元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ドラゴン・イン 新龍門客棧」

2015-05-24 06:30:47 | 映画の感想(た行)

 (原題:新龍門客棧)92年香港作品。監督はレイモンド・リー。製作にツイ・ハークとチン・シュウタンの「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のコンビが加わっており、まっとうなアクション篇で楽しませてくれるのかと思ったら、少し違った。ハッキリ言ってこれは、フランス映画の怪作「デリカテッセン」(91年)の続編である。油断もスキもない香港映画のことだから当然パクリであろう(と思う)。しかし、オリジナルの持つブラックな笑いとアッと驚く映像スペクタクルはそのままに、見事に香港製娯楽アクションに料理してしまうツイ・ハーク一味の力量には感服あるのみだ。

 明の時代、沙漠のまん中にこつ然とあらわれる“ドラゴン・イン”という宿屋があった。若くて腕の立つ女主人(マギー・チャン)と数人の使用人たちが切り盛りするこの宿屋は、お尋ね者を始末してその肉を客への食事に出すという、とんでもない所。そこへ反政府組織のリーダー(レオン・カーフェイ)とその一派が泊まりに来る。彼らを追って悪徳政治家が雇った3人の殺し屋も姿を見せ、さらに3千人の政府軍が宿屋を包囲する。果たして脱出なるか・・・・という話。

 得意のワイヤー・アクションは絶好調。人権を無視した(ホメているのだ)とんでもないアクションの数々はいつもながら唖然としてしまう。女剣士のブリジット・リンの滅茶苦茶な強さ、マギー・チャンの妖艶さ、そしてドニー・イェン扮する悪役が輪をかけて強い。とにかく強い。もう、空は飛ぶわ地底はもぐるわ、人間を超えてジェイソンやフレディのレベルに達している。

 ラストは3人がかりでこいつに立ち向かうのだが、まるで歯が立たない。そこへ登場するのが肉切り包丁をふりかざした「デリカテッセン」的キャラクター。そして映画は空前絶後の大爆笑と大カタルシスのクライマックスになだれ込んでいく。

 1時間半の上映時間に、これでもかこれでもかというサービス精神を思いっきり詰め込み、存分に楽しませてくれるエンタテインメント。ツイ・ハークもこの頃は威勢が良かった。なお、本作はキン・フー監督の「残酷ドラゴン 血斗! 竜門の宿」(67年)のリメイクだが、生前のキン・フーはツイ・ハークの作風を好きではなかったというのは面白い(笑)。

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