元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第9回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その1)

2012-03-30 06:27:12 | プア・オーディオへの招待
 去る3月23日から25日にかけて、福岡市博多区石城にある福岡国際会議場で開催された「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきたのでリポートしたい。今年(2012年)で第9回目となるが。今回は過去に行われていた“オーディオアクセサリーの聴き比べ大会”とか“優秀録音盤の発表会”とかいった特別企画は設定されず、純粋な展示会の体裁を取っていたので、その分参加者もじっくりと機器に向き合えたようだ。

 すべての機器を見て回ることは物理的に無理だが、私も久々に時間が取れたこともあり、かなりの数の展示製品を試聴することが出来た。オーディオシステムの音の傾向を決めるのはスピーカーなので、スピーカー中心に各機器のインプレッションを述べてみる。



 まず印象に残ったものとして、英国B&W社の新しいサブウーファーであるDB1を挙げたい。サブウーファーというのはホームシアターなどで低域を補強するために使われる装置であるが、本機は小型スピーカーと併せてピュア・オーディオでも使われることを想定している。

 特筆すべきは、サラウンド・システムなどに採用される「デジタル・シグナル・プロセッシング(DSP)」のテクノロジーが搭載されていることで、リスニング環境に合わせて、組み合わせるスピーカーとの最適なマッチングが可能だ。しかも、その設定はパソコンで行い、ソフトはB&W社のホームページからダウンロードされる。いわば、AVシステム機能のピュア・オーディオへの応用と言えよう。

 ピュア・オーディオの展示会でリファレンスとして使われることの多い同社製品が、このような仕様をフィーチャーしているのは面白い。会場では同社の805Dとのコラボレーションがデモされていたが、必要以上の低音の押し出しはなく、スムーズなレンジの広がりが実感できた。とはいえ上位の大型フロアスタンディング式のスピーカーと比べれば、低域の恰幅の良さでは後れを取る。あくまでもこれは、大型モデルを導入出来ない層のための“次善策”であろう。

 過去幾度かの試聴会で“最悪”の印象しか受けなかったPIONEERの高級ブランドであるTADのスピーカーは、今回はかなり様子が違った。同社のアンプとは別に、英国EAR社のアンプとプレーヤーで駆動するデモンストレーションが行われていたが、これが素晴らしい結果に結び付いている。音色表現が捨象されたような無味乾燥の展開に終始していたTADのスピーカーが、生き生きと鳴り響いているではないか。しかも、モノクロームだった音色にうっすらと赤みが射している。



 はっきり言って、これは誰もが知るTADの音ではない。MONITOR AUDIOATC等の英国ブランドのサウンドに共通するものがある。逆に言えば、いかにTADのアンプ類が設計コンセプトにおいて音楽再生を無視しているかの証左でもある。EARの社長もわざわざイギリスから来ていたのだが、日本の高額スピーカーを存分に“EAR色で”鳴らせたことに得意顔。EARの製品は特異なデザインも含めて、まさに“作った者の顔が見える”モデルだ。

 明るくて艶っぽい再生音でいつも参加者を魅了するイタリアのSONUS FABER社のスピーカーだが、今回は新製品のGUARNERI evolutionが紹介されていた。一見するとコンパクト型だが、実は専用スタンド(置き台)とセットになっている。台座部は硬度の高い花崗岩が採用され、支柱と台座の取り付け部分には特殊な構造が施されており、支柱より上を“浮かせた”ような様相を呈しているのが面白い。

 スピーカーのサイズを超えた深々とした音場が特徴的な製品である。もちろん音色はSONUS製品らしく光沢があり華やかだ。それでいて嫌味な部分や押しつけがましい箇所はない。オーケストラ曲等をとにかく重厚に鳴らせたいリスナーには向かないが、艶やかな美音をライト感覚(?)で楽しみたいユーザーにはベストフィットだと思う(まあ、かなりの高額機器だが ^^:)。

(この項つづく)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「華氏911」 | トップ | 「第9回九州ハイエンドオー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

プア・オーディオへの招待」カテゴリの最新記事