
Nmode製品の試聴会に行ってきた。Nmode(エヌモード)とは聞き慣れない名前だが、それもそのはず、出来たのは今年(2008年)である。SHARPで1ビットのデジタルアンプを展開していた主任技術者が定年退職後に立ち上げたブランドだ。第一弾としてリリースされたのはプリメインアンプのX-PM1とCDプレーヤーのX-CD1である。
X-PM1は1ビット方式ではないが、やはりデジタルアンプの形式を取っている。X-CD1はSACD対応を見送り通常CDの再生に特化した製品。見た目は(以前紹介した)SOULNOTEの製品と似ているが、聞けば筐体はSOULNOTEと共用とか。もちろん、中身は独自の設計ノウハウが取り入れられている。
出てきた音の印象だが、もう見事なほどのフラット指向である。SOULNOTEのアンプを最初に耳にしたときに“フラットを基本にしている”と思ったものだが、Nmodeのアンプはさらにフラットだ。ただし、決して面白味のない製品ではない。色付けがない代わりに、駆動力に関しては端倪すべからざる実力を秘めている。試聴に使われたのはDynaudioの新製品Focus360と、Consensus AudioのLightning SE。Focus360は定価が約80万円。Lightning SEに至っては予価230万円という高級品で、いずれにしろ定価14万円弱のNmode製品とはアンバランスながら、両機とも違和感なく鳴らしていたのには舌を巻いた。
特に興味を引いたのがFocus360で、このメーカーらしい音場の広さと微粒子状に降り注ぐ高分解能の明るい中高音が印象的。これで80万円とは、ひょっとして安いかもしれない(爆)。Nmodeのように駆動力とスピード性を身上としたアンプとの相性が良いようだ。最近発売されたスピーカーなのでエージング(鳴らし込み)が進んでおらず音は硬かったが、時間が経つと良い案配に仕上がってくると思わせる。対してLightning SEは過不足無く鳴るものの、やはり14万円弱のアンプでは幾分フットワークが重くてプラスアルファの魅力を出すには至っていない。McIntoshとかKRELLあたりの既存の高級アンプメーカーの製品を持ってきてケレン味たっぷりにドライヴした方が楽しいスピーカーだと思った。
いずれにしろ今回のNmode製品は、価格面で釣り合う20万円までのスピーカーならば、たぶん何の心配もなく持ち味を十分に出してくれるだろうし、30万円のスピーカーでもイイ線行けると予想する。私が知る限り、10万円台のアンプ類ではベストバイだ。同席していた設計者によると、X-PM1は、音質面に限って言えばかつてSHARPが出していたデジタルアンプSM-SX10(定価約25万円)とほぼ同等だそうだ。それを14万円で出せるのはガレージメーカーとしてのメリットだという。
考えてみればおかしなことだ。商品というのは大量生産すれば安くなるはず。しかし、ピュア・オーディオ製品に関してはそれが通用しない。ただ、X-PM1とSM-SX10とを並べて見比べてみると、その理由が分かるような気がする。それは外観だ。見た目の店頭効果が高く、所有欲をそそるような出で立ちをしているのが大手メーカー品のようである。対してNmode製品はお世辞にも高級感があるとは言えない。実用一点張りだ。しかし、逆に言えば実用に即して商品を作れば、リーズナブルな価格で良い物が出来上がる。ガレージメーカーならばそれが可能だという事実は、ピュア・オーディオの将来を考える上で、何とも複雑な気分になってくるのは仕方がない。
一度聴きたいと思っています。
出水のアリオンにも驚きましたが、このNmodeも良さそうですね。
PS
九州に行って聴くしかないかなぁ。
Nmodeの拠点はなぜか鹿児島県の志布志市なのですが、例の「見た目ヤクザみたいな主宰者」の出身地が鹿児島だからだと思ったところ、実は奥方様が鹿児島出身とのことでした。広大な敷地を格安な値段で買い付け、マイペースでオーディオ三昧の日々を送っているとのこと。羨ましい限りです。
Nmodeのホームページを見てみると、取扱店は少ないものの、全国に散らばっているみたいです。今後は幅広くオーディオファンのお耳に掛かることでしょう。
それにしても、本文にも書きましたが、ガレージメーカー製品の方がコストパフォーマンスが高いという事実は、大手メーカーにとっては一般ピープルに知られたくないことかもしれませんな(^^;)。
では、今後とも宜しくお願いします。
近い将来、システム変更を予定していまして、アンプの視聴をしまくっています。
