(原題:A FAMILY AFFAIR )2024年6月よりNetflixから配信。所詮はラブコメなので観る前はあまり期待しておらず、取り敢えずはホンワカした気分を味わえればオッケーだと踏んでいたのだが、これはちょっと軽量級に過ぎるのではないだろうか(笑)。しかも出ている面子が有名どころなので、余計そう感じてしまう。
ハリウッドで映画スターのクリス・コールのアシスタントを務めるザラ・フォードは、クリスのわがままな態度に振り回されていた。ついにブチ切れて仕事を辞めた彼女のことをやっぱり頼りにしていたクリスは、何とか職場に戻るように説得するため彼女の家に出向いて行く。あいにく不在だったザラの代わりに玄関先に出てきたのは、彼女の母親で作家のブルックだった。とても50歳過ぎとは思えないブルックの若々しさと美しさに魅了されたクリスは、たちまち彼女と懇ろな仲になる。それを知ったザラはショックを受けるのだった。
ブルックに扮しているのはニコール・キッドマン(1967年生まれ)で、クリス役はザック・エフロン(1987年生まれ)だ。キッドマンがこういうお手軽映画に出るのは珍しいが、それはともかく彼女の実年齢を考えると、明らかに外見を“作りすぎ”ではないのか(苦笑)。対するエフロンも「アイアンクロー」出演時の肉体改造が尾を引いているようで、見た目の不自然さは否めない。
ならばこの2人のキャラクターはドラマを支えられるほどに掘り下げられているのかというと、全くそうではない。ひたすらライト路線をひた走る。本来ならばザラを中心に物語を展開させるべきだが、隣にキッドマンらが控えており、しかもザラの祖母役としてキャシー・ベイツまで出てくるのだから、ザラの役回りが大きくなるはずもない(彼女にボーイフレンドの一人でもあてがってもバチは当たらないと思うのだけどね)。
ザラを演じているのはジョーイ・キングで、若くて可愛くて演技も問題ない彼女を、どうして主役として扱わなかったのか疑問である。リチャード・ラグラベネーズの演出は凡庸だが、それでもドン・バージェスのカメラによるハリウッドおよびその近郊の風景は本当に美しく、シッダールタ・コースラの音楽も悪くないので何とか最後まで観ていられた。