戻す予定)。なお、「オーディオケーブル市場」からは電源ケーブル以外にもう一点商品を購入している。それについては次回のアーティクルで述べる。
その後も私は、元副会長様のお陰でSOULNOTE & Nmode+DIATONEにて楽しい音楽鑑賞ライフを過ごしております。
さて、今回はテレビの電源ケーブルについての記事をお書きいただきありがとうございました。このような記事は他にあまり見かけませんので、大変嬉しく思います。
実は私もテレビの電源ケーブル更改に2回チャレンジしたことがある一人なのですが、その2回は違う経験をしました。
一度目は2003年に購入したテレビ(42型)の電源ケーブルをProCableさんのベルデン+マリンコに変更したところ、画質がクリアになり、音の方もオーディオ機器の時と同じような変化を体験しました。しかし今年初めに買い替えたテレビ(50型)に同じことをすると、元副会長様と同じように全く変化を感じませんでした。
過去2回の全く反対の実験結果を、最近のテレビはエコ設計で電力消費量が少ないため電源ケーブルの恩恵を受けにくいから・・と、自分なりに考察してみたのですが、Nmodeのアンプのように消費電力が少ないアンプでも電源ケーブルによって音質が変化するので、私の考察には限界があります。知識豊富な元副会長様のお考えがありましたらご教示いただけましたら幸いです。何はともあれ、貴重な情報ありがとうございました。
余談ですが、今年5月に福岡へ仕事で出張した際に福岡で有名な吉○苑に遊びに行き、Nmodeのアンプ、CDPと100万円のAudio Machina CRMの組み合わせで試聴させていただきました。なかなか楽しいお店で神戸にもあのようなお店があればいいのに、と思った次第です。福岡市民が羨ましいです・・。
画質に関しては、私は映像機器については門外漢なので何ともコメント出来ませんが、7,8年前と比べてディスプレイの様式が少し変わってきていますから(たとえばLEDバックライト液晶とか)、ケーブルの影響を受けにくい規格に移行しつつあるのかもしれません。
いずれにしろ、アクセサリー追加によってちょっとした効果を狙いたいオーディオファンにとっては、少し不満ですね。ただし、それだけ稼働・動作が安定しているとも言えます。
吉田苑は福岡市の中心地からはちょっと離れたところにありますけど、足を運ぶ価値のあるショップだと思っています。あの店の「主張」にすべて同意するわけではないですが、確固としたポリシーを、決して押し付けがましくなく、さらりとアピールしているあたりが好感を持てます。何度も行きたくなるディーラーですね。
それでは、今後ともよろしくお願い致します。