視聴した中では、soulnote(sa1.0)がとても気にいりました。でも、スピーカーも購入の候補があって、同じ傾向でもパワーがあるこちらが気になっています。
でも近くに視聴できるところがないので・・・
元・副会長さんのこのアンプのコメントをとても参考にしています。(実はsoulnoteも元・副会長さんのコメントで知りました)
まあ、あせらずNmodeとの出会いを楽しみにしています。
もし、また良い情報などありましたらお聞かせくださいね。映画の感想も楽しみにしております。
ではでは
ディーラーのスタッフも言ってましたが、SOULNOTEが中域重視で音の鮮度を前面に出してくる展開なのに対し、Nmodeは本当にクセが少なくフラットです。音場は奥行き重視のSOULNOTEに対し、Nmodeは横方向に広大なサウンド空間が現出するという感じです。
ただ、SOULNOTEにしてもNmodeにしても、DENONとかMARANTZ、YAMAHAといった既存の大手の製品に比べると音造りのアプローチが全然違うと思いますね。SOULNOTEのエンジニアは楽器の腕前がプロ級だし、Nmodeの社長は歌手でした。それだけ作り手が音に対してポリシーを持っているし、ガレージメーカーの強みで自分のやりたいようにやっている闊達さがあります。
今後も何か印象に残るオーディオ製品に接することが出来たら、このブログでリポートいたしますので、宜しくお願いします(^^)。
元・副会長先生がご評価されていらっしゃる上記2ブランドはいつか手に入れてみたいと思っていましたので、CDPもアンプも大手メーカー品を使っていましたが、思い切って両方ともヤフオクで売却し、1年ほど前にsc1.0を入手し、ついに今週、念願のX-PM1を入手しました。SPは先生も以前使われていらっしゃったDS-2000にて今では視聴も出来ないため、先生を信じて視聴もせずに買ってしまいました(笑)。内心、X-PM1のような軽量で奥行きの短い小型アンプでDS-2000を駆動できるのかどうか心配でしたが、繋いで鳴らしたら本当にびっくりしました。3日ほどいろんなジャンルを聞き込みましたが、完全にワンランク上の音楽が聞けるようになりました(価格は大手メーカーの半分なのに・・・)。オーディオ製品の値段設定は本当に不思議なものだと思いましたが、先生のおかげでCPの高い製品を入手できました。
これでしばらくは機種の更改が必要なくなりそうですので、たくさんCDを買って音楽を楽しみたいと思います。これからもオーディオ雑誌では得られない情報をご教示いただけましたら幸いです。
まず、あの・・・・「先生」は御勘弁ください(^^;)。当方、「先生」と呼ばれるような御大層な人物ではありません。ただのしがないオッサンです。
私も「NmodeのアンプでDIATONEのスピーカーを駆動させたら面白いかもしれない」と思っていました。ウチの実家に置いてあるDIATONEのスピーカーに繋いでいるのはACCUPHASEのプリメインアンプですが、試聴会でX-PM1がDYNADIOのFocus 360(ペア80万円)を朗々と鳴らしているのを目の当たりにすると、駆動力ではACCUPHASEよりも上ではないかと思ったものです。で、やっぱり結果は良好でしたか。有意義な情報、ありがとうございます。
某ショップの話によると、X-PM1はJBLのスピーカーとも相性が良いようです。どうしてこういうコストパフォーマンスの高い機器をもっと多くの店で扱わないのだろうか・・・・と思ってしまいますが、そうなるとX-PM1と一緒に展示してある他の大手メーカーのアンプが色褪せてくる恐れもあり、ショップ側としても難しい立場に置かれると思います(笑)。
本当にオーディオ製品の値段設定は不思議ですね。それからホメ上げるばかりで問題点をまったく指摘しないオーディオ雑誌・評論家の存在も不思議です。やっぱり信じるべきは「自分の耳」しかないと改めて思う今日このごろです。
それでは、今後ともよろしくお願いします(^^)。
ある程度の値段以上のオーディオ機器を購入する人が参考にしているオーディオ評論家の方々も、巷では「先生」と呼ばれているようなので、元・副会長様は間違いなく私にとっての「先生」ですが、このようにお呼びするとかえって恐縮されるようですので、今回より早速改めさせていただきます。
また、折角の機会ですので、私のDS-2000を鳴らしてきた歴代のアンプについて、私なりに簡単にレビューをさせていただきます。
