元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第20回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その2)

2023-04-01 06:21:06 | プア・オーディオへの招待
 オーディオシステムの音の方向性を最も大きく左右するのがスピーカーであることは論を待たないが、トールボーイ型などのフロアスタンディング・タイプと、ブックシェルフ型などのコンパクトなモデルは、果たしてどちらが良いのか、改めて考えてみた。・・・・などと書くと“そんなのはケースバイケースで考えれば良い話で、一概に決めつけるようなことではない。まあ、フルオーケストラを聴くならばフロア型が有利なのは確かだが”というような正論が返ってくるのだろうが、事はそう単純ではない。

 例えば、管弦楽曲を主に聴くユーザーの前にほぼ同じ価格で同一メーカーのフロア型とコンパクト型が並んでいたら、どちらを選ぶ方が賢明なのか。結論から書くと、オーケストラを鳴らすから無条件でフロア型を選ぶというのは、実は少しも賢明ではないのだ。だだっ広い応接間にシステムを置くのならばともかく、六畳間や八畳間程度ではフロア型のスケール感を十分な音圧で堪能するのは難しい。それよりも音色や音像の再現性などの音質自体を重視した方が良い結果につながる。



 どうして以上のようなことを考えたかというと、フェア会場では同一メーカーであまり価格差のないフロア型とコンパクト型を聴き比べる機会があったからだ。大抵の場合、各ブランドは複数のシリーズを用意している。ここで言うフロア型というのは下位シリーズの最上位機、コンパクト型は上位シリーズのローエンドモデルだ。結果は一目瞭然ならぬ一聴瞭然で、スケール感こそフロア型に分があるが、音質は上位シリーズのコンパクト型の圧勝である。

 シリーズが違えば設計コンセプトや使用部材のグレードも異なるわけで、上位シリーズは下位モデルでもその姿勢は一貫している。スピーカーをサイズだけで選ぶと決して幸せにはなれないのだという、いわば当たり前のことを再認識した。もっとも、音質よりも見た目の存在感(≒圧迫感)を重視するユーザーもいることは承知しているし、外野がそんな個的な趣味嗜好を否定する筋合いは無いことは確かだ。

 さて、ハッキリ言って今回のフェアもコロナ禍の前ほどの客足は戻っていないと感じた。福田雅光によるイベントも、以前は客席がぎっしりと埋まって入場できない者も少なからずいたほどだが、今はそうでもない。これは何回も書いていることで読者諸氏諸嬢から“いい加減にしろ!”というお叱りを受けるかもしれないが、もうちょっと集客を狙った方が良い。



 主催者側としては、交通の便が悪い福岡国際会議場を使わざるを得ない事情があるのかもしれないし、収支面では問題ない可能性もあるが、さらなる盛り上がりを期待したいのが正直なところだ。マーケティングの手法としてはいろいろと考えられるし、それが無理ならば専門の業者に運営を外注しても良い。とにかく、相変わらず小金を持っていそうな団塊世代ばかりを相手にしていては先が見えている。若い層や女性客を取り込むような姿勢を見せてほしい。

 とはいえ、開催してくれたこと自体は有難い。気が付けば、私は主催元のマックスオーディオからは音楽ソフトこそ何回も購入しているが、機器を買ったことは無い(苦笑)。直近にはオーディオシステムをグレードアップする予定は無いのだが、もしもそのタイミングが来たら、このショップも購入先の候補にしようかと思う。

(この項おわり)

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