元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ストレンジ・デイズ」

2007-02-21 06:48:56 | 映画の感想(さ行)
 (原題:Strange Days)95年作品。1999年12月31日。人間の五感をもカバーする究極のバーチャル・リアリティ装置SQUIDが闇で取引される時代、そのソフトをめぐって殺人が起きる。売人のレニー(レイフ・ファインズ)の元に送られたディスクの中にその現場の映像が入っていたことから、彼は友人のメイス(アンジェラ・バセット)とともに事件の解明に乗り出すハメになる。

 観終わって、とにかく疲れた。“女性監督にしては・・・”という接頭語を毛嫌いするフェミニストのキャスリン・ビグロー監督には悪いのだが、やはり言いたくなる。この映画、とても女性演出家の手によるものとは思えない。何から何まで過剰で、ガンガンと押しまくる。ウェットな感触は皆無。“これでもか、これでもか”というド派手な映像とノイジーな音楽と物量投入作戦。“こいつら、いつ休むんだ”と言いたくなるような血管キレた演技の連続でスクリーン上をバタバタ動き回らせ、ラストの数万人のエキストラ動員のクライマックスになだれこんでいく。まさに肉食人種の映画だ。日本人には絶対作れない次元にあるシャシンだろう。

 そして、SQUIDは“悪魔のマシーン”で、これがいかに世の中をひっくり返すパワーがあるか頭ではわかっているものの、作者としては活劇のネタのひとつぐらいにしか考えていないのではないか。テーマの重要性への理解が足りず、結果として大味な作品になったとも言えるのでは?

 SQUID自体はお粗末なもので、簡便な外見、しかもメディアがMDだ(!)。五感すべてのデータがMDに記録できるとは思わないし、なぜMDかの説明もなし。またこういうメカにからんだ犯罪が個人的怨恨の内ゲバにすぎないとは、少し芸がなさすぎるのではないだろうか。

 困ったことに上映時間2時間半(長すぎる!)のうち最初の1時間がメカの説明と登場人物の紹介に費やされている。内容がないのに外見をギンギンに飾りたてるものだから、これだけで観る意欲が失せてしまった。要するに、主題の絞り込みが足りない。

 それにしても、出てくる男はみな長髪で小汚いカッコ。対して女はボディコン(笑)で力強い。何かコンプレックスの現れとも思えるが、単純すぎて観ていてあまり気分のいい対比ではない。

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