某オーディオ評論家の自作アンプ:友人から譲っていただいたオリジナル品です定価は5-10万円だったと思いますが、その評論家の方は15万円クラスの音がする、とおっしゃっておられたようです。一応マトモにDS-2000を鳴らせましたが、結論としては、評論家の方が製作してもこんなものか、と正直思った次第です。思えば、この頃(20年前)から評論家の話はどこまで信じれば良いのだろう??と思い始めたと記憶しています。
TA-F555ESR:中古で入手し、スピーカーに繋いで初めて音を出した時には、このアンプの駆動力にはびっくりしました。最初は気に入っていたのですが、3日程度聴き込んでいるうちに、実はこのアンプは駆動力一辺倒で音楽性があまり無いように思えてきました。中古品であったため、オリジナルの性質なのか経年変化によって本来の性能が失われていたのかは不明です。
PM-13S1:2008年前半に新品購入したもので、私が今まで買ったアンプの中でダントツに高価なアンプです(笑)。初めはTA-F555ESRよりも音楽性が高いと感じて気に入っていたのですが、これまた1週間も聴き込んでいるうちに、最新のアンプにしては意外に駆動力が無いことに気がつきました。低域の明瞭さではTA-F555ESRにすら劣っていたように思います。またそれだけ、DS-2000(1000番シリーズ共通??)は駆動力を要求するSPかも知れないと感じましたし、相当高額なアンプでないと駆動力と音楽性を両立している物は存在しかないのか・・・と庶民の限界を感じた次第です(泣)。
X-PM1:沈んだ心境の中、2年ほど前から元・副会長様のブログや価格.com上のコメントに触れさせていただくようになりました。その後、元・副会長様が高く評価されているda1.0かX-PM1なら、庶民にも何とか手が届き、なおかつ「駆動力と音楽性を両立している」アンプなのではないかと思い、X-PM1の購入に至った次第です。箱を開けた時は、その軽さと奥行きの短さにびっくりし、同時に不安も感じましたが、音を出した途端に不安が一気に吹っ飛びました。私は音質を言葉で表現する文章力がありませんが、X-PM1が「駆動力と音楽性を両立している」アンプであることは確信しました。今日で丸1週間、100曲以上聴きましたが、今まで私が使ったアンプでは間違いなくNo.1だと思います。「SP駆動力は大きいアンプの方が高い」と一般的には言われていますが、このアンプはそのような常識を覆すものだと思います。また、奥行きが短いので、一般家庭の薄型TV用のTVボードの中に余裕を持って収まってくれ、使い勝手もダントツです。
以上がDS-2000を鳴らすために私が使用してきたアンプのレビューですが、今思えば、もしガレージメーカーに出会えなかったらオーディオから足を洗っていたかも知れません。スポンサーバイアスのない、ご自身の試聴に基づいた元・副会長様の数々のコメントには、本当に感謝しています。これからも元・副会長様がいい製品・良いブランドに出会われましたら、またご紹介いただければ幸いです。
SONYのTA-F555ESRは88年発売で、定価は\128,000でしたけど、重さが24.5kg・奥行が43.5cmもあるという、バブル期を代表する重厚長大アンプでしたね。当時は「オーディオ機器はデカくて重ければいい」という風潮があり、各メーカーも重量競争に走っていました。音もメリハリ一辺倒で、そこには使う側の環境や趣味嗜好を考える余地はなかったように思えます。
たぶん、経済マクロがバブルだったのと同様、オーディオ界もバブルだったのでしょう。バブルはいつかは崩壊し、重い後遺症を残します。現在のオーディオ不況の遠因も、そのころのトレンドに起因するのではないでしょうか。いまだに日本のオーディオ界は「これだけ物量や新技術(?)を投入した。だから皆も買ってくれ」という俺様商売のクセが抜けていないようです。
気が付けばiPodなどのDAPが市場を席巻し、多くの一般ピープルは20年前のオーディオシステムが奏でるサウンドよりも質の劣る圧縮音源で満足している状況です。メーカーとしても従来のマニアを一度リセットするような形で、新しいコンセプトにより商品展開を図るべきなのですが、いまだフットワークが重いようですね。そんな中でSOULNOTEやNmodeといった大手メーカーからスピンアウトしたニューカマーが、コストパフォーマンスの高い製品を発表しているのは心強い限りです。しかもSOULNOTEやNmodeの主宰者は元々ミュージシャンでもあるだけに、音楽のツボを心得ている気がします。
いまどき重厚長大でスペースと電気代ばかり食う電気製品なんて流行りません。今後はユーザーの立場で、省スペースをクリアして「エコ」にも配慮したオーディオ機器が多数登場することを祈りたいものです。
それでは、今後とも当ブログをごひいきに願います(^^)。