元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ジェヴォーダンの獣」

2011-06-20 06:35:31 | 映画の感想(さ行)
 (原題:Le Pacte des loups)2001年作品。18世紀フランスで実際起こった怪事件を元に、ミステリーやアクション、ロマンス等をふんだんに盛り込んだ娯楽編。時の王ルイ15世は、ジェヴォーダン地方で殺戮を繰り返す“野獣”の正体を突き止めるため、科学者のフロンサックを派遣。彼は仲間を集めて真相に迫ってゆく。

 謎のクリーチャーや新兵器・珍兵器、西洋チャンバラはもちろん、なぜかクンフーの使い手が暴れ回ったりと、なかなか賑やかである。フロンサックに扮するサミュエル・ル・ビアンやヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ等の濃いキャスティングも良い。

 ところがクリストフ・ガンズとかいう監督の腕が凡庸で、演出にここ一番のキレがなく漫然と作劇を受け流しているのは大きな減点。上映時間も2時間20分と、このネタにしては長い。おかげで「獣」を操る秘密結社の動機が判然とせず、ドラマ自体にカタルシスがなくなってしまった。ハリウッドの職人監督あたりが手掛けたらもう少し面白くなったかもしれない。

 なお、ダルデンヌ兄弟の監督作「ロゼッタ」で冴えない根暗娘を演じていたエミリエ・デュケンヌが、ここでは堂々ヒロイン役であるのにはちょっと笑ってしまった。
コメント
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